女好きの王弟
王都に戻り、日常が帰ってきた。
いつも通り朝早くに登校して予習をしていると、ふとメモを取ろうとした時に筆記用具を忘れてしまった事に気が付いた。
侍女がまた自分の世話に関してジャンケンしている所を目撃し傷心中であったため、準備を自分でしてみたが失敗してしまった。
購買に行こうと席を立つと、キャサリンが真剣な顔をしてデジャヴの様にこちらを見ていた。この流れはヤバいやつだと牽制することにした。
「一人で行くわ」
ハッとしながらキャサリンは涙で目を潤ませながら何度も頷いた。
「はい、はい。承知いたしました」
え、そんなに一緒にまた茂みに行きたかったの、、?
ヴィクトリアはちょっと悪い事をしたかなと思いながらも、〝いやいや私には茂みは無理よ、トイレに行きたくも無いし″と自分を納得させる様に言い聞かせた。
ヴィクトリアは颯爽と立ち上がり、教室の出入り口に行くと王弟のキールスが居た。邪魔だったので、目の前まで行って彼に話しかけた。
「どいてくださる?」
彼はカッと顔を赤くしてイラついた様に話しかけてきた。
「お前に何の権限があって私に命令するのだ?」
え、何この人。下級生の教室まで来てキモいと思っていたが、彼の前に萎縮した様なローラがいることに気づいた。
「申し訳ございません、ヴィクトリア様。
また貴女様にご迷惑をお掛けしてしまって」
何を言われているかよく分からなかったが、使い回しで対処した。
「いいのよ」
にっこりと笑って言うヴィクトリアにキールスは気圧された様にしていたが、気を取り直した様に彼女を嘲るように言った。
「ローラには私が話しかけていたのだが、高貴なるヴィクトリア様は彼女とどういう関係で?」
ヴィクトリアはこの人感情の振れ幅が激しいなと思いながらも、ハッキリと言った。
「彼女、私の専属侍女になりたいそうですの。
だから連れて行きますわね。
久しぶりに学校にいらしたのですから、サルコーニ公爵令嬢にご挨拶なさったら?
彼女、貴方を心配していらしてよ。
それではご機嫌よう」
返す言葉がなくモゴモゴと言い訳をするキールスを振り返らずに、さっさとローラを連れてヴィクトリアは教室を後にした。




