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殺し屋さん  作者: 酒吞童児
3/3

訣別

 「さて、準備は済んでる、行くぞ」

「解りました」

そして家へと帰る道すがら彼は計画を私に話してくれた。


 「こんな時間まで何をしていた。」

玄関の前、この声を聴くと相変わらず萎縮してしまう、でも自分から動かないと何も変わらない。

「母さん」

「なに」

「私は貴女を親と認めない、私はあんたの物じゃない、もう貴女は必要ない!」

「いい加減に黙りなさい!」

母は手を振り上げ、私は目を閉じる。


 「・・・いい加減にするのはあんたの方だ」

目を開いてみると彼が母の腕を掴んで止めている。

「お前は誰だ」

「答える必要は無い、ただ彼女に雇われた殺し屋だとだけ言っておく」

「お前がこの子をそそのかしたのね、殺してやる」

母は服の内から包丁を取り出して彼に斬りかかる。

「危ないな、だが他人を殺そうとしたなら自分が殺される覚悟はできてるようだな」

彼はあっさりとそれを受け止め縄で縛りあげると銃を取り出す。

「あんたは死に、彼女は呪縛から解き放たれる、私は人を助ける為にしか殺さない」

「どの道殺すのだから同じでしょう?」

母の嘲笑を彼は切り捨てる。

「それがどうした?私は殺し屋、少しルールが多いだけだ、じゃあなお前の顔もそろそろ見飽き。」

彼は銃の引き金の引こうとしてやめた。


 「お前がやれ」

そう言って彼は私に銃を渡す。

「こいつの戯言に耳を貸す必要はねぇ、額に当てれば直ぐに死ぬ」

「そ、そんな」

私がためらっていると。

「出来ないなら私がやる、貸せ」

「私がやる」

私は銃口を母に向けると目を瞑って引き金を引いた。

「外れか」

私が撃った弾は目標を逸れアスファルトに穴を穿った。

「打てただけで十分だ、貸せ」

彼は私から銃を受け取ると片手で母の心臓を打ち抜いた。


 「それでお前はどうする?母親が行方不明として警察に届ければ今までの暮らしを維持できるが」

母の死体は崖の下に捨てた、直ぐに獣の餌になるだろう。

「貴方と共に生きます」

「なら服装を整えろ、直ぐにこの街を離れる」

「何処に行くの?」

「・・・さあな」

「うん、わかった」


 服装を目立たない物に変え私が家から出ると、彼は木から飛び降りて来る。

「辺りには誰も居ない、お前たちは家族で行方不明、俺は元々転校生だし、そのうち居なくなると言ってあるから問題ない」

「はい、ではまずどっちに?」

「取り敢えず俺が使ってる森の中の小屋に行こう。

そこで訓練だ、殺し屋としてのな。

ついでに私の秘密も教えてやろう」

その言葉は解って居た。

「さあ、行こうか、ついてこい」

「はい」





一年後


「おい、仕事だ」

「今度はどこに?」

「政府の要人、悪性の限りを尽くし少女を誘拐して監禁している屑だ、その少女を救出して親元に返すと共にそいつを暗殺する」

「解りました」

「さあ、始めようか」

「はい、兄様」

私達は森を出る。

殺しの依頼は止まない、彼は嫌っているけど仕方ないのだと言っていた。

私は彼の血を注がれ不死の魔物となった。

彼は私の兄となり、共に過ごしている。

皆には少し私の出生は秘密にしているが、まあ構わない。

私はこの人、夕月陽と共に生きるから・・・告白は当分先になるだろうけど。

それでも私はこの人と共に。



 そして二人は後に多くの仲間と共に国を崩す戦いを始めるのだがそれはまた別の話。

時系列的には実力主義の道の100年ほど前の設定です。

実力主義の道は現在から100年ほど後の設定です。

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