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王国現王派の人ノース伯爵


「違う。そうじゃない。聞け、馬鹿者ども。国とは一部の王族や貴様らの為にあるわけではない。諸事万端、民衆がつつがなく生活する為にあるのだ。わしはその手助けをしているに過ぎない」


 躾が出来てない子供に説教ように初老の男は説く。

 ただし、言い方が気にくわないので完全に逆効果であった。それどころか、正義は純血派にあるのに何故同じ貴族として賛同しないのかと考える者もいた。


「大層な御高説ですね。貴方が現王派首脳陣の一人ノース伯ですかな?」

「そんな大層なことはやっていないが、如何にも、わしがノース伯爵である」

「――なら話は早い。その首俺様がもらい受けるぜ!」


 純血派の一人がリーダーの制止を押切り、ノース伯爵の首筋に剣を突きつける。


「やれるものならやってみよ。暴力でしか解決方法を見出だせなかったお主らに今更何が出来るのだ?」


 しかし、動じなかった。それどころか逆撫でする。

 甘やかされて育てられた貴族の子息達にとって、逆らうことは十分過ぎる侮辱であった。


「俺様に向かってなんて言い草だ! ぶっ殺す!」


「「「させるか!」」」


 守るように兵士達は即座にモンスターをけしかける。複数によるスライムと大ネズミの特攻。

 だが一切相手にならなかった。犬とみまごうサイズであるレアクラスモンスター大サソリが大きな尻尾で一撃粉砕する。


「ノーマルやコモンクラスの分際でレアクラスの俺様に勝てるわけがないだろ?」

「まだだ! 大恩ある伯爵様には手を出させない!」


 テイマー自らアタックをかけてくるも、「おお怖い怖い」剣にバラの紋章がある若い純血派は余裕綽々でカウンターをお見舞いした。


 だが、


「わしのモンスターもノーマルクラスだがお前さん達には負けんよ」


 いつの間にか賊の数人が地面に伏せられていた。老人の仕業だろうか。蜘蛛型の魔物が味方の魔物共々白い糸でぐるぐる巻きになっていた。


「はぁ、先輩方情けない。まだ学生の俺を前線で戦わしてプライドは無いのですかね?」


 腑甲斐無い姿を見てイキっている薔薇紋の若い純血派は呆れる。新人だが名家なので味方でも暴走しがちで手を焼いていた。

 

「お若いの、悪いことは言わん。こんなごっこ遊びから即刻足を洗え。貴族なら家にも迷惑がかかるぞ」

「うるさいうるさい! 俺様に命令するな! 俺様に命令出来るのは俺様だけだ!」


 親に言えば何でも叶う環境にいた貴族は、他人の意見に一切耳を貸そうとはしなかった。


「困ったものだ」

「おいおいいい加減逆らうなよ。何をやろうが無駄なんだからさ。何故なら俺様達が神だからだ!」

「馬鹿も休み休み言え。神とはそんな大馬鹿者には宿らん」

「馬鹿にするなぁああ!」


 貴族と思考が連動している大サソリの尾が舞い、先端にある鋭い針が伯爵の首筋に向かって襲い掛かる。

 だが、刺さらない。

 寸前で蜘蛛の糸を使い絡めたからだ。

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