〜陸〜
それよりも、僕は言いたい事を言う事にした。
「話の腰を折るようで悪いけど、僕みたいな能力だと忘れたくない事が分からないんだ」
そう、これが問題だったりするのだ。
僕の返答にそっかぁ、と呟く彼女を横目に見ながら溜息をついた。一体、何を考えているのだろうか。僕の脳内に不安が浮かぶ中、彼女は大きな声を上げて目を輝かせながら言った。
「なら、私が忘れたくない記憶をあげるよ!」
僕は彼女の自身に満ち溢れた目を見ながら、この後の返答をどうしようかと思った。
これだから、人と関わるのは嫌なんだ。厄介な事に強制的に巻き込まれる羽目になるから。
それよりも、彼女の自身が一体どこから出て来ているのかが疑問で仕方なかった。
「これは提案です!どうかな?」
「…勝手にすればいいよ」
僕の返答に喜ぶ彼女。
その姿を見ながら安易な返答をしてよかったのだろうか、と自問自答した。きっと考えても、何も答えは出なかっただろうが。
その時、夕方の学校にチャイムが鳴り響いた。
「あ、もう遅い時間だから行くね!また学校で!」
彼女はブンブンと僕に手を振って帰って行った。あっという間に姿が見えなくなる。
その光景を見ながら、明日からの学校が尚更憂鬱になってしまった。彼女以外にも厄介な人達が同じクラスだし、不安でしかない。
そんな風に思いながら、僕は自分の家へ足を進める事にした。




