レムリアを探せ! って無駄なんですけど ー4ー
「嫌。こんなかよわい少女を夜の街に放り出そうなんてどんな鬼畜よ。それに私には咲哉のナビという仕事があるんだから」
夜の街というのは、ヒーロー作戦は現実とリンクして、リアルタイムで時間が経過する。今の時間が夜八時なら、ヒーロー作戦の中も八時なわけだ。移動短縮という移動手段があるから、空の色とか気にしてなかった。まぁ、ちゃんと移動したのは東雲区に行った時ぐらいなんだけど。
「かよわい少女が旨そうにビールは飲みません。ナビは仕事のうちに入らないと行ったのは誰ですかね?」
「私が誰かに拐われたらどうするのよ! 悪の組織連中なら、そう考えてもおかしくないわ。ガチャ券を貰えるのよ」
ガチャ券欲しさだけにレムリアを拐う? 一応、無所属だけど、俺も悪の組織なんだよね。それと一緒にいる奴が言う台詞なんだろうか。
「そこは正義のヒーローに助けてもらえよ。そういう展開になるのがヒーロー作戦だろ?」
ヒーローに助けてもらわなくても、レムリアなら自分で何とかするだろう。伊達に魔法少女の服を着てるわけじゃないだろうし、一度時間を巻き戻す魔法を使ってたわけだし。
「そんなありきたりなのは嫌に決まってるじゃない」
「自分が言った言葉だろうが! アイドルとか女神とかが詐欺行為をするとボロクソ言われるぞ」
レムリアは引きこもり、ニートになるつもりだ。夜は嫌とか言いながら、俺がいない夜まで外に出ないつもりだ。
俺はレムリアを咎めながら、無料ガチャを回した。
「戦闘員が当たっただと……俺が使っても」
Pガチャだけしか出ないと思ってたのに。今思ったけど、Pってどうやって貯めるんだ? 俺の場合、Pはお金に返還されるんだけど。
「レーム!」
ガラガラから出た時は赤タイツの戦闘員だったはずなのに、等身大の大きさになった時には赤と青が真ん中で分かれた形。レムリアの髪と同じタイツになってた。しかも、『キー!』とか『ゼット!」じゃなくて、『レーム』。
しかも、俺に敬礼するんじゃなくて、レムリアに向けてやってる。まるでレムリア専用の戦闘員とでも言いたげだ。
「ちょい待ち! お前の雇い主は俺だから」
戦闘員でも俺はプレイヤー。今は戦闘員の姿をしてないわけだし。それなのに、俺がそんな事を言うなり床に唾を吐いた。
上等だ。お前を売り飛ばしてやる。




