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現代神話のエルカヴァリア  作者: 白卯兎 健太
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ヘンリーの謎

日本をほとんど統一してからもう一か月が過ぎた。いまだに北京付近では両者のにらみ合いが続いている。日本はホープを支援したため、EUN(主にエルメル帝国と舎弟国家)から激しく非難されている。

それと、極東支部はまだ存続しているが、事実上、壊滅した。いや、壊滅というよりかは、EUNアジア支部に統合されたといったほうが正しいか。そもそも極東支部は日本のEEZを手に入れるための組織だった。日本から撤退し、上層部が何者かによって暗殺されたとなれば、もはや存在価値すらない。ちなみに沖縄は、“聖アジア魔法師団”によって占領されている。とはいえ、中華国で戦争が起こったら沖縄から撤退する可能性もある。


 特に何もない日は、鍛錬したりして時間をつぶしている。


「あ~疲れた~!」

「お疲れさん。はいタオル」

「サンキューセシル!お前って本当にイケメンだよな!」

「え?」

『あんたも感心してないで、見習いなさい!』


 何事もない日常会話……。でも、みんな楽しそうだ。いつ死ぬかもわからない俺達にはとても貴重な時間だ。この世界にもこういう日常が訪れるといいね。

 ……俺もこの世界に段々馴染んできたな。この世界は戦争がなければ元居た世界とあまり変わらない住みやすさ。でも俺はやはり元の世界に帰りたいというのが本音である。


「北京ではいまだに睨み合いが続いているな……。戦力がどんどん北京に集まってるよ……相手の出方を伺っているのだろうか?」

「彼ら(元EUN)は一応ドウェインの駒の一つだからね。いくら支部や四大組織といってもドウェインの御意向を無視することはないからね。今回の件は、北京が国際重要都市であるから、なかなか攻めづらいというのもあるだろうけどね」

「もしや、裏工作とかで戦争が水面下で始まっているのかも……」

「ヘンリーはそんな作戦はとらないと思うけど……」

「ドウェインもそのような指示は出されていませんでした。それどころか、水面下の工作について、ドウェインの許可が必要で、無断で水面下の工作を行った者は命令違反として、ことごとく奴隷落ち、あるいは処刑されたそうです」

「!ドウェインもか!?ヘンリーと同じだ……。いや、ドウェインならまだ分かる。ヘンリーはなんでだろう?」


 水面下の工作が行われてないの!?行わないのは、戦争による犠牲者を増やすためなのか?いくら“あれ”の発動するための必須条件とはいえ……。俺たちホープは普通に水面下で工作を行っているけど。


「というと、ヘンリーはやはりドウェインとつながっているのか?」


 やはり……というと以前から怪しがられていたのかヘンリーは……。


「不可解な作戦指示は共通していますね。そのことが余計に隊員たちの不信感を生み出しています」

『隊員たちって言うと、セシル君たち以外も不信感を持ってたの?』

「ああ、そうだよ。けれどヘンリーは自身に不信感を持つ者の排除に取り掛かった。そして彼に歯向かうものもいなくなってしまった。そして何より、ナディアや明典らがヘンリー側に付くようになってしまった。彼らが何を考えているのかはわからないが、ジェームズ側としては予想以上に味方を集めることができず、結局、数十人で活動せざるを得なかった」

「なんでその二人はヘンリーについていったんだ?完全に信用しているのか?」

「いや、二人ともヘンリーのこと信用してないよ。むしろ懐疑的だった」


 懐疑的だったのか。じゃあもしかしたら付いていく振りして何か裏側で探っているかもしれない。……てこれは希望的観測か。……あれ?


「そういえば今思い出したんだけど、ヘンリーって【狂犬】とか呼ばれたりしない?」

「【狂犬】?別に聞いたことないな……」

「天の夢か?」

「ああ、ドウェインがBSの盟主のことを狂犬って言ってたから」

『でも!こうしてメンバーもだいぶ増えたし、明典たちをどうにか引っこ抜ければBSは壊滅できるわね!』


 確かに。セシルたちの話を聞いた限りでは、明ちゃんたちは部下から慕われているんだなと分かる。明ちゃんだけでも引っこ抜くことができればBS戦はすごくマシになるかもしれない。


「簡単に言うけど……無理だろ…………」

『ほら!そこで諦めない!』

「無理無理無理!どうやって説得すんの!?やっぱ無理だよ!」

『やらないからいつまでたっても永遠童貞ヒキニートなのよ!』

「なんで!?いや、確かにそうだろうけどさ!」


 でもBSとは戦うんじゃなくて味方になってくれたら心強いだろうな。ナディアっていう人は会ったことはないから知らないけど、明ちゃんやソニアって子、悪そうな奴じゃないと思うんだけどな……。あとは思想の違いか……。大のために小を捨てる……わからないわけではないし、俺たちもそうなんだが、救える命を見て見ぬふりは違うと思うんだ。


「セシルたちって元EUNなんだよね。EUNでも親しい人とかいるの?」

「いたけど、今何しているのかわからないよ。EUN抜けてBSに入っていればいいんだけどね」

『EUNの待遇酷いから抜けてそう。でもそう簡単に抜けれるかしら?』

「今となってはBSからのサポートがないと難しいね。それなりの地位を持っている一般人なら部下も付いてきそうだが」


 EUN軍一般人の収入はかなりひどいらしい。年金や保険などが一切ないうえに、フリーターより稼げないという。戦場の士気がとにかく低い。食べるだけで精一杯なのだとか。完全に奴隷だ……。もしくは社畜……。軍畜?

 階級が上がれば収入が増えるが、ほとんどの人間は階級が上がる前に戦死する。しかも一般人の場合、曹長までしか上がらないようで、奴隷に至っては、二等兵(つまり、兵の中での一番下)から上がれないらしい。きつすぎる!

 さらに准士官以上は貴族のみという、歪み切った制度がある。EUNは、このことが外部に漏れないように徹底している。そのため、EUNエリアの市民はそのようなこと知らずに(メディアのごり押しもあって)入隊希望者が多い。こうして、おもちゃ兵士の出来上がりというわけだ。かわいそう。


「ああ、確かに明典たちをどうにかできれば、ヘンリーも好き放題にやれなくなるだろう」

「うお!?」

『は……!?』


 リーダーがいつの間にかこちらに来ていた。相変わらず急に来るからビビるんだけど……。


「あの、リーダー。何か動きは?」

「ついさっき、EUNがどうやら水面下で何かを始めたようだ。近いうちに衝突が起こるだろうな」

「(ねえ、リーダーっていつも急に出てくるんだけど……)」

『(この私ですら全く気付かせないなんて……なかなかのやり手ね!)

「ヘンリーとEUNの関係については?」

「まだだな……とにかく情報が少なすぎる……。だが、それ以上に気になることがある」

『(ねえ天!某ゲームのキャラみたいに、げ!おっさんいつの間に……ってやってよ!)』

「(はあ?やだよそんな某山賊みたいな……)」


 セシルとリーダーがまじめな話をしている側で、俺たちは割とどうでもいい話をしている。ちなみにイヴリーンがやってほしいのは、D〇Ⅷの……いや、何でもない。


「気になること?」

「EUNのデータバンクからヘンリーのデータが見つからないそうだ」

「「え!?」」


 セシルとソフィアさんの驚いた声で、俺たちは無駄話をやめた。


「見つからないとは……もう削除されたのでしょうか?」

「だが、我々やBSのメンバーは削除されていない」


 EUNのデータバンクにはハッキングで乗り込む。ホープメンバーの中には、ハッカーのスペシャリストがいる。ちなみにその人は、セシルにハッキングを教えた師匠でもあるらしい。ちなみに俺のデータはまだない。まだ俺が出て間もないし、そこまでの知名度はないのだろう。【ブラックローズ】はデータを取っているのかもしれないが……。


「ヘンリー……やはり裏でつながっているのか?」

「もしつながっていたとしたら、BSの行動は筒抜けなのかもしれませんね」

「天の夢が真実であれば、恐らくBSやホープ、それにEUNやエルメルですらドウェインの傀儡というわけか……」

「俺らは“あれ”というものの復活のために行動しているというわけか…………」

『いやな言い方するわね』


 どうしても“あれ”というものが気になる。そもそも本当に“あれ”を起動・自爆してまで犠牲者を出さなければいけないのか。完全に闇に葬り去ることはできないのか……。

 それにしても封印解除方法は何でこんなにやばいんだよ。そもそも“あれ”をどうして破壊しなかったんだろうか超古代人は。








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~イヴペディア~

*最近のEUNのごく一部は、実力者であれば奴隷を含め、それなりの待遇を受けられる(准士官以上の昇格等)らしい。あくまでごく一部。

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