最初のミッションは一万円稼ぎます ー5ー
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「はやっ! 戻ってくるの早すぎでしょ。ガラガラに入って一分経った?」
「一分は経ってるわ! 俺も悲しいんだからな」
俺は部屋のドアを開けて、普通に帰ってきた形になってるけど、何が起きたかを回想してみよう。
Pガチャの十連で俺達戦闘員はガラガラから外に出た。黒タイツ以外にも赤タイツ、白タイツもいた。他には銃弾もあったかな?
雇い主は怪人に変身する前の姿。バーコード頭に眼鏡、さらに太っている。服もスーツを着て、ザ・サラリーマンだ。アバターは好きなように出来るはずなんだけど、好き好んでこの姿を選ぶのは凄いと思う。
戦闘員達はカプセルから『キー!』とか『ドゥー』とか言いながら元気良く飛び出したんだけど、俺は恥ずかしく出来なかったわけ。
それが悪かったのか、すぐさま解雇される羽目に。簡単に言えば売却された。しかも、一円だ。俺以外に黒タイツと白タイツが解雇され、赤タイツだけが残された。
俺の手には百円が握り締められてた。バーコードに使われるのは嫌だったけど、すぐさま売られるのは悲しい気持ちになる。
「なるほど……売られたからか。簡単に金が入ったんだから問題ないでしょ。時間短縮になるし、一番良い形だと思うけど」
「こっちは何も楽しくないって! 売られ続けるなら、外で事件を探して、乱入する方がいいわ」
「待ちなさいよ。所属によって使える戦闘員は決められてたりするの。今回のタイツが違っただけ。まだ一回目なんだから」
そんな事言って、俺を再び白い玉、カプセルに閉じ込めやがった。中から壊す事も出来ないみたいで、ガチャから出た時だけ飛び出せる仕組みだ。
「次は大丈夫なんだろうな! 売られるのは結構傷付くんだからな」
俺がガラガラの中に入るのと同時に、誰かがガチャを使用したみたいだ。
……三分後
「おかえり。さっきよりは遅かったみたいだけど……何で裸になってるわけ?」
「売られるよりも酷い目にあったんだよ!」
俺はトランクス一枚の姿で部屋に戻ってきた。黒タイツを雇い主に脱がされたわけじゃないぞ。CPUの戦闘員の服を脱がす事なんて誰も考えないはず。
「売られるよりも酷い……ああ! 合成素材にされたんだ」
そう! 戦闘員は怪人や幹部達が造り出す魔物の素材になったり、レベル上げに合成する事も可能。それも主に所属違いの戦闘員が使われる。
俺は逃げる事も出来ず、巨大な洗濯機みたいな装置の中に落とされた。その後、黒タイツだけ合成されたみたいで、裸の状態で下へ流された。百円はトランクスの中に入ってた。
「知ってたのかよ! 俺も知ってたよ。忘れてたよ。プレイヤーが合成されるなんて思わないだろ」




