第七十二話:異世界で仲間が増えるのは愉快です。
オマケみたいな短さになってしまった……。
もうちょっと書いたつもりだったんですが……。
まぁ、2話続きのちょっと長めの話だったんで、乱数調整ってことで……。
次はもうちょっと読み応えある感じになるはずなので、楽しみにしててくだされば幸いです!
「ヤタクロウのセイカです。みんなも仲良くしてね」
朝一番。フラーディアのオフィスで新しく迎え入れたヤタクロウ、もとい星火をお披露目します。机の上で大人しくしているセイカは挨拶するように一つ鳴きました。それにみんなも挨拶をして、一人ずつ紹介していきます。セイカはそれに確認していくみたいに順番に顔を見ていきます。
「これで安心ですわね」
「うん。新しい仲間が増えてくれて、純粋に嬉しいしね」
みんなも快く受け入れてくれて、興味津々にセイカを構っています。こんなに構われると思っていなかったのか、セイカはちょっと戸惑った様子ですね。ミヅキはそんなセイカが可笑しいのか、揶揄うように戯れています。この様子なら預けても大丈夫でしょう。
後のことを頼んで、私は講義に向かいます。先に教室に入ってた明香里と成美に挨拶をして、私も定位置に着きます。私の様子を見て、明香里が「何かいいことあった?」って聞いてきます。
異邦に来て魔力っていうものが身に宿ったからなんですかね。明香里にはこういう指摘をされるようになった気がします。誰も気付いてないだけで、魔力が色々作用してるのかもしれませんね。常識外れの存在が異邦人なわけですし。
「まぁね。ヤタクロウっていう魔獣を引き取って来たの。シーキャットの相棒なんだって」
「ヤタクロウって……、八咫烏ってこと?」
「うん。シーキャットが安全に伝言を運べるようにルートを確認したり、危険が迫ったときに護ったりする役目があるんだって。八咫烏にも、天皇を道案内したっていう伝承があったりするから、そこから昔の異邦人が名付けたのかもね」
「へぇ~。八咫烏ってそんな伝承あるんだ。初めて知った」
そんな話をしている内に講師の方が来たので、大人しく講義を受けます。それなりに進んで来たので、内容もちょっと難しくなってきたんですよね。まぁ、だとしてもぶん投げられるわけでもないですし、眠気と戦いながら今日の分をこなします。一通り終わって、昼食の場で、さっきの話の続きをします。
「そうそう。それでね、魔獣の改良種って4種類いて、その中には犬型の魔獣もいるんだって」
「番犬ってこと?」
「みたい。主人の魔力を覚えて、危険が迫ると遠く離れててもテレポートして守ってくれるんだって」
「そんなのもいるの。魔獣ってなんでもありね」
「カーフェンっていう種族なんだって。明香里さ、前に犬飼いたいっていってたじゃん?」
「言ったけど」
魔獣っていう響きでちょっと引いてるみたいですね。迷ったように唸ります。
「魔獣管理所っていう、ペットショップに研究施設がくっついてるみたいな施設あるんだけれど、そこで取引もできるの」
「ヤタクロウもそこで取引してきたってこと?」
「うん。取引してくれた人もすごく誠実で、信頼できる人だったから、興味があるならどうかなって」
「うーん……、ちょっと考える」
「そっか。もし、取引するなら国立魔獣管理所のセラフィマ・ヴァン・チェレホヴァさんって人、指名してあげて。紹介するって約束したから」
「わかった。……メモっていい?」
「覚えづらいわよね、この世界の人たちの名前」
「欧米も欧州も北欧も関係ないからねぇ」
きっとお付きの人が覚えておくでしょうけれど。まぁ、ともあれ、これで義理は果たしました。あとどうするかは明香里次第ですし、私がタッチできる領域の話ではありません。全く興味がないわけではない様子ですし、悪いようにはならないでしょう。いいことが起きたらいいな、と思いながら昼食を食べ終えました。




