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僕と君の忘れられない記憶  作者: 花道時代
第一章
6/8

〜伍〜

「というか、多分いつも思っている事なんだけど」

彼女が僕にそう切り出してくる。

何の話をするつもりだろうか、と僕は身構える。

「告白された回数なんて、よく覚えているよね」

「…はぁ。そりゃ、そう言う能力だからね」

僕はそう返す。彼女はその言葉に納得したらしくそうだったね、と言った。

僕は生まれつき、物事を画像の様にひて記憶して決して忘れない『瞬間記憶能力』を持っている。

この能力のお蔭で、僕は成績優秀な優等生と言うレッテルを貼られる事になった。

便利な能力だと思うだろうが、大変な事の方が多い。トラウマは忘れられないし、妙な期待はされる。

例えば、クラス内のレクリエーションでジェスチャーだけで誕生日順に並ぶゲームがある。このゲームの本質は、コミュニケーション能力を高める事にある。

こんなよくあるゲームをしたのだが。一人ひとりに丁寧に誕生日を教えて貰うと、僕は一人でクラスメイトを誕生日順に並べた。こうして、場がしらけたのであった。

神経衰弱の様に記憶力を問うゲームは、僕が圧勝してしまうお蔭で誰からも誘われる事がなくなった。

つまり、この能力の所為で人が僕に寄り付かなくなった、と言っても過言ではない。

しかし、僕にはもっと苦痛があった。忘れられない、それが感じる最もの苦痛であった。

「便利な能力だよね」

「そうでもないよ。持ってみれば分かるだろうけど、面倒な能力である事に変わりはない」

僕の反応に、彼女はうーんと唸る。

「それでも、私は素敵な能力だと思うよ」

僕はその言葉に違和感を持った。だが、その違和感は直ぐに消えた。

彼女は少し目を細めて続ける。

「だって、逆や考えれば大切な事も忘れないって事でしょ?忘れたくない事も私は忘れちゃうから、そんな柊木君が羨ましいよ」

彼女のその言葉と表情が、本心である事を語っていた。その前向きな思考は僕が見習うべき点、であると思う。

僕はそんな彼女の姿を見ながら、こう言った。

「言っておくけど、隣の芝生は青く見えるものだよ」

「でも、我が仏尊しって言うよ。それに、君は自分にもっと自信を持つべきだよ」

いつもより真面目な返答をしている彼女。だが、その諺の使い方は違うのではないかと問いかけたくなった。直接言う事はやめた。

それよりも、僕は言いたい事を言う事にした。

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