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◆02「まあ、禁忌の研究だから」

まえがき


 お父さんはなぜ女の子になったのか?

 その理由が明かされます。


 鈴木大悟の最初の職業は警察官だった。

 結婚して一子を得たのだが、伴侶を若くして失った。


 幼子を育てるため、大悟はボディガードに職種を転じた。

 ちょうど彼を高給で雇うというクライアントがいたからだ。

 養成所で訓練を受けたのちに、雇い主の警護についた。

 その護衛相手が再婚の相手でもある、今の妻の陽子だ。


 陽子は政治家でも資産家の娘でもない。

 しかし、彼女自身が多額の資産を保有していた。


 陽子の仕事は研究者。

 それも“天才”と“科学者”の間に“狂”の字が入るタイプだった。

 研究内容は不老不死。

 金持ちのスポンサーも多数いたし、成果物による莫大な収入もあった。


 そんな彼女だが、なぜか大悟の息子である太郎には極めて甘かった。


「あなたの配偶者も悪くないけど、

 なによりあの子のお母さんになれるのは魅力ね」


 それが大悟への彼女からのプロポーズだった。


 そんな変人にして天才な陽子は、常に誰かに命を狙われていた。

 相手はライバルとなる企業だったり、神の禁忌に触れる研究を厭う宗教家だったり、どこかの国の工作員だったりと様々だ。


「まあ、禁忌の研究だからね。

 煙たがる人も多いってわけ」


 というのが陽子の説明である。

 結婚後も妻の身辺警護を続けていた大悟だったが、ある日もうひとつのウィークポイントを突かれた。


 太郎が狙われたのである。


 誘拐された太郎を救い出すために奪還作戦が敢行された。

 犯人の立てこもるビルでの壮絶な銃撃戦の末、太郎は解放された。

 だが、大悟自身は無事では済まなかった。

 太郎の目の前で、銃撃で四肢を吹き飛ばされたのだ!


 驚愕で目を見開いた太郎の顔。

 それが大悟が自身の身体で見た最後の光景になった。

 もちろん、このときに大悟は死んだ……。



    ◇  ◇  ◇



 ……死んだはずの大悟は自分の意識が戻ったことを知覚した。

 どうやらそこはベッドの上らしい。

 覚醒後、しばらく周囲で誰かが何かをしていたように思う。


 大悟は跳ね起きようとして……失敗した。

 身体が、意識したように動かせない!?


「落ち着きなさい」


 それが覚醒後に思い出せる最初の声で、その主は妻だった。

 陽子は簡潔に状況を説明した。


「太郎は無事よ」


 最も知りたい事を聞けたことで大悟の混乱は取りあえず治まった。


「あなたは一度死んで私が蘇生させた。

 身体を移し替えたからしばらくは自由に動かせない。

 今は寝てなさい。

 起きたら忙しくなるから」


 そう言われた大悟は再び意識を手放し……。

 次に目覚めたときに自分の身体が女性になっていることに気づいた。


あとがき


 次回、お父さんスーツが登場します。


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