第四十話:異世界の子供達に折り紙を教えます。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
今年もまた、月2更新を目標にキーボードを叩いて行きたい所存。
皆様の楽しみの一つになれば嬉しいです。
本日土曜日。特に予定はないというか、普通に休日です。平日は時間通りに叩き起こされる美雨たちも、休日の朝はのんびり好きに寝てるようですね。休みの前日だからって夜更かししてたのかな。朝食を食べながら今日の予定を確認していきます。まぁ、何もないんですけれど、と思ってたんですけれど。
「アレン様、第四王女のユスティーナ様から、本日の8つ目の鐘の頃に遊戯部屋にお越しくださいと招待がありました」
「ティーナ様から? あ、前に遊んだ時にまたって約束したからか。他に予定はないよね」
「はい。本日は休日ですので、予定は入っておりません」
「じゃあ、是非ともお邪魔させてくださいって伝えておいて」
「かしこまりました」
「なんの話?」
ブラッドが頭を下げたのと、明香里がやって来たのは同時でした。成美の方が早く来ると思ったので意外でしたね。あの子も昨日は遅くまで起きてたのかな。
「おはよう。成美が先に来ると思ってた」
「おはよ、私も。アレンしかいなくてびっくりした。それで、なんの話してたの?」
「デビュタント前の王子様と王女様が一緒に遊ぼうって誘ってくれたの」
「へぇ、いいなぁ。デビュタント前だから……何歳?」
「年長のミクラーシュ様とユスティーナ様が12歳。今年デビュタントで来年からアカデミー。年少はコンスタント様の4歳。講義でやったでしょ」
「そうだっけ。自分に関係ないからその辺あんまり覚えてないや」
「も~……。王子様や王女様のことは覚えておかないとマズイって」
「会ったことないと覚えきれないよ~。11人もいるじゃん。あ、わたしも一緒に遊びに行ったらダメかな」
「えっ、……お伺いたてるくらいはいいかな。エルネスト、今からブラッドに追い付ける?」
「お任せください」
「よろしく」
さっき出て行ったばかりだから、エルネストの足があればブラッドに追い付くのは難しくないはず。部屋を出て行ったのを見送って、残った朝食を食べながらお喋りします。
「明香里って子供好きだった?」
「そうだよ。本当は小学校の先生になりたかったの」
「うちの大学、小学校の教育課程なかったと思うんだけど」
「うん、なかった」
「なんであそこ入ったの?」
「教育課程がある大学でわたしの学力で入れるところ探して、あそこが条件よかったから、よく確認しないで入っちゃったんだよね」
「あー……」
自業自得というか、何というか。でも目標があって頑張りはしたんでしょう。ただちょっと、確認不足だっただけで。まぁ、過ぎたことです。とやかく言う意味はないでしょう。
「この世界にも小学校みたいなところ、あればいいのに」
「そうだね。平民用の寺子屋みたいなところがあったら、平民の雇用口も広がるだろうし」
「この国で義務教育制度作らないのかな」
「明香里が自分で作ってみれば? 国で運営してる孤児院とかに協力仰いでさ」
「うーん……」
用意された朝食を食べ始めて明香里は一つ唸りました。できる気がしない、って顔に書いてあります。制度を作るのは確かに簡単ではないですけれど。でも国の発展のための人員なら、しっかり企画書を作ればいろいろ働きかけてくれると思います。
「明香里が動けば、手を貸してくれる人はたくさんいると思うよ。なんたって私たち、異邦から来た聖女なわけだし。そういう新しいことをするための人材なんだから、やってみなきゃ」
「……そっか。アレンは、手伝ってくれる?」
「まぁ、手伝うこと自体はやぶさかではないよ。とりあえず、義務教育についてどういう制度か、紙にまとめてごらん。異邦で潰えた夢を叶えられる一歩目になるかもよ」
「じゃあ、ちょっと、やってみる」
「うん、頑張って。できたら見てあげるから」
「わかった」
ちょっとはやる気になったみたいです。義務教育課程を作る、言葉にすれば簡単なことですけれど、道程は長いでしょう。でも平民向けの小学校を作って識字率を上げることは国を守ることにもつながります。日本がそうだったように、教育と言う観点から他国の付け入るスキを失くすというのは、政治においても重要でしょう。……スヴァンテ様の受け売りですが。
話している内に他のみんなも起き出してきて、私一人、先に朝食を食べきってしまいます。一応、他のみんなにも午後からの予定を伝えてみますが、明香里みたいに食いついてはきませんでした。うん、美雨と成美は特に子供嫌いを宣言してたもんね。隼は美雨が行かないならと辞退して、宗士は子供は嫌いじゃないけれど王子様や王女様と遊んで怪我させたくないからという理由でした。面倒そう、というのが滲んでましたが。
午前中は暇なので、談話室を借りてみんなとお喋りします。食堂で顔を合わせても、勉強やマナー講座でのみんなの愚痴を聞くばっかりだったので、久しぶりに平和的な雑談ができました。話す内容は近況報告みたいなものでしたが。
そういうわけで、午後です。8つ目の鐘が聞こえる頃に、先日お邪魔させていただいた遊戯部屋までやってきます。明香里が一緒でもいいと快諾してくれたので、2人です。明香里の執事さんの案内でやってきた部屋にはすでに子供達が揃っており、更には何故かスヴァンテ様もいらっしゃいます。え? って思ってる間もなく、ティーナ様、アレキ様、ランド様、コンス様が勢いよく飛んできました。
「お久しぶりですわ、アレンさま!」
「アレンさま、おひさしぶりね!」
「ちゃんと来るなんてえらいじゃないか! あ、いや、来てくれて、ありがとう、って、言ってやってもいいぞ!」
「おひさしぶり、です! また、あえて、うれしい、です!」
「ああ、もう……。お久しぶりです、アレンさま」
勢いよく挨拶した4人の後ろから、ラーシュ様が呆れた声を出して、その更に後ろでスヴァンテ様が声を殺して笑っています。ティーナ様は相変わらず天使のような笑み。アレキ様は背伸びしたいお年頃に変わらず、カーテシーを披露して得意げです。ランド様はちょっと成長したみたいですけれど、偉ぶってないとカッコ悪いって意識は抜けきってないみたいですね。コンス様は前の時よりもたくさん喋れるようになってます。前にお会いした時からほんの2週間程なのに、子供っていうのは成長も早いですね。特にランド様とコンス様には感動します。私はそれにカーテシーで答えます。
「お久しぶりです、本日はご招待いただきありがとうございます。先日は楽しかったので、今日も楽しい時間が過ごせると楽しみにしてきました」
「いやだわ、アレンさま。前のようにおはなしなさって? あたらしいお姉さまができたみたいでうれしかったもの!」
「ふふっ、ありがとうございます。じゃあ、そうさせてもらうね」
「はい!」
ティーナ様にお願いされては拒否はできません。見て、この天使のような笑み。この笑みでお願いされて断れる人がいたら見てみたいものです。
「それで、紹介するね。この人は私のお友だちで、一緒に異邦からやって来たアカリ・ヨシダさん」
「は、はじめまして、アカリ・ヨシダです。今日はよろしくお願いします」
緊張したのかぺこりとお辞儀したのに、カーテシーで、と小さく注意すれば、慌てて明香里もカーテシーをします。子供達は大目に見てくれるようで、一人ずつ自己紹介していきます。その挨拶が終われば、後ろで見ていたスヴァンテ様が近づいてきました。
「お久しぶりです、アレン様、アカリ様。スヴァンテ・サー・シャングリラです」
「お久しぶりです、スヴァンテ様」
「お、お久しぶりです」
先に子供達と会話をしていたので驚きは薄れましたが、それでもどうしてここに居るんだろうと思ってしまいます。アカデミーって思ってるよりも近いんだろうか。
「アカデミーと王宮は、そんなに気軽に行き来出るのですか?」
「そんなに難しくありませんよ。学業を疎かにしなければ好きに出来ますから」
そういうものなんでしょうか。まぁ……、当人がそういうのなら、信じましょう。ラーシュ様のあきれ顔は、まぁ、突っ込まない方向で。
「お話しばっかりも飽きるし、早速遊ぼうか。この前の約束、覚えてる?」
「「「「もちろんです!!!」」」」
「約束?」
「折り鶴を教えたの。綺麗に折れるように練習してねって。じゃあ、みんなの練習の成果、早速見せてもらおうかな」
私がそう言えば、子供達は元気に返事をして早速、机に向かいました。正方形の紙は特別に用意したのか、何も書かれていない白紙の紙が机の真ん中に積み上がっています。目いっぱい折り紙で遊ぶつもりらしいですね。いろんな折り紙、教えてあげよう。
子供達が一生懸命に折り紙をしているのを、スヴァンテ様は興味深そうに眺めます。やってるのを見たら明香里もやりたくなったのか、一枚紙を取り上げて折り始めました。
「オリガミ、と言うらしいですね。この一枚の紙から鳥を作るのだとか」
「そうなんですよ。ふふっ、想像つかないでしょう?」
「ええ、まったく。異邦の方は皆、作れるものなのですか」
「日本人なら大抵の人は作れますね。子どもの遊びですから。ね」
「うん、わたしもおばあちゃんに教えてもらって、小さい頃はよく作ってました」
「この紙一枚でなんでも作れちゃうんですよ」
なんでもは過言かもしれませんけれど。でも、大抵のものは作れるんですよね。これを最初に考えた人、すごいなぁ。
「スヴァンテ様は、幼い頃に光代さんたちにこういう遊び、教えてもらったことってないんですか?」
「僕が幼い頃は皆さま、お忙しくされていて。時折、顔を合わせることはあってもこうして遊んだことはありませんでした」
「そうだったんですね」
光代さんたちの方が子どもの遊びに詳しそうですけれど。ああ、でもそうか。世界大戦から逃げる形でこっちの世界に来て、生きる為に必死なところで子どもと遊ぼうなんて、そんな考えにはなりませんよね。それよりは、この世界に早く認められるために勉強だったり、仕事だったりを優先するか。私たちは今のお姿しか知らないけれど、皆さんにだって若い頃ってあったはずですし。
「それじゃあ、今日は異邦の遊び、たくさん教えますね」
「それは楽しみです。……やっぱり無理して帰って来て良かった……」
「聞こえてますよ」
指摘すれば、スヴァンテ様は気恥ずかしそうにはにかみました。やっぱり簡単じゃないんですね、王宮とアカデミーの行き来。だから文通しようって話だったのか。こうして割と顔を合わせてると、文通って意味あるんだろうかとか思っちゃいます。まぁ、こっちの言葉の練習をさせてもらえて私は有り難いのですが。
「仲良しだね」
明香里はさくっと鶴を折り終えたみたいです。流石、慣れている。日本人で鶴折れない人の方が珍しいですからね。
「ボクが異邦にとても興味があって。アレン様にはたくさん教えてもらっているんです」
「話の内容、偏ってたりしませんか? アレン、サブカルばっかりだったから」
「さぶかる?」
「サブカルチャーの略で、アニメや漫画などのコンテンツのことを基本は指します。子供向けのものが大衆娯楽になり、新しい市場として確立されたことで生まれた言葉です」
「なるほど。言葉さえ、新しく生み出されるものなのですね」
「そうですね、異邦言語は100年も違えば別言語になる勢いでどんどん変わっていきます」
「100年でそこまで変わる?」
「近代文学と現代文学だとかなり違うでしょ。今は使わない記号だったり、書き方だったりするし。100年くらい前は横書きだと右から左だったでしょ?」
「……そっか」
まぁ、別言語は言い過ぎですけれど。でも古文と現文だと本当に別言語ですからね。だから古語辞典とか作られたりするわけで。この世界に残されてた月影の君の書物も、自動翻訳機能が働いてましたから。
「「できました!!」」
ラーシュ様とティーナ様の声が綺麗に重なりました。流石双子、息ぴったりです。自信満々に差し出された折り鶴は、確かに以前教えた時よりもずっと奇麗です。
「わぁ! すごく奇麗だね! 本当にたくさん練習してくれたんだね」
「とうぜんのことです!」
「少しでもアレンさまがおつくりになったものに近づけるよう、たくさんつくりましたわ!」
褒められるとラーシュ様も得意になって、ドヤ顔をします。ティーナ様も得意げです。可愛い~。頭撫でてあげたい。
「おれもできたぞ! ほら、すごいだろ!」
「おー、本当だ。今日は紙、破いたりしないで作れたね、すごいよ!」
「おれならこれくらい、とーぜんだ! へへっ」
前の時には力任せに引っ張ったりして破いてたんですよね、紙。あの時は悔しかったみたいですが、今は挽回できたことに満足みたいです。アレキ様とコンス様はもうちょっとですね。
「すごいぞ、みんな。こんなに複雑そうな鳥を作ってしまうなんて……。ボクも作り方が知りたいです」
「ダメですヴァン兄さま! アレンさまにはまたちがう、おにんぎょうのつくり方をおしえてもらうんです!」
「そうだぞ! アレンはおれたちとさきにやくそくしてたんだ! よこはいりするなよ!」
「あ、ああ……、すまなかった」
「アレン、人気者だね」
「そうみたいだね」
スヴァンテ様、ちょっと凹んじゃいました。その様子がちょっと可笑しくて笑っちゃいます。やっぱりスヴァンテ様って柴犬みたいなイメージなんですよね。耳が折れてるのが見える。その間にアレキ様とコンス様も鶴を完成させたみたいです。
「できた!」
「コンスも!」
「お、アレキ様とコンス様も、すごく上手になったね。練習、がんばったのがよくわかるよ」
「そうでしょ! コンスとたくさんれんしゅうしたのよ!」
「とりさん、つくるの、たのしい!」
「そう言ってくれて嬉しいよ。じゃあ、みんなが約束守ってくれたから、新しい人形のつくり方、教えてあげる。まずは、見本を見せてあげるから見ててね」
「「「「はーい!!!!」」」」
元気に返事して、子供たちは興味津々に身を乗り出します。スヴァンテ様も前のめり気味です。取り上げた紙を手早く折り上げていきます。出来上がったのは奴さんです。最後にペンを借りて、顔になる部分に目と口を書き込めば、子供たちは目を輝かせました。
「ほんとうににんぎょうだ!」
「ただの十字架だと思ったけれど、なるほど、確かに人形に見える」
「とてもかわいらしいわ、わたし、早くつくってみたいです!」
「アレキも!」
いい反応です。早速紙を手に取って、教えていきます。この前は一人で全員見たので、すごく時間がかかりましたけれど。今回は明香里がいてくれるので分担して子供たちの様子を見つつ、教えていくのでそこまで時間は掛かりませんでした。折るものの難易度もかなり違いますしね。最後に顔を書き込めば出来上がり。ついでに名前を付けて、名札みたいに胸元に書けば、みんな大満足みたいです。この前と同じようにごっこ遊びが始まります。しばらく遊んで、飽きてきた頃にまた新しく折り紙を教えて、それを繰り返すこと数時間。
「みんな、できた?」
元気な返事に手元を見れば、個性的な紙飛行機です。上手く飛ぶかはわかりませんが、まぁ、12の鐘が鳴るまでは遊べるでしょう。壁際に並んで、紙飛行機の飛ばし方をレクチャーします。
「まっすぐ、おし出すみたいに……」
「最初は上手く行かなくても大丈夫、練習すればちゃんと飛ばせるようになるよ」
「それじゃあ、飛ばしてみようか」
明香里と一緒に声をかけて、一斉に紙飛行機を飛ばします。当然と言えば当然なのか、子供たちが飛ばしたのはすぐ手前で落ちてしまって、私と明香里が飛ばしたのはそこそこの距離飛びました。一番手前に落ちてるのが、スヴァンテ様の紙飛行機ですね。
「ヴァンにいさまよりおれのほうがとんだ! すごいだろ!」
「コンスも!」
「そうだね、上手に飛ばせたね」
「スヴァンテ様、実は不器用だったりします?」
「いえいえまさか! ……って、弟や妹に負けていては示しがつきませんね」
まぁ、半分はわざとでしょうけれど。気恥ずかしそうにしながら飛ばした紙飛行機を取りに行きます。男の子たちは飛行機を飛ばすのに夢中になり始めましたね。誰が一番遠くに飛ばせるか競い始めました。女の子たちはそこまでじゃないみたいで、数回飛ばして満足みたいです。
「ティーナ様、アレキ様、実はもう一つ、折紙で作れるものがあるんだけれど、作る?」
「つくりたいですわ!」
「つくる! なにをつくるの?」
「じゃあ、作って見せるね」
ラーシュ様たちは明香里とスヴァンテ様に任せて大丈夫でしょう。私は机に向かって、新しく折っていきます。出来上がったのは……。
「わぁ、ローズ!」
「まっ白だけど、ちゃんとローズですわ! それにとってもかんたんにつくれるんですね!」
「白のローズはお庭にないの?」
「イヴァンナさまのお庭は、赤いローズだけですわ。遠いりょうちにはいろんな色のローズがあるとはお聞きします」
「なるほど、確かに赤いローズが一番きれいって言われるしね。白いローズも実際にあるんだよ」
「そうなの? アレキ、いつかみてみたいな」
「お気に入りの色のローズを見付けに行くのもいいかもね。じゃあ、作ってみる? ローズ」
「「つくる!」」
元気に言う2人に、私は作り方を説明していきます。ここまででいろんなものを折って来たティーナ様とアレキ様はもうお手の物みたいです。詳しく説明しなくてもあっと言う間に折っちゃいます。量産して花束にするということなので、私は折ったものを入れる小箱を作っていきます。人数分、用意できた頃には12の鐘が鳴りました。
「今日はこれでお開きかな。これ、ちょっと小さいけれど作った折り紙入れて使って」
「わぁ! ありがとうございます、アレンさま!」
「大切につかいますわ! ありがとうございます!」
「きがきくじゃないか! えっと、ありがとうっておもうから、つかってやるぞ!」
「ありがとう、アレンさま!」
「ありがとう!」
「はい、どういたしまして。私たちの方こそ、今日は一緒に遊んでくれてありがとう。また、折り紙の練習してね」
最後に挨拶を交わせば、子供たちは満足げに挨拶をして部屋を出ていきます。元気のいいその姿に手を振って、残ったスヴァンテ様に向き直ります。
「スヴァンテ様も、わざわざ足を運んでくださってありがとうございました」
「いえいえ、なにもボクはしてませんから。アレン様も、アカリ様も、弟と妹たちの相手をしてくださりありがとうございました」
「こちらも楽しかったですから」
「わたしも楽しかったです。子どもの相手するの、久しぶりだったので」
「それならよかった。よければこの後、ご一緒に夕食はどうですか?」
にこやかにスヴァンテ様は誘って来ます。たぶん、異邦のこと聞きたいんでしょう。手紙でやりとりするには限界もありますし。この前出した返事には確か、フラーディアのことも書きましたしね。オフィスの立役者のお一人ですし、私としても直接お礼が言いたかったので丁度良かったです。
「お邪魔でなければ是非。明香里はどうする?」
「わたしは……、子供たちの相手で少し、疲れてしまったので」
「そうですか、残念です。では、また機会がありましたらお誘いしてもよろしいでしょうか」
「あ、はい。機会があれば」
社交辞令って感じです。スヴァンテ様もこういう営業的なことするんですね。いや、するか。王子様だし。そういうわけで私たちは遊戯部屋を後にしました。
折角の新年ですので、媚びてみようかと。
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