エピローグ 3 メインヒロインに物語を丸投げしてみた
金髪が黒髪に『メモ丸』の話をしてあげていると、途中で赤髪がおずおずと声を発した。
「……あのう、金髪さん」
「ん? 何?」
「……追加で何か頼んでもいいですか?」
「…………」
何かと思えば、まだ何か注文したいという要望だった。まったく、本当に遠慮がないわね。……まあ、いいんだけど。
「いいわよ、他に何か頼んでも。あたしもドリンクが欲しいなぁと思ってたし」
「さっすが金髪さん!いい人すぎます! 好きです!」
「雑な感謝だけど、許してあげる。黒髪も何か飲む? それとも何か食べる?」
「あ、では、何か飲み物を……」
三人は再びメニュー表を開き、金髪はコーラを、黒髪はウーロン茶を注文し、そして赤髪はホルモン一人前とメロンソーダを追加で注文した。
オーダーした飲み物などが手元に届くと、その飲み物に口をつけながら話を再開する。
「そのあとは、主人公の通う高校に行ったわね。そして新キャラの、レミアを登場させたわ」
「レミアちゃんは可愛かったですよねー。七歳の高飛車幼女。最高でした」
「あんたの欲望のままに作ったんだから、そりゃあんたは最高でしょうよ」
「高校に七歳の少女を登場させたんですか?」
「そうよ。もちろん全て権限の力でね」
「へぇー、本当に何でもありなんですね。でも楽しそうです」
黒髪はそう言ってから、ウーロン茶の入ったグラスを傾けた。
「それからはいろいろあったわ。黒板消しがあたしの顔にくっついたり、昼食で食べようとした寿司がピクピクして喋ったり、扉が爆発して校舎の外に吹っ飛ばされたりとか」
「寿司のイレギュラー、あれは特殊すぎて笑いましたね」
「結局それは食べたんですか?」
「ちゃんと食べたわよ。完食してやったわ。慣れれば可愛いもんよ」
「き、金髪先輩って根性といいますか、肝が据わってますよね」
黒髪の言葉を聞きながら、あたしはコーラを一口飲む。
「それからいよいよ、『メモ丸』最大と言ってもいい、一大イベントの始まりよ!」
「ついでに一大エロイベントでもありましたけどねー」
「それは何かというと…白い液体で有名なカレピヌを、美少女悪魔に容赦なくぶっかけて、その美少女悪魔を退治するというものなのだ!」
「それはいいですねー、私もやってみたかったです」
「えっ? 黒髪ちゃんもそっち系の人?」
「あ、えっと、嫌いではないですよ」
まさかの黒髪が、あたしたちと同類ということが判明。これはいいことを聞いてしまった。後々に、この情報は有効利用させてもらおう。
「反重力フライングボードっていうので空を飛びながら、シューターっていう銃でカレピヌをぶっかけるんだけど、あれはマジで楽しかったわ」
「空を飛んだんですか? うわー、いいですね」
「そのあとも衝撃的なのよ。なんと、主人公の紘が、女の子になっちゃったの。イレギュラーで」
「ええーっ、ここに来てそれですか。しかもイレギュラーということは、、計画したんじゃなくて偶然なんですよね」
「そうそう、本当に偶然的に。まあそのおかげで、異世界にも行くことができたんだけどね」
「異世界にも行ったんですか。本当にいろいろありましたね、その作品」
ほんとにね。一つの物語でどんだけいろいろやってんのよ、っていうね。
「そして異世界で、変形する武器と魔法を使って、大人数と戦ったのよ。それもかなり印象的だったわ。今でも鮮明に覚えてる」
「バトルも入ってるんですか……」
「金髪さんが脇腹を切り裂かれて、呻いているシーンもありますよ!」
「赤髪ちゃん? そういうことは言わなくていいのよ?」
「あっ、はーい」
「それから、無事に主人公の紘は男の戻れて、一緒についてきた悪魔とも暮らすことになって、無事エンディングを迎えることができました。……こんな感じね」
「お疲れ様でした。聞けて楽しかったです」
願うなら、再びあの世界に行けますように。
そして、また彼に、みんなに会えますように。
作品に出演したあと、あたしはいつもそう願っている。
――しかしそれが叶うかどうかは、あたしの力ではどうすることもできないのである。
了




