第十九章 君を
——こうして。
僕たちの、医療班チームの一員としての日々が始まった。
最初はただ、
ゼーユ看護師長のお手伝いをするだけだと思っていた。
怪我人を運び。
治療を手伝い。
困っている人を救う。
そんな、穏やかな毎日が待っているのだと。
だけど。
現実は、そんなに甘くはなかった。
傷つく仲間。
血に染まる戦場。
絶え間なく運び込まれる負傷者。
泣き崩れる家族。
怒りに震える者。
復讐を誓う者。
救えなかった命。
救えた命。
その一つひとつが。
僕たちの心に、深い傷跡を刻み込んでいく。
数々の事件。
数え切れない負傷者。
消えない傷跡——。
それでも。
どれだけ世界が残酷でも。
希望は、確かに存在した。
仲間を想う優しさ。
命を繋ごうとする勇気。
誰かのために涙を流せる温かさ。
暗闇を照らす小さな光。
何度倒れても立ち上がる強さ。
絶望の中でも笑い合える日常。
そんな、人の優しさが。
何度も何度も。
僕たちを前へ進ませてくれた。
だけど。
その優しささえも。
その希望さえも。
その笑顔さえも。
踏みにじろうとする者がいた。
世界を書き換えようとする者がいた。
誰かを守るために振るわれる魔法。
誰かを傷つけるために振るわれる魔法。
交わることのない二つの想いは。
やがて。
この世界を揺るがす、大きな戦いへと繋がっていく。
そして。
運命は再び、僕たちへ牙を剥く。
仲間を守るということ。
誰かを救うということ。
命を背負うということ。
その本当の意味を。
僕たちは、まだ知らなかった。
これから待ち受ける未来は。
今までとは比べものにならないほど残酷で。
今までとは比べものにならないほど優しくて。
今までとは比べものにならないほど、美しい。
だから。
何度傷ついても。
何度倒れても。
何度運命に抗えと言われても。
僕は歩みを止めない。
絶対に。
止めたりなんかしない。
真黒の欲望が君を奪おうとしても——
どれだけ遠く離れていても。
どれだけ深い闇の中でも。
どれだけ絶望に染められていても。
君が待っている限り。
必ず。
必ず迎えに行く。
君の手を取って。
もう一度、一緒に笑うために。
だから。
——僕は必ず、君を迎えに行く。
Venom Desire4——coming soon




