表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/83

49・魔力の正しい使い方?

 「あ~……………マジかぁ……………」


 本当に、できれば別の場所で見つけたかった。


 「何をしている!急がないと身体が持たないぞ⁉」

 「ルカさん?早く行きましょう!」


 テトとシンが先を促すが、瑠華は二人に視線を送ってから“それ”に注意が向くように首を動かす。


 「「「………………!」」」


 テトとシン、リトが瑠華の視線を辿って漸く“それ”に気付いた。シンが目を大きく見開き“それ”を凝視する。




 炎晶石‥‥火の魔素の結晶体。純度が高く最高級品に分類される。


 (こう)晶石‥‥焔の魔素の結晶体。純度が高く最高級品に分類される。



 スキル「完全解析」で見ると間違いなかった。漸く見つけた。


 「本当に炎晶石ですか?」

 「ああ、間違いないよ」


 シンが今にも飛び出しそうなので、肩を掴んで留めておく。


 「でもどうするの?あそこまでの道はないし、足をつく場所もない。しかもこの熱さ。早くしないと死ぬわよ?」


 リトもシンが飛び出さないように、シンの前に回り込みながら瑠華に問いかける。

 瑠華はしばし考え込む。


 その間にも大量の汗が流れていく。



 「…………とある魔女っ子が言っていた…………」

 「魔女っ子?」


 突然不思議なことを呟きだした瑠華を、全員が注視する。


 「困ったことに直面したならば……………」

 「主よ、大丈夫か?」


 テトがおっかなびっくり声をかける。


 「とりあえず魔法をぶっぱなせばいいのだと!」

 「うん!とりあえずなんか危険なことだけは分かりました‼」


 何かする気だと、全員が後ろに下がり瑠華から距離を取る。



 『ここは我以外、何人(なんびと)(せい)が赦されぬ死の世界。ここにあるは我が孤独のみ。我は孤独を受け入れその先に訪れる死を甘受する。故に我は全てを拒絶する。我が為に穢れなき白き死の世界を』


 莫大な魔力の渦が瑠華の周りで荒れ狂う。瑠華は目を閉じて詠唱し魔力を解き放つ。


 『絶対なる死と氷の世界(フリージングワールド)



 瞬間、パキィィンという音が辺りに響き一面を白銀の世界に変えた。



 「よっしゃあああ‼これぞ魔法の真骨頂‼」


 思わずガッツポーズで叫んでしまった。


 「……………ルカさんが壊れた?…………」

 「フム、熱さで頭の中がふやけておかしな精神状態になっただけだろう。氷の塊でもぶつけてやれば正気に戻るさ、きっと」


 うっさいですよ、外野。


 ちなみに氷の塊をぶつけたら痛みで正気に戻るだろうけど、そのまま天に召されそうだね。





 「魔女っ子はこうも言っていた…………」

 「………………なんて?」


 シンが一応聞いてくれた。


 優しい子だね。


 「押して駄目なら更なる魔力のごり押しだと!」

 「とりあえず最初から最後まで非常識ということですね。分かりました」


 諦めたような疲れたようなタメ息を吐き、シンが会話を終わらせた。


 「兎に角これでもう大丈夫だね。早速取りに行っちゃおうっとハックショイ!」



 瑠華の魔法により、部屋全体が凍っていた。先程までの蒸せ返るような熱さはないけれど、今度は寒すぎて凍死しそうだ。

 瑠華は大量の汗をかいていたので余計に。


 マリアとムツキがシンのローブのフードから出て、瑠華の両肩に乗り暖めるように体を擦り付ける。

 もふもふふわふわしていて暖かくて気持ちいい。


 「ありがとうね、マリア、ムツキ」


 瑠華もお返しにすりすり撫で撫でする。お返しなのに瑠華の方が癒されてしまう。




 三人がいちゃこらしている間に、シンはリトを伴い炎晶石の所まで氷の道を慎重に歩いていく。


 「シン、転ぶなよ~」

 「はい、大丈夫です」


 シンの後をゆっくり歩きながら追いつつ、少しの希望を込めて言ってみたけれど、シンには含んだ意味まで伝わらなかったみたいだ。


 残念………




 「シン、そういう時は転ばないと」

 「えっ、なんでですか?」


 転ばぬように下を見ながら歩くシンは、振り返らずに聞き返す。


 「その方が面白いだろ?絵的に」

 「何を言ってるのかさっぱり分かりませんね!」


 漸く炎晶石の所まで転ばずにたどり着き、シンは瑠華に向き直る。


 「なんですか、絵的にって。まだルカさんが面白いからって言われた方が納得できます」

 「勿論そういう意味もあったけど、あえて言わなかっただけだよ?」

 「………………これどうしましょう?完全に氷に埋まってしまってますね」

 「砕けばいいだろ?」


 シンが見事なスルースキルを発揮した。ちっ。


 テトはいつも通りに取り合わずに、えいっと前足を降り下ろし炎晶石と紅晶石を根本付近から割った。


 それをシンが慎重に壊れないようにそっと持ち上げる。


 「やっと………やっと手に入れた…………」


 感極まったように抱き締めて涙を流す。


 「これでまた……………」


 暫くそのままでいさせてやりたいが、限界が近い。


 「シン、君はこれからどうする?僕的にはこのまま同行した方がいいとは思うけど、早く地上に戻りたいならリトと戻ってもいいよ?」

 「……………………いえ、このまま一緒に行かせて下さい。足手まといで微力な力しかありませんが、最後まで共に行きます」


 シンの言葉に瑠華は優しく笑い頭を撫でる。


 「君は足手まといなんかじゃないよ、大丈夫」

 「…………ありがとうございます……………」


 シンは少しだけ頬を染め、嬉しそうにはにかみながらお礼を言った。瑠華は静かに頭を撫で続けた。






 「さて、じゃあ行きますか!」

 「はい!」


 氷に包まれた炎晶石と紅晶石をシンから受け取り、アイテムボックスに入れる。




 後はこのダンジョンを破壊するだけだ。










 


 

読んでいただいてありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ