第四十六話:異世界なのに友人とのゴタゴタです。
そこそこ長く書いたつもりだったんですが、全然文字数ないですね。
書きやすいキャラかそうじゃないかが如実に出てしまっている……。
もうちょいこう、いい感じに他の子たちにも出番を上げたい所存。
気持ちだけは、十分にあります。
二日が経って。
嫌になった顔でオフィスに成美がやってきました。
どうも美雨の不機嫌はまだ直っていないようですね。
まぁ、一日二日で機嫌を直すようなら私たちだって距離を置いていないんですけれど。
成美はそれに耐えられなくて避難して来たみたいです。
姿を見ない間、私たちが何をしてたのか聞かれたので、包み隠さず話しました。
「あたしもこっちで自習させて。流石に美雨に付き合ってらんない」
「構わないけれど、見ての通りだし、このオフィス騒がしいよ?」
「美雨の不機嫌に付き合うよりよっぽどマシよ」
……相当なんだなぁ。
隼と宗士の2人でどうにかできるだろうか、とちょっと心配になります。
「アレン様、よろしいかしら」
横で作業をしていたメリッサが声をかけてきます。
なんだろうと思うと、他のみんなも厳しい視線で成美を見ていました。
流石に気付いてか成美はちょっと怯んだみたいです。
「みんなは、成美がここ使うのに反対なの?」
「いいえ、アレン様のご友人であり、異邦の方ですから反対は致しませんわ。ですが、無条件というのは些か、処遇が甘すぎるのではなくて?」
「……つまり?」
「アカリ様のように目標を見付け、それに向かって努力すると言ってここを使うならともかく、向き合うのが面倒だという理由だけで避難所に使われるのはアタシたちもいい心地はしませんわ」
「ああ、なるほどね」
明香里の時に何も言わなかったのは、義務教育制度を作るっていう大きな夢を掲げたからか。
ここは夢に向かって邁進する人の為の場所だと言ったのは私です。
それを違えるのは確かに、みんなには面白くないでしょう。
「それに」
と、リリーが続きます。
「ナルミ様はまだ謝罪してない。まだアレン様に全部頼ろうとしてる」
「……成美に手を煩わされたこと、ほとんどないんだけど」
「他の方と比べると規模が違うからそう感じるだけ。ナルミ様もアレン様に頼りっ切り」
「確かに頼りになるとは思ってるけれど……」
「同郷のご友人なら頼りにするのは当然では」
成美の後ろに控えていた執事が口を開きました。
私達の会話に彼女達が当たり前に横から口を出したから、発言していいと思ったみたいですね。
まぁ、オフィスは発言自由と言ってるので特に咎めはしません。
だからといって断りの一つもないのはどうかと思いますが。
彼にはブラッドが反論しました。
「頼りにするにも程度があるという話をしています。今回は度が過ぎるので、何かアレン様に利になることを提示するなら、僕たちはとやかく言いません」
「利害で困ってる友人を見捨てるのか」
「そうは言ってません。ここを使うこと自体は反対しないと言っているじゃないですか」
「じゃあ」
「場所はお貸ししますけれど、お客様としてもてなすことはしません。僕たちは僕たちの仕事がありますから」
「客扱いしろとは言わないわよ……」
「そういう態度に見られたことには違いないって話しでしょ」
明香里が反論しました。
明香里が口を出すと思ってなかったみたいで、成美は罰が悪そうな顔です。
思い返してみれば、先触れもなしにオフィスに来たんですよね。
その上でここを使わせてほしいってお願いの仕方も粗雑でしたし。
明香里みたいにお伺いを立てるのでもなく、私が許すのが当然みたいな態度。
成美は美雨に比べて無茶な要求しないし、お互い様な部分があると思ってたから、私も当然のように受け入れてましたけれど。
そもそもそれが可笑しいという話だったか。
本当に追放系のラノベかよ……。無自覚って怖いね。
喧嘩になられても困るので仲裁に入ります。
どちらの主張もわかったから、一先ず落ち着いてくれと言えばフラーディアメンバーは引いてくれました。
私が利用されるばっかりになりそうだったから、助けてくれたってことみたいですね。
あとでちゃんとお礼言っておかないと。
成美の後ろに控えてる使用人たちは睨んできますが、別に怖くはないですね。
まるっと無視して成美に向き直ります。
「成美は、この世界でやりたいことある?」
「……すぐには思いつかないわよ」
「それを考える気はある?」
「……ある、けど」
「けど、なに?」
「…………なんでもないわ」
思いつかないは言い訳でしかないって、気付いてくれたってことでしょうか。
それとも言い訳さえ思いつかなかったか。
とりあえず、話を進めますか。
「前にも言ったと思うけれど、このオフィスは自分の好きなことを好きなように突き詰めていけるように、異邦の文化や文明、知識、知恵を貸しながら支援するための場所なわけだ」
「ええ、そう言ってたわね。だからあたしも何かしなきゃいけないって話?」
「別にそうは言わないし、すぐにやりたいこと思い付けないっていうのもわかる。好きなことを突き詰めるためにいるわけじゃなく、サポートに入ってもらってる子もいるしね」
「つまり、何が言いたいの?」
「成美がここにいること自体は別に構わないけれど、異分子である自覚くらいは持ってほしい」
少し、肩が揺れました。
一匹狼気取って、自分は自分の好きにすると言う割に、寂しがりでのけ者にされると機嫌が悪くなる。
集団の中で孤高を気取るのが好きなだけの臆病者。
排斥が怖い気持ちもわかります。
私だってそうだから、こうやってみんなのワガママやお願いを聞いては叶えて、頼られては応えてきました。
でもそれじゃあ、誰のためにもならない。
誰のためにもなってなかった。
異世界に来ることなく、普通に大学を出ていたら、この集まりは自然消滅していたでしょう。
思い返せば高校でも、中学でもそうだった。
友人だと思ってた子たちは、ただ私が都合のいい相手だったから一緒にいて、利用してただけ。
手元に置いておけなくなったから、利用価値がなくなったんでしょう。
頻繁に連絡を取って使い叩こうって子がいなかったのは、この最終的に投げっぱなしにする性格とサブカル趣味の所為かな。
そういった打算がなかった幼馴染だけが、長く続いた関係だったのも納得です。
「何もないなら何もないなりの身の振り方がある。だから、ここを使う条件」
「……なに」
「私に聞けばいい、お願いすればいいって思うこと、これからも絶対あると思う。そのときは真っ先に私のところに来ないで、先に自分で解決する方法を探して。ダメなら他の人、自分の使用人とか明香里に相談して。それでも解決できないなら私のところに来ていいよ。明香里も、成美が自分で解決できそうなことは突っ返していいからね」
「うん、わかった」
「私は助力を頼まれたら断れないし、成美たちに対しては同郷のよしみで余計に甘くなる。無条件で仕方ないって言って手を貸しちゃうから。だから、線引き」
私自身のけじめもこめて。
「親から自立したのに、友だちから自立できないのはおかしいでしょ?」
「……それもそうね。自力で生きるって言ってるのに、都合のいい時だけアレンに助けてもらうのは、違うわ」
「わかってくれて嬉しいよ。だからといって一人で頑張りすぎて潰れたりしないでよ。後味悪いから」
「気を付けるわ」
わかってくれたみたいです。
自力で生きるってずっと言っていただけはありますね。
便利だから頼ってたけれど、それが全部じゃないのはわかってる。
成美は改めて私を見て、それから頭を下げました。
「今まで頼りっきりにしててごめんなさい。これからは、本当に困ったときに相談に乗ってください。お願いします」
「うん、いいよ」
成美が頭を下げたの、初めて見ました。
っていうか、美雨たちに謝られたこと自体、ほとんどないです。
こっちが頭を下げた記憶もあまりないので、お互い様かもしれませんけれど。
こういうところもいけなかったんでしょうね。
親しき中にも礼儀あり。
友だちだからって外しちゃいけない道理があることは忘れちゃいけませんね。
「じゃあ、講義を一時的に抜けて私たちに合流することと、寝泊まりを離宮に移すことの報告と準備のお願いを自分の使用人たちに指示出してね」
「指示って、どう言えば……、いや、それも自分で考えることね」
困った顔をしながらも、成美はどうにか自分の使用人たちに指示を出します。
基本的に今、私が言ったことを反芻するだけですが。
でも自分で動こうと意識を改めたのだから成長しはじめてるんですよね。
「成美がこっちなのはちょっと嬉しい」
「そうだね」
こそっと明香里が耳打ちして来ます。
派閥を作るつもりはありませんが、今のところ二分化しちゃいましたからね。
美雨がいつ、落ち着くかにもよりますが。
できるなら喧嘩別れにならないようになればいいなぁと思います。




