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ダメージ?そんなのくらってなんぼでしょう~HP極振りの行くVRMMO~  作者: まあ
第二の街イルン

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また馬車待ちかよ。閑話:彼女は今

「すみませんでしたぁ!」


 俺は冒険者ギルドの前で大量の野次馬の前で何度も頭を下げて大声で謝っていた。


 もはやプライドなどあったものではない。


 1時間ほど心を無にして謝り続けたのだ。


 あれくらいのことをやってこれだけで済んだなら全然いい方である。それよりも退会処分になったコボルとその取り巻きの方がひどいはずである。


 だが、この謝罪が最後の謝罪になった。


 はあ、やっと終わった。長すぎるわ。


 正直、群衆の前で一回謝れば済むのかと思っていたのだが、まさかの時間制。ひどい目にあった。


「おうおう!失敗は誰にでもあるからな。頑張れよ!」

「お前は正直好きではないけど、活躍を聞くのは楽しいからこれが原因で止めるなよ」

「あれは不慮の事故だろ。なんでそんなに謝るんだ」


 幸いだったのは、かけられた声がどれも温かく、罵詈雑言ではなかったこと。


 それのおかげでここまでなんとか精神を保ちながら謝ることができた。


 ・・・いや、二番目はなんというか命令だな。


 ま、まあ、プレイヤーやNPCの励ましの言葉が俺の心を温めてくれたということにしておこう。ありがたい限りである。


「え?馬車もう行ってしまったんですか?」


 そして、そんなこんなしているうちに乗る予定だった馬車がもう出発してしまったようだ。


 くそう、やっぱりあんな奴らに絡むんじゃなかった。特に何かを得たわけでもなく、ただ不幸になっただけだったし。


 前、似たようなのでチンピラっぽいグレンとかいうやつに絡まれたときは経験値を得ることができたからまだ許せるが、今回は得たものがなに一つなくさらには馬車も乗り遅れてしまう始末。


 許さんぞコボル。今度会った時は思えていろよ。


 ちなみに、次の馬車はまたさらに飛んで3時間後らしい。


 ・・・遅すぎね?


 確かに観光以外では滅多に行くことがないビーチとは言ってもプレイヤーがくるのは想定していたはずだろ。


 一本3時間はえぐいだろ。


 そんなところで無駄にリアリティーを求めなくていいんだよ。


 しかもその馬車定員が10人くらいだぞ。3時間に一回10人移動できるってどうなんだよ。


 このゲームグラフィックがいいから普通にゲーム人口が多いのに、こんなんじゃ普通に渋滞する。


 これも要修正だろ。運営に抗議メール送っとこ。


 俺はステータスボードの運営へのお問い合わせの部分で馬車の移動間隔が遅すぎるのをなんとかして欲しいという旨のメールを送りつける。


 現実感が欲しいのはわかるが、流石にやりすぎである。


「はあ、なにをしようか」


 流石に3時間待機は長すぎる。ゲーム内で過ごすには流石に窮屈である。


 というわけで、俺は体の休憩も兼ねてログアウトすることにした。


 最近は休日とはいえ、あまりにもVRゲームをやりすぎである。現実世界の体もある程度動かさないと廃人になってしまう。


 これがフルダイブ系ゲームの悪いところだよな。


◇◇◇◇◇


 時は少し遡る。


>>エナ視点


「う〜ん、美味しい!」


 私は今、西の山を攻略している。


 ん?攻略・・・?


 食事の方が正しいかも。


 だって私は目につけた食べれそうなものをとにかく口に入れてるんだもの。


 そのおかげで前までは【上位毒耐性】だったのが、【毒無効】になったんだよね。


 何度食当たりやら、毒やら寄生虫になられたことか。これくらいはしてくれないと困るよ。


 そして今は八つ目蛙を食べてる所。


 見た目は結構グロいんだけど、臆さず口に入れてみたら絶品の鶏肉料理の味だった。しかも個体ごとに鶏肉料理の種類が違う。


 この辺は運営の悪ふざけが若干入ってるような気もするけど、間違いなく今まで食べてきた中で三本指に入る美味しさ。


 え?一番はサンドワームだよ?


 このゲームは見た目がグロいほど、味が美味しくなる傾向にあるようなんだよね。人間に食べられないようにする生存戦略、みたいな設定なのかな?


「グエェ・・・」


 そして、このゲームは敵を倒したら何故か美味しい肉の部分がなくなって素材になってしまうと言う問題も解決できた。


 【永劫捕食者】っていう称号を入手してから、食べている時は捕食対象を望む限り食べ続けることが出来るようになったの。


 おかげで今食べている蛙も殺さず、食べた端から肉が再生してまたそれを食べるという永久機関が出来てる。


 このゲームは本当にいいゲームだよ。自分のやりたいことをちゃんと実現してくれる。


 ちなみに、今食べている子はメスなのか分からないけど親子丼の味がする。


 親だけで子供の分まで味わうことが出来るのはお得だね。


 15分くらい食べてるけど、全然飽きない。


「グ、グエ」


 八つ目蛙ちゃんは最初は逃げようとしてたんだけど、私の能力で逃げられないとわかってからは大人しくしてくれている。


 ごめんね。痛いよね。


 でもこれは変な制度を設定した運営を恨んでね。私はただこのゲームを楽しんでいるだけで、決して悪くないから。


 この苦痛も和らげる何かがあればいいんだけど、今のところは見つかってないの。なんとなく睡眠導入か、痛覚麻痺みたいなスキルはありそうなんだけどね。


「グ・・・」


 死ぬことができない八つ目蛙ちゃんには申し訳ないけど、もう少し味わうね。君が美味しすぎるのも問題だと思うんだよね。


 というわけで、いっただきまーす!


 その後、30分ほど八つ目蛙の苦しそうな叫び声が森の中に響いていたとか。


「ごちそうさま!美味しかったよ」

「グエ・・・」


 やっと死ねるという顔で消えていく八つ目蛙ちゃんに私はお別れの挨拶をする。


 果たしてこの挨拶で合っているのかは分からないけど。


 一旦食事はこれで満足したから街に帰ろうかな。ワールドアナウンスにもジンさんの名前が出てたけど、会えるかな?


 どんな攻略をしたかとか聞きたいんだよね。冒険譚を聴いたり読んだりするのがすごい好きだから。


 そんな薄い希望を抱きながら私はイルンに転移する。


 ・・・まさかこの後本当に出会えるとは思ってなかったけどね。

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