56・一つ目完了
ちょっと短いです。
ではどうぞ。
「ふんむ、まさかこんなことになるなんてね。流石に予想外かな」
ずっとダンジョンの中にいるので時間の、一日の感覚がない。瑠華達の感覚だと三日だけれど、さてはて外の世界とはどれ程のズレが生じているか。
いや、時計は持ってるよ?でもね、昼か夜か分からないんだ。昼夜逆転している可能性もあるでしょ?
やっぱり時計を持っているなら使わないとダメだね。特に街の外では。てへ。
なんていうおバカなことを、寝る前に思ってしまった瑠華でした。
時計を頼りに約六時間睡眠をしっかり取り、寝惚けることなく目を覚ました。
顔の前にマリアが丸くなり、首の上にだらんとムツキが体を預けている。
スッゲーくすぐったい………………でも寝てる時は気にならないんだから、不思議だ。
「おはよう、マリア、ムツキ」
まだ夢の中の住人のようで、返事なのか寝言なのか分からない鳴き声が返ってきた。
上半身を起こして大きく伸びをして、朝の祈りを捧げる。そうしてベッドから降り、アイテムボックスから布を取り出し水魔法で濡らし顔を拭いてさっぱりする。
布を風魔法で乾かして寝間着にしている簡素なシャツとズボンのまま、マジックテントの外に出る。
「おはよう、テト、リト」
「「おはよう」」
布をテトに預けてアイテムボックスから、《宵闇》と《蒼穹》を取り出し鍛練をする。
十階層のように途中で止めることもなく、しっかり納得がいくまで出来た。相変わらず汗は尋常じゃないくらい出ているが。
鍛練を終えテトに預けていた布で汗を拭きつつ、水分補給を忘れない。
テントの中に戻るとシンが起きていて、既に準備は粗方済んでいるようだ。
「おはようございます、ルカさん」
「おはよう、シン」
皆で食事をしてから、瑠華も準備を済ます。
「よし、皆行くよ」
瑠華の言葉に全員が元気よく答える。
ボス部屋の出口の扉に手をかけ、ゆっくりと押して開く。その先には下に続く階段があるはずだった。
けれどそこにはまた部屋があり、しかも部屋の中央には紅色に輝く大きな結晶体が浮かんでいた。
「………………あら?」
予想外の光景に瑠華は気の抜けた声を出す。瑠華の後ろから入ってきたテト達も驚いていた。
「あれってダンジョンの“核”ですよね?」
「ああ、そうだよ。でもまさか三十階層で終わりなんて。SでもAでも五十から百はあると思っていたんだけど。ちょっとびっくり」
「そうなんですね」
話ながら“核”に近付いていく。
「でもこれを破壊すればダンジョンは消える」
「でも大丈夫でしょうか?ここにいる俺達は。ダンジョンと一緒に消える、なんてことは…………」
「大丈夫、なはず。僕もダンジョンを破壊するのは初めてだから、ちょっぴり自信ないんだけど。でもダンジョンが消える時に、入り口に戻るって書物で読んだことあるから大丈夫だと思うよ」
多分、という言葉は心の中で呟く。
腰に差していたミスリルの剣を抜き、“核”の前に立つ。
「じゃあ、いくよ?」
ミスリルの剣を左から横に一閃すると、“核”はパキィィンと甲高い音を立てて呆気なく崩れ後には塵一つ残らなかった。
その時、瑠華の身体に変化が起こった。
ん?この感覚は―――
変化の正体を確認する間もなく、部屋全体が光に満たされた。あまりの眩しさに腕で顔を庇う。
光が消え腕を下ろすと、そこはヴァルザ火山の火口だった。
どうやら無事に戻ってこれたようだ。
読んでいただいてありがとうございました。
54話の後書きに書いたように、明日から見直しと加筆を始めます。8日までじっくりゆっくりと考えながらやりますので、1話から読み直す方がいらっしゃいましたら、8日あたりに読んでください。
一度直しても二度三度と直す可能性もありますので。
作者の勝手で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
いつも読んでいただいてる読者様に心からの感謝を。




