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僕と君の忘れられない記憶  作者: 花道時代
第一章
4/8

〜参〜

それは…

「あ!柊木君!」

廊下の向こう側で、大声で僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。そして内心来たか、と身構える。僕に近づいて来たのは一人の髪の長い少女だ。

『椎名 蓮華』(シイナ レンカ)

彼女こそが、僕の平和な学校生活を妨げる元凶。

僕が絶望と言う言葉で、今の状況を表現する羽目になった原因。言うならば、天敵である。

殆どの生徒は家に帰ったり、部活をしていたりで校舎内にはいない。何故彼女は、この校舎に残っているのだろうか。それに、さっき迄桜と戯れていたはずだ。

だから、僕は人と会わない時間と、彼女の様子を確認して今見に来たと言うのに。

「今度は、同じクラスだね」

そうニコニコ笑う彼女の顔を見ていると、逃げられない運命なのだと悟った。

一応言っておくが、彼女はどんな人間も振り向く美少女だ。

クラスの人気者で、頻繁に告白されるような人。

さぁ、ここで問題だ。

何故、そんな彼女がこんな僕に笑いかけているのか。

ただ単に彼女が善良な心の持ち主、と言うだけではない。

答えはすぐに彼女の口から述べられた。

「これで、大好きな柊木君を毎日見られる!」

まるで恋する乙女、とでも言うようなその態度を見て、僕の視界は歪んだ。驚きと困惑で、かけていた眼鏡がズレたのだ。

話を戻すが、彼女は僕のことが好きらしい。勿論、恋愛的な意味で。

嬉しそうな雰囲気を彼女は出しているが、僕はその雰囲気を壊す為に言った。

「椎名さん。言葉は、回数を重ねる程に重みを失っていくものなんだよ」

「でも、私は誰よりも好きな自信があるから重みは変わりません!」

言っている事が、何の根拠もなくめちゃくちゃだ。が、自信満々にそう答える彼女の姿を見て突っ込むのをやめた。

それに、今は何を言っても効果が無さそうだ。

「あ、でも今のはノーカンね」

「はいはい」

簡単に彼女の言葉を流すと、僕の胸の内には今後に対する憂鬱な感情が再び出てきた。僕の顔を覗き込む様に見ていた彼女が言った。

「今、同じクラスが嫌だって事が顔に物凄く出てるよ」

「出てるんじゃない、出してるんだ」

僕は彼女の忠告に当然のようにそう返した。かなりご立腹な様子だった彼女は、急に黙った。


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