第23話 ランドロックの森
新しい魔物が登場します!
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幼なじみ達の元へ駆け寄った龍哉は、嘔吐している秋の背中を、勇綺が擦っている光景に戸惑っていた。
「な、何があったんだ? 勇綺? 秋は、何でこんな状態になってんだ?」
「あ〜〜、うん、まぁ……、僕と秋の二人でゴブリンを倒したんだけど……。そしたら秋が突然、体調を崩してしまったんだ……。おそらくだけど……、ゴブリンの命を奪ってしまった罪悪感によるストレスで、秋は体調を崩したんだと思う」
龍哉は勇綺に、秋が体調を崩した理由を問い掛ける。
問い掛けられた勇綺は龍哉に、秋が体調を崩してしまった理由を話す。
「大丈夫か? 秋? 少し休もうか?」
龍哉は、体調を崩している秋を気遣おうとするが……。
「はぁ……、はぁ……、だ、大丈夫よ……。は、はやく、先へ進むわよ……。あたし達は、ラズさんの娘さんを、探さないといけないんだから……。こんな所で、立ち止まっている暇なんて、無いわよ……」
「お、おい! 待てよ! 秋!」
「あ! 待ってよ! 二人共!」
秋は、こちらを気遣おうとする龍哉と背中を擦ってくれている勇綺に、体調の方は問題無い事を伝える。そして二人に、先へ進むように促そうとする秋は、その場からゆっくりと立ち上がると、重い足取りで歩き出す。
龍哉は、戸惑いながらも秋の後をついて行く。
そして勇綺は、死体となったゴブリンの体に突き刺さっているピッチフォークを、マジックポーチの中にしまうと、急いで二人の後を追い掛けていった。
「「「!」」」
平原を歩き続けて数分後、勇綺達の目の前には、鬱蒼とした森が広がっていた。
「ここが、ランドロックの森のようだな……」
龍哉は、森の入り口の端に立てられている木製の看板を見据えながら呟いた。
「それじゃ、行くぞ! 勇綺! 秋!」
「うん!」
「ええ!」
龍哉は、勇綺と秋に声を掛けると、ランドロックの森の中へ足を踏み入れる。
声を掛けられた勇綺と秋は、森の中へ入ろうとする龍哉の後を付いて行くのであった。
「すごい不気味ね……。何か、幽霊とか出てきそう……」
「何だ……? 変な鳴き声が聞こえるぞ……?」
「魔物の鳴き声……かな?」
ランドロックの森の中へ入った勇綺達は、辺りを見回す。森の中は昼前でも薄暗く、目の前には、太い幹の木々や草むらばかりだ。更に森の中では、正体不明の不気味な鳴き声が聞こえていた。
森の中から漂う不気味な雰囲気によって、秋は不安に襲われる。
秋が不安に襲われている最中、龍哉と勇綺は、森の中から聞こえてくる不気味な鳴き声に戸惑っていた。
すると……。
「「「!!?」」」
目の前の草むらが、まるで風に吹かれているかのように、ガサガサと揺れていた。
突然、音をたてながら揺れていた目の前の草むらに、勇綺達は武器を構えて臨戦態勢をとる。
「ゲゴゴゴ……」
「……」
「マシュ〜〜」
揺れていた目の前の草むらの中から現れたのは、三体の魔物だった。
まず、一体目の魔物の名前は、ミドリガマ。名前の通り体の色は緑色で、体長が百四十センチメートル位の、大きな蛙型の魔物だ。大きさ以外は、勇綺達の世界に生息している雨蛙とそっくりである。
次に、プルプルと身体を揺らしている、二体目の魔物の名前は、ブルームース。体長が六十センチメートル位で、身体の色は透明な青色をしている。手足や頭の部位もない、透き通った半球体の体の中には、人間の頭蓋骨が入っていた。
そして三体目の魔物は、体長が25センチメートル位の、キノコ型の魔物だ。名前は、おおなめこ。キノコのトレードマークでもあるカサの色は、オレンジ色で、白い斑点模様がついている。柄の部分には、つぶらな瞳と口、短い手足がついた、どこか愛嬌がある姿をしていた。
「はぁ……。どうやら、こいつらを倒さないと、先へは進めなさそうだな……。仕方ない、倒すか……」
「よ〜〜し! じゃあ、さっさと目の前の魔物を倒しますか!」
「う〜〜ん……、でかい蛙と骸骨ゼリーを倒すのは良いんだけど……、キノコを倒すのは……」
草むらの中から現れた三体の魔物を、勇綺と龍哉は倒す気満々のようである。
戦う気満々である勇綺と龍哉とは対照的に、秋は、キノコ型の魔物だけは、倒す事に迷っていた。
何故ならば秋は、おおなめこの愛嬌がある姿に、心を奪われてしまったのだ。こう見えても秋は、可愛い物が好きなのである。だから秋が、おおなめこを倒す事に、迷ってしまうのも無理はないだろう。
「ゲゴォ〜〜!!」
「……」
「マシュ〜〜!!」
「来た! 龍哉! 秋! 行くよ!!」
「おっしゃあぁぁぁ!! 行くぜぇぇぇ!!」
「ちょっと! あの可愛いキノコ、あたしの方に来るんだけど!? どうすればいいの!!?」
三体の魔物は目の前の敵を倒そうと、勇綺達に突撃する。
こちらに突進するミドリガマに、勇綺は両手で鍬を構えながら迎え撃つ。
龍哉は、襲い掛かってくるブルームースに、右手に握られていた彫刻刀を構えたまま突撃する。
そして秋は、短い手をぐるぐる回しながら、こちらに突進する、おおなめこに慌てふためいていた。
「たあぁぁぁぁぁぁ!!」
勇綺は両手で構えていた鍬を、突撃してくるミドリガマに、勢いよく降り下ろす。
「ゲゴォッ!!」
「なっ!? くそっ!!」
ミドリガマは、勇綺が勢いよく降り下ろした鍬を、左側に跳びはねて回避する。
勇綺は、ミドリガマに攻撃を回避されて悪態をつく。
「オラァッ!! さっさと倒れろっ!! 骸骨スライム!!!」
「!!!」
突撃した龍哉は、ブルームースを彫刻刀で何度も突き刺す。
ブルームースは身体をプルプルと揺らしながら、龍哉の攻撃を受け続けていた。
「あぁぁぁぁぁぁっ!! もうっ!! こんな可愛い魔物をボコボコにするんなんて無理っ!! あたしは、あなたを倒したくないの!! お願いだから、どっかに行ってよ〜〜!!!」
「マシュ〜〜! マシュ! マシュ! マシュ〜〜!!」
秋は喚き散らしながら、おおなめこから逃げ回っていた。余程、可愛らしい姿をしている、おおなめこを倒したくないようだ。
だが、おおなめこからしたら、秋の都合など知ったことではい。おおなめこは、短い両手をぐるぐると回しながら、逃げ回る秋を追いかけるのであった。
頭蓋骨が中に入っているスライムって、何か強そうに見えない?
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