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第三章 5 紘の心が歪んだ。でもお風呂。

 それにしても、レミアはなぜ彼女と知り合いなのだろうか。やはり悪魔とオカルトは繋がりがあるのかしら。もしかしたら、サイドエピソード並みに深い理由があったりして。

 もしそうだとしたら、すごく気になるわね。明日岡野瑠兎に会ったら訊いてみましょうか。

「最低でも今日明日は女の子か……。もちろん最大限楽しむけど」

 そんなことを呟く紘の姿を横目で見ながら、乃子は言った。

「それにしても紘、あんた女の子が板についてきたわね」

「そうかな? でもまあ、これはこれでコスプレしてるみたいで楽しいよ」

「それは良きなり」

 それから、まるでラブコメのように、紘と他愛もない会話をしながら家路についた。

 そうこうしているうちに種神家に到着し、玄関の扉を開ける。

「ただいまー母さん」

「ただいま帰りました」

 乃子と紘は靴を脱ぎ、ダイニングへと向かう。キッチンでは、継夜が夕飯の準備をしているところだった。継夜は一瞬こちらを見たが、すぐに手元に視線を戻した。そして夕飯の用意を続けながら、二人に対して質問を投げかける。

「今日は遅かったわねー。何かあったの?」

「……それは、うん。いろいろ……あったんだ……」

「? なんか歯切れが悪いわよ紘?」

「気のせい気のせい。何でもないよ。本当に」

「そう? それに、少し声が違う気がするんだけど? 風邪でも引いた?」

「……あー、うん……」

 どうやら継夜は、紘が女の子になっていることに気づいていないらしい。一瞬ちらりとこちらを見たのだが、どうやら変化に気づけなかったようだ。意識を傾けないと、意外と気づかないことがあるのは人間としてのあるあるネタである。

 乃子は紘の耳元に口を近づけて、囁くように言った。

「(ちょっと紘! 何ですぐに女になりました、って言わないのよ)」

「(だって、一目みたら気づいてくれると思ってたんだよ。気づいたら素直に言おうと考えていたのに、そしたらまさかの気づいてくれなかったんだよ。おかげで言うタイミングがなくなってしまったのですわ)」

「(たかだか女の子になりましたって言うだけでしょ? てか急にですわとか言わないで)」

「(自分から言うのは、なんか言いにくいんだよ。お前も男になってみたら分かるはずだ)」

「(あたしは男になったぜ、いえーい、って言うけどね)」

 こ・ん・な会話をしている場合じゃないのよ! あんたが女の子になりましたと言わないのなら、あたしが気づかせるように言っちゃうからね! 言うから! 言う言う言う言う!

「お母様! 紘様を見て何か言うことはありませんか?」

「んー? なぁに?」

 継夜は調理の手を止めて、しっかりと紘の方に顔を向けた。その瞬間、継夜の目がハッと見開かれる。そしてあわあわと口を動かしながら、動揺したように言った。

「紘! どうしたのその髪!? 銀髪でロングヘアーだなんて何かあったの!?」

「いや、そうじゃないんだよ」

「それにその格好! あんた女装の趣味があったの!? 母さんショックだわ!」

「違うんだよ、ママ」

「そしてその声! 声帯でも交換したの!? 女の子っぽい声になっちゃって!」

「だから、そうじゃないんだってば」

 紘は一歩前に出ると、両腕を横に広げた。僕を見てくれと言わんばかりの動作をしてから、ようやく紘は継夜に向かってはっきりと宣言した。

「ママ、実は僕、女の子になってしまったんだ」

「えええっ!? ――」

 継夜は息子の突然のカミンングアウトに驚き、口元に両手を当てた。

「――ややや、やや、やったああああぁぁぁぁ!! 念願だった娘だわあああああぁぁぁぁ!!」

 驚いたと思ったら、次の瞬間歓声を上げる人妻。そういえば男の子じゃなくて、女の子が欲しかったとか言っていたわね。偶然にもその夢が叶ってしまったのか。

「ああ! 嬉しすぎるサプライズだわぁ! よだれ出そう。ありがとう紘! あなたは最高の息子――ではなかった、最高の娘だわぁ!!」

「…………うん、……うん」

 今、紘の心が歪んだ音が聞こえた気がした。


 こんばんは皆様。

 全男子必見のお時間です。え? それは何かって? もう、分かってるくせにぃ!

 そう! もちろんお風呂シーンですよ。お・ふ・ろシーン!

「乃子。何でお前まで脱衣所に来ているんだ」

 部屋着(今までの男物)を着た紘が、あたしと真正面から対峙した構図で口を開いた。

「あたしは紘様のお背中を、お流ししようと思っただけです」

「そのキャラやめて。……で? 本音は?」

「女の子になった紘が、お風呂でどんな反応を見せてくれるか気になったので」

 あたしが脱衣所に来た理由は、今言った通りだ。紘がお風呂に行くところだったので、あたしも急いで準備して、堂々と後ろからついてきたというわけである。

「とはいえ、だったらお前も一緒に入るんだな」

「そうだけど」

「いいのか? 体は女だけど、心は男なんだぞ? いいのか?」

「何なら大事なところを、ガン見させてあげてもいいけど?」

「ノーサンキューですわ。だったら自分のガン見しますわ」

「あァ?」

『いやぁ、まったくもって新しいお風呂シーンですね! こんなの見たことありません!』

 正確には、まだお風呂に入ってないけどね。脱衣所シーンだけどね。

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