表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/83

71・サラ

 「何事にも不可抗力ってあると思うんだよね」

 「……誰に言い訳しているんだ?」

 「……取り敢えず、シンに」





 シンが部屋の中に入ってから、瑠華達は扉の前で待っていたのだが、少し経った頃こちらへと近付いてくる複数の気配を感じ取った。

 恐らく、伯爵が部下達に瑠華達を捕らえるように命じでもしたのだろう。


 なんにせよ、面倒なことになりそうではある。


 「……主よ」

 「ふむ………シーン、も~い~かい?」


 コン、コンと扉を叩きながら、シンを呼ぶ。すると中から、大丈夫だという返事が聞こえてきたので、扉を開ける。


 部屋の右の壁際に置かれているベッドの前に、シンとシンによく似た外見を持つ女の子が立っていた。



 シンは茶色の髪に、エメラルドグリーンの瞳。中性的ではないが男としては線が細く、優しそうな雰囲気をしている。

 妹のサラは蜂蜜色(ハニーブロンド)といえばいいか、色素の薄い髪にシンと同じエメラルドグリーンの瞳。見た目はシンと似ているが、目元が若干鋭いので勝ち気な印象を受ける。


 今は扉から入ってきた、フードを目深に被った瑠華をじっと見つめていた。

 瑠華の心意を見抜くように。



 「ルカさん、お待たせしました」

 「いや、大丈夫だよ。でもこちらに向かってくる気配があるから、さっさとここを出よう」

 「……分かりました。サラ、ルカさんは信頼できる方だからそう見るな。後でちゃんと説明するから」

 「……ええ、分かったわ」


 サラがしっかりとシンに頷いて、次いで瑠華へと向き直り頭を下げる。


 「兄がご迷惑をかけたようで、すみませんでした。そしてありがとうございます。もう少しだけお力を貸して下さい」

 「勿論、そのつもりだよ。シン、妹の手を離すなよ」

 「当然です」


 シンがサラの手を握って瑠華に頷く。


 「悪いけど、シン達は先に安全な場所に行ってて。僕は伯爵のやっていたことの証拠を探してくるから」

 「一人で行くんですか?」

 「こういうことは一人の方が動きやすいからね。それにマリアとムツキが一緒だから、大丈夫だよ」

 「それもそうですね。分かりました」


 実際には証拠があるかどうか、微妙ではあるんだけどね。


 「この街で落ち着ける場所はあるかな?今から街を出たら、コッシュトーの街に着くのが夜になってしまうから、この街で一夜過ごそう」

 「………そうですね………俺達の家はもう伯爵のものになっていますから……南の倉庫街に行きましょう。あそこの周りはもう人は住んでいませんし、隠れるには丁度いいかと」

 「ふむ、ではそこで。シンは案内役ね。テトもついていってね」

 「了解です」

 「うむ、気を付けろよ」


 窓際に移動し、シンの影からリトを呼び出す。


 「リト」

 「……分かっているわ。二人のことは任せなさい」

 「わっ、お兄ちゃんの影からもこもこが出てきた⁉」

 「いや、テトとリトはもふもふだよ」


 そこは譲らないよ?


 「ルカさん、ノらないで下さい」

 「どうでもいい。さっさと行くぞ!」



 先ずリトに跨がったシンとサラが窓から飛び出し、次いでテトが後を追う。




 瑠華も窓から身を投げ出し、人の気配がない上の階に登る。運良く窓が開いていたので、身体を滑り込ませる。



 さてと書斎はどこかな~やっぱり秘密の書類は書斎だよね、定番的に。



 人の気配を避けつつ、手当たり次第に部屋を覗いて調べる。

 そしてこれまた運良く、直ぐに書斎を見付けることができた。扉を開けて中に入り、鍵を掛ける。


 「マリア、ムツキ、金庫みたいなモノを探して……って思いっきり目の前にあったよ」


 瑠華の呟き通り、あからさまに金庫にしか見えない箱が部屋の左側にでんっと置かれていた。


 「……あの男って馬鹿なのかしら?」

 「激しく同意」


 なんて言っていても、此処はファンタジーな世界。魔法でなにかしらの細工や仕掛けがされているのは、容易に予想がつくけれど。



 案の定、金庫が置いてある床には魔法陣が敷かれていた。スキル「完全解析」で確認する。




 『雷撃の陣』‥‥陣発動時に登録された血と魔力を持つ者以外が触れると、『雷撃(サンダーボルト)』が発動する。




 なんともシンプルな魔法陣だった。


 解析せずとも簡単な魔法陣だと分かったのだろう、マリアが瑠華のフードから抜け出し、魔法陣の前に立つ。

 そして純粋な魔力の塊を投げつけ、魔法陣を破壊してしまった。


 これぞ、魔力の力業である。



 「マリア、やるのはいいけどちゃんと調べてからにしてね」

 「大丈夫。ちゃんと主を見ていたわ。問題なしと判断したから、やったの」


 マリアの言葉に苦笑してしまう。


 「まぁ、気を付けてくれればそれでいいよ。さて、シン達に合流しないとね」


 魔法陣が壊された金庫には、書類とお金が入っていた。お金の方には手をつけず、瑠華は書類のみを根こそぎアイテムボックスに入れてしまう。




 その後、シン達に合流すべく、窓から街へと下り駆け出していった。







 

読んで頂いてありがとうございました。


短いので明日の20時にもう1つ投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ