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第三章 19 スタイリッシュアクション

 その一撃を乃子は曲刀で上手く受け流し、代わりに蹴りを浴びせておく。魔術によって数段強化された乃子の蹴りを腹部に食らい、ロイドAは三メートル以上も吹き飛ばされた。追撃として魔力射撃を三発ほど撃つ。

 背後に気配を感じた乃子は、曲刀を構えて後ろを振り返る。その瞬間、戦闘用メイスが乃子目掛けて振り下ろされた。

 金属同士の接触する音が耳に響き、そのまま鍔迫り合いのように押し引きが続く。乃子は左手の杖をそのロイドBの顔面に向けると、先ほどキウイが放っていたものと同じ高密度レーザーを、惜しげもなくぶっ放した。

 さすがの頑丈さを誇るロイドもこれには耐えきれず、ロイドBは頭部に大穴を開けた。火花をバチバチと放ちながら、そのまま地面に崩れ落ちる。

「ひゅ~! カッコいい!」

 確かに格好良く撃破できたが、やはりその分魔力の消費は大きかった。今ので魔力をごっそり持っていかれ、残りはすでに半分近くにまでなってしまっていた。

 乃子が使える魔力は、大気中の魔力を勝手に吸収し自然回復するが、体質的に紘やメロンよりもその自然回復が遅い。これが昨日、キウイが乃子に対して言っていた、高貯蔵低回復型の体質のことである。

 紘やメロンよりも多く魔力を溜め込めるが、再回復のスピードは遅い。大技を連発できる利点はあるが、しっかり魔力を管理しないと大事なところで魔力が溜まっていない、なんてことになりかねない。

(しかもあたしは、その自然回復が防護壁での魔力消費量に追いついてないのよ!)

 そうなのである。

 つまり簡単に言うと、乃子は防護壁を張っているだけで魔力がガリガリと削られていき、最終的には魔力が全てなくなってしまうのである。キウイも、こんなに回復に時間のかかる人は見たことがないと言っていた。

 大方の人は、防護壁での魔力消費量よりも自然回復量の方が多いらしく、どんなに防護壁を張っていてもじわじわと魔力が回復していくようなのだが、乃子だけはまさかの逆だった。

(何であたしだけハードモードなのよ!)

 これでは見せ場を作るどころか、普通に戦うだけでも一苦労である。

 遠距離からの銃弾を防ぐために、このまま防護壁を張り続けるのは得策ではない。だとしたらまず、次に取るべき行動は――。

 銃を先に破壊すること。

 頭の中で優先順位を切り替え、乃子は迫りくる攻撃に曲刀と杖で対処しながら、合間を縫って戦場全体を見回した。とりあえずこちらを狙っている奴らで、銃を構えているのは三人。

「とうっ!!」

 一昔のヒーローもののような掛け声とともに、乃子は空中へ飛び上がった。そして空中で曲刀と杖を合体させ、武器をリーチの長い薙刀モードに変形させる。

 それから新体操ばりの空中捻り三回転を決めながら、重力と体重を乗せて薙刀を振り下ろした。斬撃がサブマシンガンを持ったロイドCの右腕に直撃し、乃子の着地と同時にその腕が大きく切り離される。

 銃を破壊しなければ意味がないため、乃子はすかさずもう一度薙刀を振るう。斜めに振り上げられた薙刀が、落下してくるサブマシンガンを真っ二つに両断した。

 魔術による肉体強化を維持したまま、ロイドCには目もくれず次のターゲットへ。

 拳銃を持ったロイドDは、乃子の接近に対応し近接格闘の構えを取る。しかし乃子は上手くフェイント織り交ぜると、薙刀の横薙ぎで華麗にロイドDの手から拳銃を弾き飛ばした。

 弾き飛ばした方向は、ちょうど最後のターゲットの方向にも合わせてある。乃子は走りながら、地面に落ちた拳銃に薙刀を突き刺して破壊し、そのまま矢のように最後の標的であるロイドEの所へ向かった。

(ラストは派手に! アクションゲームのように決めるわよ!)

 そう意気込むと同時に、ロイドEが貫通力のあるアサルトライフルをばら撒くように連射してくる。乃子はそれを超低姿勢で屈んでかわし、ロイドEのもとへ高速で距離を詰めた。

「せやああっ!!」

 叫び声を上げながら、薙刀の持ち手の部分を鋭く突き上げる。突き上げられた棒の先端が、ロイドEの顎の下に吸い込まれるようにクリティカルヒットし、ロイドEの体はアクションゲームのごとく空中に打ち上げられた。

 それと同時に乃子もまた空中に飛び上がる。十メートルほどの高さになると、乃子は連撃を開始した。

 まずは薙刀による空中三連撃。袈裟斬り、横薙ぎ、縦斬りとリズミカルに繋げる。それから薙刀モードを解除し、次の派生へ。

 杖からのレーザーで、ロイドEが持っていた右手のアサルトライフルを破壊。そして身軽になった曲刀で、再び空中連撃を叩き込む。

 右袈裟斬り、×を描くように左袈裟斬り、同じ軌道を戻るように斬り上げ、再度右袈裟斬りの今度は四連撃を放つ。

「そぉいっ!!」

 気勢を放ちながら乃子は体を縦に一回転させると、その回転を乗せた踵落としをロイドEの頭部目掛けて振り下ろした。ロイドEは弾かれるように地面に向かって吹き飛ばされ、そのまま大地とうつ伏せの状態で激突する。

 踵落としの慣性でくるくると空中で回転したまま、乃子は武器を薙刀モードに再変形させる。重力に引かれて地面へと落ちていき、着地と同時に地面に倒れ伏していたロイドEの頭部へ薙刀を振り下ろした。

 頭から首にかけてを真っ二つに両断され、ロイドEは機能を停止させる。指先までピクリとも動かなくなった。

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