VSスノードラゴン2
皆様、更新が遅れました。申し訳ありません。
更新停止期間中、ノロウイルスに感染しており体調を崩しておりました。
本日から体調が若干戻りつつあるので、復帰させていただきます。
それでは、どうぞ
「【挑発】」
闘技場内に俺の放ったスキル名が響き渡る。
あばばば、やっちまった。
なんとなく雰囲気に当てられてスキルを使ってしまったが、その後のことを全く考えていなかった。
「「ジン・・・」」
だからお前らそんな『助かった』みたいな目で俺のことを見ないでくれ。
俺はイモイモして戦いを見るだけのはずだったのに。
「グルル?」
そしてお前もブレスを貯めながらこっちを向くな!
確かにお前を唆したのは俺だが、その明らかに威力の高そうな攻撃を喰らう気ではないんだ。だから許してださいお願いします。命と人権と肉体労働以外ならなんでもします。
それとそのブレスは闘技場の壁とかに打っていただけると嬉しいかなって思うんですけど・・・どうですかね?あ、それはできないって?そうですか。
・・・やばいやばいやばい。
流石にあれだけのエネルギーを持った攻撃をいくらHP極振りとはいえ受け切れるとは思えない。
「あ、ちょ、待・・・」
「グルガアア!」
が、そんな懇願のこもった視線を無視してドラゴンは俺に貯まり切ったブレスを俺に放つ。
直径は3mほど、触れたら一瞬で凍りつきそうな冷気を周囲に撒き散らしながらブレスはぐんぐんと俺に迫ってくる。
AGI0の俺では到底避け切れるとは思えない。
「くっそ。うおおお!」
どうしようもなくなった俺は気合いを入れ直してブレスと向き合う。
チラリとバルド達を見るとアカネがバルドの介護をする中、2人ともが俺に期待のこもった視線を向けてきていた。
なあ、もっと俺のことを助けようと動いてくれても良くないか?なんかバルドの時と俺の時のアカネの反応が違う気がするんだけど。
・・・そういえばあいつらデキてるんだった(決めつけ)なら仕方ないか。
そんなことを走馬灯のように思いながら俺はドラゴンのブレスを正面から受け止める。
「ぐ、ぐうう」
途端、凍りつき始める俺の体。目に含まれる水分も凍り始めたのか、若干視界も悪くなっていく。
一瞬で指先が動かせなくなり、手、腕、肩、とどんどん凍結が広がっていく。
それに伴ってHPがどんどんと減っていく。
寒い。ルーンの寒さ軽減を貫通してくるほどの冷たさ。さらには周囲に撒き散らかされ地面も凍り始めている。
や、やばい。寒すぎるのと凍って体が・・・
ジンがこうなるのは当然といえば当然だ。あのブレスは絶対零度。触れるもの全てを凍らせ、砕き散らせる。基本的に龍種と戦う時はその切り札級のブレスをいかに打たせないで戦うか、なのだ。
打たせたら負け。それが龍種に対して戦う大前提。
過去の勇者も格下のドラゴンにブレスを打つことを許してしまって死んでいるという事件も発生していたりするのだ。
相性によっては格上すら殺しうる威力を持ったブレスを受けて即死ではないジンがおかしいのだ。
ちなみにその勇者を抱えていた国は滅んだのだが、それはまた別の話。
閑話休題。
《称号【強きに挑むモノ】を特殊入手しました》
《特殊入手したため、称号【強きに挑むモノ】の効果が発動しました》
《HP、状態異常を全回復します》
もはや首まで凍結が進み始め、意識も朦朧とし始めた時、そんなアナウンスが聞こえると同時に俺の体を覆っていた分厚い氷の塊が溶けていく。
「え?」
思わず困惑の声が出る。
俺は明らかに死んでいたはずだ。
称号を特殊入手?
そんな知らない情報をいきなり言わないでくれ。
「グルル?」
原因は依然としてわからないが、耐えられたのは事実。
ドラゴンは自分の必殺技を当てたはずの相手がピンピンとしていることに疑問を抱いているのか、顔をかしげる。
・・・AIが優秀すぎるのも考えものだな。もっと野生的にすれば目の前の敵を排除するべく攻撃するはずだったのに。
俺はドラゴンが攻撃の手を止めているうちにバルド達のいた場所を確認する。
が、そこにはもうバルド達はいなかった。
良かった。なんとか動けるようになったみたいだ。
「グル・・・グルア!」
バルド達が復活してすでに動き始めているのを確認した俺は自分の役目は果たした、とばかりに満足感に満ちた顔でドラゴンの攻撃を待つ。
「俺のHP2つ分の反射ダメージは与えるから後は任せたぞ」
聞こえているのかもわからない伝言を伝えて、目を閉じる。
「グルア!」
ドラゴンの吐く腐った肉のような吐息の匂いが鼻の奥をつく。
かなりドラゴンとの距離が近づいてきているのだろう。
・・・なぜか生き延びたが、結局はここまでか。
が、いつまで経っても攻撃は俺を襲わなかった。
「———何諦めてんだよ」
真横からバルドの声が聞こえる。
「え?」
俺が恐る恐る目を開けると、隣に立っていたのはバルド。
肝心のドラゴンは攻撃を後ろから当ててきたアカネにヘイトが向かい、そちらを攻撃しようと踵を返していた。
「どうだ?俺たちもまだまだやれるだろ?」
そんなことを言い、慣れないウインクをしてバルド戦線に戻る。
・・・何それ、かっこよすぎだろ。
男の俺でも若干惚れそうになったぞ。
今まで散々罵倒してきたが、態度を見直さないといけないかもな。
とりあえず俺はもう一度イモイモするべくマップ端に移動していく。




