20・レンデルの村
本当に文章にするのは難しいですね。予定通りに進みません。
どうぞ、読んでやって下さい。
「………うぅ………以前の一人旅で治したのに…………………これも独り言……………」
虚しい事実に暫し、悶える。
どのくらいそうしていたのか、小さなノック音で正気に戻る。ドアに視線をやれば、もう一度小さく二回鳴った。
立ち上がり、フードを目深に被りながらドアに向かい返事をする。すると外から若い女性の声がした。
ドアを開けると二十代前半の綺麗な人が立っていた。
「あっ、起きられていましたか?」
「……………少し前に、ね」
「良かった。なかなかお見えにならないからどうしたのかと。申し遅れました。私は村長の娘のニーノです」
人懐っこい笑顔でペコリと頭を下げて挨拶をする。瑠華もつられて挨拶を返す。
「僕はルカという。大分疲れていたみたいでこんな時間になってしまって。これから挨拶に行きたいんだけど、村長は家にいます?」
「はい、ご案内しますね」
彼女の案内で村の奥に向かう。道すがら見かける村人は、少し警戒心を含む視線を向けてくる。村の位置的に旅人が余り寄らないせいもあってよそ者が珍しいし、この国の人間の価値観がこんな感じだ。
以前と変わらない様子に苦笑が漏れる。
「どうかなさいましたか?」
「いや…………」
笑ったのが不思議だったのだろう。ニーノが肩越しに振り返り聞いてきた。
「そういえば僕が言うのもどうかと思うけれど、男の元に女性一人で来るのは危ないと思うよ?」
「あっ、それもそうですね。フフフ」
危機感が全くない笑みに脱力したくなった。楽しそうに笑う彼女を見ながら歩いていくと、他よりは比較的大きい家に着く。
そのままドアを開け入っていく彼女に続く。入ってすぐの机に初老にさしかかった男性が穏やかな笑みを浮かべ待っていた。
「ようこそ、レンデルへ。旅人殿」
「申し訳ない、本来こちらから出向かなければならなかったのに、寝過ごしてしまって」
「構いませんよ、夜遅くに来たのは聞いていたので。この村には何もありませんが、どうぞゆっくりしていって下さい」
「ありがとうございます。お言葉に甘えて後一日だけ休ませて頂きます」
失礼だと思うが、フードを被ったまま頭を下げて礼をする。
「ねぇねぇ、旅人さん!旅人さんはいろんなところを旅してきたの⁉お話聞かせて!」
「これ!ニーノ!」
ニーノが先程までのおしとやかさはどこへやら、好奇心が抑えきれない様子で、机に手を置き前のめりになって聞いてきた。村長が咎めるように名を呼ぶが、聞いていない。
その様子に思わず口元が緩む。
レンデルには以前も二度ほど来たことがある。その時と村も、歳を重ねた村長も大人になったニーノもあまり変わっていない。
ニーノは村の外に出たことがないから、外の世界に興味がありたまに旅人や冒険者が来ると話を聞こうとする。以前来た時も少しだけ話をしていた。
ここはとても素朴な村だ。この国の首都とは大違いである。
この国では市民の命は軽く見られがちだ。身分と権力がはっきりしていて、貴族に逆らって殺されたなんてよくある話。
市民でそうなのだから旅人や冒険者はもっと悪い。遠まきに見られたり店では冷たくあしらわれたりなど。首都を中心に扱いは酷い。
けれど地方、隣の国との国境近くの村などはその定かではない。この村のように普通に受け入れてくれる場合がある。この国では村長やニーノは、変わり者の部類に入ってしまうが。
それに最初に対応した男の言葉は少し意外だった。他の街なら“殺す”って言われるのに、“捕らえる”って言われたから。
そしてこの国の最大の特徴は、実力主義だということ。強者は厚待遇される。だから自分の力に自信のある者はこの国に来て名をあげるのだ。
力さえ示せばどんな欲望も叶えられる、ここはそんな国。
閑話休題
「すまない、まだ休みたいから話はまたいつか」
ニーノには悪いが、今回は諦めてもらおう。ステータスとアイテムボックスの確認をしたいし。
正直、激しく面倒くさいし……………
「では失礼します。明日の朝には村を出ますので」
「娘が失礼しました。何も出来ませんがせめてゆっくりしていって下さいね」
軽く会釈し村長宅を後にする。
遠巻きに見られながら空き家に戻り、換気のために窓を開けてからベッドに腰かける。テーブルがあるが、力を入れたら壊れそうだったからベッドにする。
昨日は夜だったから分からなかったが、この家外から見ても相当ボロかった。もう何年も人は住んでいないのだろう。
それはおいといて、先ずはステータスから。
ちなみにステータスは魔力が無くても見られる。生まれながらの能力、スキルといえばいいか、“ステータスオープン”と唱えると目の前に自分しか見えない半透明の四角い画面が表れる。決して人には見えない。
人に見せたい場合などは身分証とかギルドカードにステータスが写し出せるからそれを見せる。
滅多にやることはないけれど。ステータスは己にとって命と同じものだから。
「ステータスオープン」
名前 ルカ・ロッカザキ
年齢 17
レベル 278
職業 無職(笑)
HP SSS(緑) MP SSS(緑)
筋力 SSS(緑)
体力 SSS(緑)
知性 SSS(緑)
精神 SSS(緑)
敏捷 SSS(緑)
器用 SSS(緑)
属性 全属性 無(重力、空間、結界、召喚、隷、生活)
固有魔法 浄化と再生の光―ディパインハーモニー―
魔眼 魔導の魔眼 能力 魔力吸収 蓄積 譲渡 干渉
スキル 言語理解 完全解析 完全隠蔽 剣技 格闘技 気技 武功技 戦闘技 完全状態異常耐性 調合 限界突破 料理 貴族作法
称号 『異世界の者』『勇者(爆笑)』『世界を救った英雄』『神々の寵児』『唯一無二の勇者の友』『神の神官』『剣神』『気を操る者』『格闘術超越者』『調合を極めし者』『あらゆる武器の申し子』『魔眼覚醒者』『世界に絶望を抱く者』『冷酷な鬼畜英雄』『冒険者を極めし者』『魔法殺し』『天然(人)たらし』『ハーレム野郎(願望)』『血狂い』
加護 創造神セラフィミリムの加護
一三柱の加護
状態 良好
「待てぇぇぇぇぇぇぇい‼」
英雄の心からの叫びが空き家に響いた。
すぐに村を出るつもりが長くなってしまいました………
読んでいただいてありがとうございました。




