ななちゃんの、サンタクロース
12月24日──
クリスマスイヴを迎えたななちゃん一家は、みんなでプレゼント交換をすることにしたようです。
パパはママに、ママはかなちゃんに、かなちゃんはななちゃんに、そしてななちゃんはパパに、それぞれ贈り物を渡します。
「なな、ぱぱのおかおかくでちゅ」
早速、何をあげるか発表したななちゃんは、自分の宝箱から、画用紙と色鉛筆を取り出し……。
「ぱぁぱ! うごいたらめっ! かきかきでちないでちょ!」
「パパもプレゼントのご用意したいんだけどなぁ」
「おりこしゃんにちないと、しゃんたしゃんこないでちゅよ」
これは12月に入ってから、ななちゃんがよく言われてきたことです。
「パパにもサンタさんくるかな?」
「しぃぃ! あとでしゃんたしゃんに、ちいてみて」
色鉛筆を何本も持ち替えながら、“あららぁ”やら、“まちがえたでちゅ”を繰り返し、何とか完成したパパの似顔絵。
「でちたでちゅ かんしぇぇ!」
ななちゃんの声を聞き、ママとかなちゃんがやって来ました。
「なな、プレゼントもう出来たの?」
「ななの手作りプレゼント、パパ大切にしなきゃね」
ななちゃんは、プレゼントを握りしめ、パパの前に立つと、ニコっと笑いながらこう言いました。
「ぱぁぱ、おめでとでちゅ」
フライングともいえるタイミングと、“おめでとでちゅ”の意味はさておいて、ただただかわいいサンタさんからのプレゼントに、パパはうっすら涙を浮かべています。
「ありがとう、サンタさん」
「なな、さゃんたしゃんちがうでちゅ」
一言告げると、ななちゃんの興味は本日の夕御飯へと切り替わり、キッチンへと駆けていきました。
「我が家のサンタさんも、あわてんぼうで、いそがしそうだな」
パパは、ななちゃんの後ろ姿を見てポツリと言葉があふれてくるのでした。




