77・コッシュトーの街 その一
続、シン視点です。
コッシュトーの街に着いて門を潜る。
ここへはお世話になったレカさんに挨拶に来た。父さんが亡くなったことも、伝えなくてはいけないだろう。
買い物をするというルカ様と途中で別れ、サラと一緒にレカさんの宿屋に行く。
街の中は人が多く、混雑していた。以前に聞いた、サランヴィーネへと行く街道に現れたという魔物は、まだ討伐されてないのかな?
通りの人の多さに辟易しながら歩き、やっと宿屋に着いた。
入り口の扉を開けると、レカさんが忙しなく動き回っていた。
「レカさん」
騒がしい中呼び掛ければ、直ぐに気付いてくれた。
「あら、シン。それにサラまで。久しぶりね」
「お久しぶりです」
「すみません、レカさん。ちょっと話があってきたんですが、出直した方がいいでしょうか?」
「う~ん……ちょっと待ってて」
宿屋の扉の横で邪魔にならないように待っていると、レカさんが来て裏庭に、と言われたのでそちらに向かう。
そしてそこで父さん達のことを伝えた。
「………………そう、大変だったのね」
「すみません、この間はなにも言わずに……」
「そんなことはいいのよ。じゃあ、今はその冒険者の人と一緒で、これから旅に出るのね?」
俺が頷くと、レカさんは少し寂しそうな顔をしたが、けれど直ぐに笑顔になった。
「分かったわ。お父さん達の分まで精一杯生きなさい。近くに来たら必ず寄りなさいね?」
「はい、レカさん。お世話になりました」
サラと一緒に頭を下げる。
その後、ルカ様が向かった商店が立ち並ぶ場所へと向かう。
そこはお昼時が近いせいか、人がごった返しており、ルカ様を見つけるのは無理そうだった。
というわけで一番端の屋台の横に座り、ルカ様が見付けてくれるのを待った。その方が確実だろう。
暫く道行く人波を見ていたら、俺の名を呼ぶ声が聞こえた。声が聞こえた方を向けば、反対側の屋台の前にルカ様が手を振っていた。
「シン、意外と早かったな。ゆっくり話をしてきて良かったんだぞ?」
「大丈夫です。レカさんも忙しそうでしたから」
「まぁ、お前達がいいならいいさ。じゃあ、早速手伝って」
そう言ってルカ様は俺の手に小さな袋を持たせた。中を見ると、音で分かっていたけどお金だった。
「二人で持てるだけ、直ぐに食べられるようなものを片っ端から買ってきて」
「串焼きとかパン系ってことですか?」
「ああ、その辺はお前達に任せるよ。ついでにお昼も済ませていいからな。集合はこの先を行った所にある噴水広場だ。
一応ここはまだ伯爵の領地内だから、目立つことは避けるようにね」
そのままルカ様は、串焼き片手に行ってしまった。
なにか急いでるんだろうか?
首を傾げていると、サラが俺の服の袖を引っ張った。
「お兄ちゃん、なに食べる?」
「俺はやっぱり肉かな。サラは?」
「私はなんでもいい。まともな料理が久しぶりだもの。昨日倉庫で食べた料理も美味しかったけど、馴染み深い料理が食べたい」
確かにルカ様のアイテムボックスに入ってる料理は、色々な大陸のものらしく、食べたことがない味ばかりだ。
「じゃあ、先ずはお昼を食べてから、ルカ様に頼まれたものを買えばいいか」
「うん」
はぐれないようにサラと手を繋いで、俺達は屋台を巡っていった。
読んで頂いてありがとうございました。




