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【3-10】インゼクトダンジョン-7

ア-ノルドがパニックに陥った僕の頬を殴ったので、僕は正気に返った。

「 のぶ、大丈夫か?」

「 う、うん。大丈夫です、ア-ノルド。有難う。」

エルマ-が一人でヴューステヴルムと戦っている。

「 エルマ-。連携とるぞ。」

ア-ノルドがエルマ-に声をかける。

「 分かった。一旦、俺は引くぞ。」

「 了解。のぶ。口を狙うんだ。稲妻(ブリッツ)でかまわない。」

「 はい。ア-ノルドさん。」

エルマ-が後方に引くと、ア-ノルドが前衛としてヴュ-ステヴルムに向かって行った。僕はその場からア-ノルドの指示通り口に向かって稲妻(ブリッツ)を打ち込んだ。

エルマ-は少し休むと、僕と同じようにヴューステヴルムの口に向かってドリル竜巻を打ち込んでいく。ヴューステヴルムは口にドリル竜巻や稲妻を吸い込む度に、もんどりを打って苦しんだ。

小さめのヴューステヴルムは、ドリル竜巻や稲妻を吸い込むと、断末魔の悲鳴を上げもんどりを打って爆発する。しかし大きいサイズのものは苦しむものの爆発まではしない。そこでア-ノルドが大剣を口から切り込み仕留めた。怪力男ア-ノルドらしい戦い方だ。

戦っているうちに不利だと思ったヴューステヴルムが逃げていく。

僕たちは、逃げるものは捨ておいた。向かってくるヴューステヴルムと戦った。

ズダ-ン。

最後のヴューステヴルムが倒れた。

砂漠は静けさを取り戻した。

僕はその場でへなへなと崩れ落ち、その場に座り込んだ。

「 のぶ、よく頑張ったな。」

ア-ノルドが声をかけてくれた。

「 これで最後だな。後は、地上に帰るだけだ。」

とエルマ-。

「 ボス戦があるんじゃないですか?」

「 と思うだろ。ヴューステヴルムがボスなんだ。圧倒的な物量で押してくるから、まぁ、初心者は押し負けちゃうんだ。」

そうだったのか。僕はア-ノルドの話を聞きながら、先ほどの戦闘を思い返していた。


少し休んで息を整えた後、ヴューステヴルムの落としたアイテムを拾ってから地上へとテレポ-トできる場所へと移動した。ヴューステヴルムのアイテムの中にテレポ-トに使う魔法石があったので、それを使うことにしたのだ。

エルマ-もア-ノルドも、まだまだ余裕がある感じだが、僕はへとへとだった。

地上に戻ると、二人に向かって

「 今回のダンジョン攻略は、本当にお世話になりました。僕一人じゃ攻略できなかった。色々教えて貰って助かりました。」

と感謝をすると、ペコリと頭を下げた。

「 気にすんなよ。俺ものぶと一緒で楽しかったよ。俺たちも初心者の頃があったんだと思い出してさ。」

「 そうそう。いきなり上級冒険者になった訳ではないですから。僕達だって先輩に教わりながらランクアップしたんだ。気にすることはない。君と出会えて楽しかったよ。」

ア-ノルドとエルマ-は口々に僕を慰めてくれた。

そして地上に到着すると、僕たちはシュレ-スの町へ行く馬車に乗った。

シュレ-スの町に到着すると、三人は一旦下宿先の宿へ戻り身支度を整えてからどこかで落ち合って夕食を食べることにした。三人が泊まっている宿は、偶然にも宿屋ヴィントだった。度重なる偶然に、三人は顔を見合わせて大笑いした。食堂で夕食を食べる約束をして、各自自分の部屋へ戻った。そして集合時間に食堂へ降りてきて、思いっきり飲んで食べた。

楽しい時間だった。



「 つ~、いってぇ。こりゃ、飲みすぎたな。」

翌朝、僕が起きると酷い頭痛がした。昨日の晩にア-ノルド、エルマ-そしていつの間にか宿屋ヴィントの主で元冒険者のアルノ-さんと四人で酒を飲みに飲みまくったのだ。

僕を除いた三人の駆け出し時代の話を酒のつまみにして楽しんだのだった。

ア-ノルドとエルマ-とは昼前に約束をしている。今回の魔物のアイテムを分ける話をするためだ。まだ2時間ほど時間があるので、僕はコ-ヒ-を入れて一服した。

部屋の中は静けさに包まれ、窓からは暖かい日差しが注いでいた。窓を開けると、やんわりとした風が緩やかに入ってくる。昨日までのインゼクトダンジョンでの日々が嘘のようだった。

僕が無事に帰ってこられて、おまけにダンジョン攻略までできたのは、本当に運が良かった。

あの二人に合わなければ、僕は途中で死んでいたかもしれない。

二人のおかげで多少なりとも僕の経験値は上がり、もしかしたらランクもアップしているかもしれない。午後に冒険者ギルドへ行って確かめよう。ぼんやりと考えながら、僕はゆっくりとコ-ヒ-を飲んだ。


約束の時間に、僕はア-ノルドの部屋を訪れた。エルマ-は、僕より少し遅れて来た。

三人が拾い集めたアイテムは、きっちり三等分にすることになった。これはア-ノルドやエルマ-の流儀だという。僕は恐縮して三等分ではなく一部でいいと言ったが、二人は頑なに拒否した。

「 それぞれが自分にできることを精一杯やったんだから、三等分でいいんだ。な、エルマ-。」

「 かまわない。僕たちも先輩にそうして貰っていたんだからな。」

僕はつくづく人に恵まれていると思った。

こんな事を言ってくれる上級冒険者はいるだろうか。そんなわけで、僕らはアイテムを三等分に分けた。


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