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魔法陣の向こう〜呪いの魔女グレイシアの物語〜  作者: サンガツワサコ


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24/24

ナタリーは夫ルーンベントを伴ってベリア領を訪れていた。


姉弟子であるメリッサの招待に応じたものであったが、兄王の依頼でもあった。


ブリア公爵の屋敷に招き入れられ、それが結婚式であることに気がつく。


公爵を見つけて尋ねると、グレイシアの結婚だと言うではないか。


「ご無事だったのですね!」


ナタリーは震える。


王からは何もしらされなかった。


けれど、塔の光の変化を見たナタリーは覚悟していた。


臣下に下ったナタリーは今、宰相として王政を司るが、王家の人間ではない。全てを知る立場にはないのだ。


「え?結婚?」


遅れて反応するナタリーに、ヨシュアは苦笑する。


「そうだ」


穏やかな口調だ。


モリーに呼ばれて立ち去る叔父の姿は、かつて祖母に振り回されていた青年とは丸切り別人に見える。

ヨシュアは優秀だ、と常々話していた父の顔が浮かんだ。

実際に、敵地であったベリア領を、ここまで平穏な領地に治めているのだ。


子どもの頃とは違った色の景色が、ナタリーの前に広がっている。


音楽が鳴る。


壇上に上がった領主夫妻が、本日の婚姻申請者の名を呼ぶ。


貴族は王家の許可の元、婚姻を結ぶ。

平民は領主の許可の元、婚姻を結ぶ。


ランバートとグレイシアは平民となったのだ。


現れたグレイシアは老女の姿をしていた。隣に立つランバートは、それでも満足そうに微笑んでいる。


「あら、アイツ、目眩しを解いてないの?」

呆れたようなメリッサの声が聞こえる。

「完全に自分のものにするまでは隠したいのよ、きっと」

ポリアンナが応じている。


弟子たちのうち、ナリーニとレオンハルトは呼ばれていないようだ。


ヨシュアの声が響き、婚姻の許可が与えられる。


夫婦になった二人が、婚姻の魔法陣を交換すると、グレイシアの目眩しが解かれた。


会場が、ため息で溢れる。


美しいグレイシアの姿は、さらに幸せの光を纏って輝く。


「うわぁ」

隣からルーンベントが声を抑えながらも呟く。

「すごいね、ナタリー。あの人キラッキラだよ」

夫の無邪気な声に、ナタリーは苦く笑う。


美しい。


魔法爵グレイシア。


幼い頃から憧れた、王国最高の魔術師。


誰もが間違いなく見惚れるだろう。


「眩しすぎて見てらんない。ナタリーを見ててもいい?」


続いた言葉に、ナタリーは全身の力が抜けた。

彼女の夫は、相変わらず、彼女一筋だった。

これにて、グレイシアの物語は終了となります。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

明日以降は、ヨシュアの妻モリーの話を別作品としてアップしてまいります。コチラと同じシリーズに入れたいのですが、うまくできず…。地道に探ります。

モリーの物語もよろしくお願いいたします。

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