ヴァリアントのアビリティ
~ホーパステリウム日本拠点~
「………ん……ん~」
『!?天!よかった!気が付いたのね!』
「………」
知ってる天井だ……。俺は体を起こし背伸びして、
「よう、イヴリーン。おはよ……」
『おはようじゃない!もう何日眠っていたと思ってんの!?4日よ!4日!急に意識を失うし……ほんとにヒヤッとしたじゃない!』
「アハハ……すまんすまん」
『アハハじゃなーい!!!』
パーン!!!
朝からうちわでしばかれた。無駄に痛いんだけどそれ!特に朝はしばかないでほしいわ!
……ん?あれ?
「なあイヴリーン。俺4日も寝てたのか?」
『そうよ!あんたがなかなか起きないからヒヤヒヤしてたのよ!もう心配したんだから!』
「ま!?マジかよ!」
そんなに寝たの初めてだ!……しかし、いったい俺に何が起こったんだ……?あの時の記憶はある。鮮明に覚えている。あの時は異常なほどすごく冷静だった。そしてイヴリーンは俺の顔について何か言おうとしてたな……。ということは、あれもヴァリアントの力なのか?
『ねえ天、あのとき何があったの……?あんたあの時冷静だったわよね?顔にも魔印が走っていたし………』
どうやらイヴリーンも俺と同じようなことを考えていたらしい。
「う~ん……俺も何が起こったのかわかんないんだよマジで。顔に魔印が出たんならほぼ間違いなくヴァリアントだろうけど……。冷静になったのもヴァリアントの効果だろ?」
『私にはヴァリアントのことなんて全然わかんないけど……』
グゥ~~~………
俺から腹の虫が鳴った。そういえばおなかすいたなぁ。
『あ!おなかすいたでしょ!待ってて!食事を持ってくるから!』
「あ、すまん、それは助かる」
イヴリーンが早足で部屋から出ていく。
……しかしよく考えてみれば、いくら覚悟を決めさせるとはいえ、やっぱ戦場に出すのは早過ぎね?しかも最初からボス戦というおまけ付き。まあ、あれは想定外のケースなんだろうけど、マジでビビったわ!小便漏らすかと思った……なんて先ほどのミッションについて振り返ってみると、イヴリーンたちが部屋に入ってきた。
『ハイお待たせ~今日の献立はシチューよ!』
「お!うまそうなシチュ……シチューかこれ………?」
黄緑色のシチューだ……、こんなシチューを見たことはない。これ食えんのかな?いや、食えるものだろうけど……。うむ、いい匂いではあるな
「何~天~?私の料理がまずそうなの~?」
「あ、いや、そういうわけじゃなくて……」
「まあまあソランジュ、天は異世界出身なんだから……」
「よ!天!元気になって何よりだぜ!行くなりぶっ倒れるんだからビビったぜ!」
「天の世界では、シチューという食事はなかったのか……?」
「シチューという料理はあるよ、こうゆうやつ。でも俺の世界では白いシチューだけどな」
「へぇ~、天の世界では白いのが主流なんだ~。私の世界も白いシチューはあるよ~」
「え?あるんかい!」
『ほら!早く食べないと冷めておいしくなくなるわよ!お残しは許しません!』
「どこかで聞いたことあるセリフだな……」
「ちょっと~イヴリーン?私のお料理は冷めてもおいしいわよ~」
確かに熱々なうちに飯食わねーとな!
匂いをかいでみると……うん、シチューの香りだ。いい匂い。さて……お味のほうは………一口食べてみると……
「どお~?」
「あれ?普通にうまい……」
「もお~何~その中途半端な褒め方。レオンとか明ちゃんと同レベルな褒め方~」
「別にいいじゃん……それ以上でも以下でもないし……」
「何レオン。うるさいわよ~」
味は普通のシチューだ。いや、ちょっと風味が違うシチューといったほうが正しいか。
偽地球でも白いシチューは牛乳で作っているらしい。黄緑シチューはミレシーという果実から作っているらしい。セシルが携帯でミレシーを見せてくれた。すごい特徴のある木の実だった。なんだかUFOみたいな見た目だ。円盤の。
「ところで天。食べながらでいいから質問に答えてほしいけど、いい?」
「え?いいよ。でも俺にもわからないことがあるんだが……」
「わかる範囲でいいよ。ある程度のことはイヴリーンから聞いたし。それじゃ質問するよ。あの時急旋回してカヴァリアの頭部を直撃したんだけどなんで戦おうとしたの?」
「う~ん、なんであいつを倒そうとしたのかはほんとにわからないんだ。なんか体が勝手に動いたというか。そして相手の動きが読めたり……」
「へ?動き読めんの?チートじゃね?」
あ、やはり偽地球にもチートとかいう単語あるんだな。
「そしてあの時の俺はとても落ち着いていた。あれもヴァリアントの恩恵なのか?」
「!?冷静になるのか………?」
「それらのアビリティもヴァリアントで間違いないだろうが、聞いたことはないな。これはおそらく……というよりは間違いなく……」
「うお!?リーダー!?」
いつの間にかリーダーが部屋に入ってきた。普通にビックリした。
「すまんな天、いきなり無茶させちまって」
「ほんとですよ…でもまあ、戦場がどういうところなのかわかりましたよ。あれは一瞬でも油断すると死にますね……」
「今回は明典まで出てくるとはな……いや本当にすまなかった」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「それでリーダー。彼のヴァリアントは……」
「ああ、サードとは別のアビリティだろう。もうEUNは“フォース”の段階まで計画が進んでるというのか……」
「リーダー、なんとしても早く彼らを……」
「ああ、わかってるさ。だが、奴ら上層部を駆逐するにはまだ課題が多すぎるが……」
ちなみにヴァリアントのアビリティ能力で格付けすると
ファースト>サード>セカンドの順だ。ただ、ファーストはセカンド、サードと比べて、副作用による身体の悪影響がやばいのだとか。最悪の場合、体が石化だとか、一気に老けたりするらしい。セカンド以降の副作用は、ファーストと比べるとかわいいものになっている。せいぜい、視力低下などの程度。
とはいうものの、一兵士が戦死するまで副作用が出るかどうかの発生確率のため、そこまで気にしてない人が多い。
「ま、とにかく!奴らをさっさと止めないと、一般市民がEUNの兵器となってしまう可能性がある。超古代文明の技術は最悪な場合、人類が滅ぶ。奴らを止めて、危険な技術等は破棄すべきだ。なるべく早い時期にEUNに巣くう寄生虫どもを駆逐するぞ!」
「BSの奴等もどうにかしないとな………」
あいつらは孤児はおろか、一般市民ですら拉致して魔改造(ヴァリアント化)を施しているそうだ。仮にも世界の警察と呼ばれる組織が、そのような非人道的なことを行っていいはずがない。
あの研究施設で、俺もひどい目にあったからな。聞けばあのヴァリアントの実験は、拒絶反応によって死亡する被験者も多いのだとか……。なかなか黒い奴らだ。世界の警察は犯罪組織に成り下がっている。俺もあいつらをどうにかする。覚えていろよEUN
『ところで天、早くシチューを食べなさいよ!』
「あ……ちょっと冷えてるし……」
「私の料理は冷めてもおいしいんだからぁ~!」
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~イヴペディア~
*ヴァリアントのアビリティと恩恵
ヴァリアントは覚醒すると、ヴァリアント特有の恩恵を受ける。覚醒前でも、戦闘時における運動や反射神経能力に判断力、視力聴力、体温制御力の向上(凍死や熱になりにくい)、魔質の大幅な向上などのメリットがあり、戦闘を有利に進められる。