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第三章 24 メインヒロインと主人公のようだ

「リムルううううううぅぅぅぅぅ!!」

「いたああああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 紘と乃子は急いでリムルのそばへ駆け寄る。リムルは、カレピヌをぶっかけて退治したロリ悪魔と似たような、とても肌色面積が多い格好をしていた。

 その服装というのは、ブラジャーに布を少し足した程度の黒の上着に、限りなくパンツに近い形をした同じく黒のホットパンツ、それに黒のニーハイブーツ、そして同様に黒の肘まである長い手袋というものである。

 しかし、リムルはあのロリ悪魔とは違い、その露出の多い服装に見合うだけの大人な体をしていた。

 ……しかも非常に憎たらしいことに。

 リムルはかなりの巨乳で、さらに金髪のロングツインテールという、あたしの上位互換のような容貌をしていたのである。

「く、悔しいいいいぃぃぃ! うぎぎいいいぃぃぃ!」

 乃子はそう言って歯ぎしりをしながら、紘よりも先にリムルの前にしゃがみこんだ。

「この! リムル! 起きなさい! リムル! この!」

 そしてまるで腹いせのごとく、リムルの顔をはたき始める乃子。名目上は彼女を起こそうとしている行動のようだが、その実は八割くらいただの腹いせである。

「おい乃子! 腹いせはよくないぞ!」

「ち、ちち、違うわよ! これは腹いせじゃないわよ! 断じて!」

「だったらもっと優しく起こせよ! 明らかに強すぎなんだよ! もろバレなんだよ!

「これくらいしないと意識に届かないかもしれないでしょ!?」

「頭を打ったのなら普通安静にするべきだろ!? だから優しく起こしてみるのが普通なの!」

 ぎゃあぎゃあと言い合う二人。その二人の姿を見て、瑠兎と冥狐は同時に言った。

「まるで漫画のヒロインと主人公のようだぁ」

『やっぱりメインヒロインと主人公ですわー』

 乃子がリムルの鼻に指を突っ込もうとした直前になって、ようやくリムルは意識を取り戻した。

【……あー】

「リムルっ!」

 感極まった紘は、横からリムルに抱きつき、その豊満な胸に顔をうずめた。

【……こーやん……?】

「そうだよリムル。僕だ。紘だよ」

【……こーやん……。暖かいのん……】

 リムルと紘は、それからしばらくの間、固く固く抱き合っていた。

 あれ? いつの間にそんな感動的な関係に? あたし聞いてないんだけど。

 突然のその展開に、乃子は置いてけぼりにされたような気分になったので、自分もとりあえずリムルのお腹の辺りに抱きついておいた。

【……のーこ】

「初めまして、リムル」


 ハロー皆様。

 いよいよこの物語も、ラストを迎えることになりました。

 ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

【こーやん、本当にいいのん? あーしのことは黙っておいた方が、いいんじゃないのん?】

「大丈夫だよリムル。ママは、あともちろんパパも、可愛い女の子なら誰だって、どんな人だって大歓迎だからさ」

 時刻は、日の傾き始めた夕暮れ時。

 乃子と紘は、リムルと一緒に帰宅の途についていた。しかもリムルは紘の体内にいるのではなく、紘の隣を並んで、本当の意味で一緒に徒歩で家までの道を歩いていた。

「それに、僕が男に戻ったのを知ったら、ママは間違いなく落ち込むと思うから、女の子のリムルにはぜひその代わりになってほしいんだ」

【ほんとに、本当に歓迎してくれるのん……?】

「大丈夫よ。むしろリムルは悪魔なんていう貴重な存在だから、もっと大喜びかもしれないわ」

「それはありえるな。というか絶対そうだな。なんたって、住所不定無職の乃子を歓迎したくらいだからな、ママは」

【そう、なのん】

 リムルは乃子と紘のその言葉で、やや安心したような表情を見せた。

【…………】

 しかし、リムルは何かに引っ掛かっているようである。

「リムル? どうしたの?」

【……のーこって、住所不定無職なのん? あーし知らなかったのん】

「えっ!? そうだけど、そうじゃないの! なんていうか、乙女の秘密なのよ!」

 あたしの設定なんてまともに考えてないんだから、答えられるわけないじゃない。

【よく分かんないのん】

「ほ、ほら、メインヒロインってさ、大体どこから来たのか不明でしょ!? それなのよ!」

『苦しい言い訳だなぁ』

 ごめん冥狐、あたしもそう思ってる。

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