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39・解析と洗礼

 この世界の者にとって、ステータスは自分の生命(いのち)そのものである。



 数多あるスキルの中に「鑑定」と「解析」というものがある。


 「鑑定」とは物の詳細な情報を見ることが出来るスキルだ。

 雑貨、薬、装備、素材など物なら大抵鑑定で読み取れる。但し中には読み取れないものもある。

 例えば古代の魔道具、例えば魔法やスキルによって妨害されているものなど。

 けれど一番重要なのは、命あるものは見ることはできないということ。人は勿論、精霊妖精幻獣そして魔物。


 「鑑定」スキルを持っている者は多い。“商い”を生業とする者、武器を扱い魔物と戦う騎士や冒険者、王族貴族など。

 先天的に持っている者もいるが、後天的に手に入る場があるからだ。



 「解析」は「鑑定」の上位スキルのようなもので、物に加え命あるものも見ることが出来る。

 「解析」では相手の名前から属性、スキルの詳細まで見える。


 そして「解析」は、先天的のみのスキルになる。



 だが先にも述べた通り、この世界ではステータスは生命(いのち)そのもの。

 相手の了承なく「解析」スキルを使い他人のステータスを見たら罪になる。


 他人(ひと)のステータスの詳細な情報を見て知るということは、相手の生命(いのち)を握るということ。


 HPを見れば、後どれくらいで死ぬか分かる。

 MPを見れば、相手が後どれだけ魔法が使えるか分かる。

 体力、筋力、精神、敏捷、器用はあまり重要ではない、といえばおかしいが他に比べれば重要ではない。

 知性は魔力、魔法制御がどれだけ上手いか分かる。


 属性に関しては三歳の時に調べる場があるし、魔力、魔法が当たり前のこの世界で隠す意味はあまりない。

 隠す人や場合もあるけれど。


 スキル、加護は言わずもがなだろう。



 故に昔から「解析」スキルを持っていても、ステータスを見ることは禁じられている。


 尤も「解析」スキルは珍しい部類に入るので、持っている人自体少ないのだが。ただ解析機能がついた魔道具があったりする。


 「解析」スキルを持っている人は、申告などは別にしなくてもいいが他人(ひと)に使ったら大罪になる。


 捕まると良くて王族などの所有奴隷になり、飼い殺し状態。それを拒むとスキルを消去され、目を抉り取られ強制労働行きだ。



 何故「解析」スキルが使われたか分かるかというと、「偽称」スキルの存在があるからだ。


 「偽称」スキルはその名の通りステータスを偽るもの。

 「解析」スキルは、「偽称」スキルで防げる。


 「偽称」スキルは殆どの者が持っている。「鑑定」同様、お金を積めば手に入るスキルだからだ。


 スキルには種類があり常時、自動、自らの意思など発動条件が異なり。

 「偽称」スキルは自動と自らの意思。


 つまり「解析」スキルを使われると、自動的に「偽称」スキルが発動するということだ。

 スキルが発動すると自分には分かるので、「解析」スキルを使われたという仕組み。



 ただしこれは殆ど知られていないことだが、「解析」スキルには「完全解析」が存在する。これは「偽称」では防げない。

 過去にも持っていた者は数人なので、知っているものは極僅かだろう。



 ちなみにだが瑠華は「完全隠蔽」というスキルを持っているが、これは過去に前例がない瑠華のみのスキル。

 これは【カイン】のステータスを隠す為に、創造神セラフィミリムが創り与えたスキルだからだ。

 「解析」スキルで見ても“?”しか見えない。



 更にちなみにだが、通行証や身分証、ギルドカードには名前年齢職業しか書かれていない。



 自分に与えられたスキルを使って何が悪い‼という声もあるだろう。それに対して、


 悪い。


 という答えしかないのだ。ここヴゥントゥーザには。

 許されない、とも言う。


 ステータスが生命(いのち)そのものだと、小さな子供だって知っているこの世界で、相手の了承なく勝手に見るなど“傲慢”でしかない。


 勿論これは「解析」のみの答えだ。他のスキルはいくら使ってもいい。

 犯罪さえ犯さなければ。











 ヴゥントゥーザでは三歳になると神殿で“洗礼”を受ける。


 “洗礼”とは神による祝福を受けること。

 この世界では子供の死亡率が高い。主に病気や感染症などで。昔に比べれば低くなった方だがそれでも高い。

 だから三歳まで生きられたということで、これからの“生”を願っての祝福である。


 “洗礼”は祈りの間に一人で入り祈りを捧げる、というもの。

 大体時間的に十分程度だが、三歳の子供にはちょっと辛い。我慢するしかないけれど。

 

 この時、“神の加護”を得られる者もいる。


 ヴゥントゥーザの神は創造神セラフィミリムと彼女が自らの力から創った一三柱の神、そして人の想いから生まれた神がいる。

 人の想いから生まれた神は無数にいる。

 一三属性の精霊の神、剣をはじめとする様々な武器の神、鍛冶の神、酒、薬、調合、料理など本当に様々だ。


 加護を得られる者は結構いるが、自ら言うことはあまりない。自分だけの大切なもの。

 加護を得ればスキルや能力が得られる場合があるので、それをもとに職業を撰ぶ者もいる。


 貴族などは自らの有利とし、自慢する者が多い。



 そして例外的に生まれた直後に加護を得る者がいる。

 その者達は全員、一三柱の加護を得る。

 生まれた直後に、一三属性の色に包まれると加護を得た証になる。


 今世界で一番有名なのは、勇者一行の一人で“聖女”のジルトニア皇国第一皇女、レミーディア=ウェマス・フィーナ・ディザーレウェハスだ。

 彼女は生まれた時、聖と愛喜(あいき)を司る神、シルフィアーナ・トラスティの色である黄金に包まれたそうな。

 


 そして三歳の頃になると、魔力が覚醒し属性が生まれる。それを調べる場でもある。

 手を触れると魔力に反応し光る魔道具で調べる。

 人族は大体2、3属性が普通だ。その中で一番適性が高い色に光る。

 それから魔法に関する訓練をするのが通常となる。



 【カイン】にも生まれた時から、創造神の加護があったが光ることはなかった。

 「完全隠蔽」のスキルの効果のせいらしい。







 この世界ではステータスは生命(いのち)そのものである。


 それを決して忘れてはならない。







 

読んでいただいてありがとうございました。


本日22時にもう一話投稿します。


この小説は説明が多くて申し訳ありません。説明はスッと飛ばしていただいても大丈夫だと思います。

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