第十八話 一人じゃない
月の光がイサムとシャンデルを照らしている。
「あれから俺は、一人で生きていた」
あれからシャンデルがどん底へと落ちるまで早かった。
盗み、殺し、シャンデルの前に立ちはだかる奴は何人たりとも容赦しない。
食っては殺す、自分の欲望のままに身を任せた。
「でも、…満たされねぇ、なんも満たされなかったよ」
シャンデルから涙が溢れ出す。
あの時のエヴィスの笑顔が脳裏をチラつく
あの時、エヴィスの言葉が脳裏をよぎる。
(最高です!あなた最高に…本当に…懸命、なんですねぇ!!)
懸命、その通りだ。
「俺はミディアを助け出す時、躊躇ったんだ。俺なら!俺にしか!助けられなかったのに…あそこに飛びこんで、あいつを助けたら、俺は死ぬって…そう思ったから…」
泣きながら、言葉を詰まらせながら彼はイサムに淡々と話した。
「俺はあいつに必ず殺すってそう言った、あいつが俺の全てを壊したからって、でも、俺が悪いんだ…あそこで命をかけられたなかった俺も!そもそも、こんな盗みでしか、生きられない状況になったのも!もっと真面目な手段があったんだ!きっとそうなんだ…でも、俺にはそれしか思い浮かばなかったんだよ!仕方がなかったんだ!……そうやってずっと一人で言い訳を並べて、これまで生きてきた。」
「…」
イサムはただ黙って聞くことしかできなかった。
簡単に自分が触れてはいけないような気がして…
お前は悪く無い。
そう言ってやるべきなのはわかっているでも、本当にそれで片付けていいのかわからない。
「そうやって生きてきた結果がこれだ、なんも無かなっちまって、失った。今回だってクロイツに負けてお前らに迷惑かけちまった。本当に‥ごめん」
それでも、できることがあるなら、ここでシャンデルを一人きりにさせたくない。
「きっと…お前の全てがわかったなんてそんなこと軽はずみには言えない。俺なんかより何倍も何十倍も茨の道を歩んできたんだと思う。でも、これだけは一つ言える。もう、何も無いだなんて言うな、お前には俺がいてルシファ達だっているんだ。自分で言っていいのかわかんないけど、お前にはその悩みを打ち明けられた友達もいる。迷惑だってかけていいし、貸しだとも思わないよ、友達‥なんだから。だからもう、お前は一人じゃ無い。だからって今、お前の悩みが全部解決するわけでも無い、それでも…今はありがとうシャンデル、俺に話してくれて。」
「…ありがとう」
シャンデルは涙で濡れた顔を腕で拭ってから立ち上がった
「先なんて全然見えねぇけど、まぁ…一生懸命頑張るよ!」
迷惑だってかけてもいい、そうやって支えあって、辛い過去も後悔も全部受け止めて…前が向けたならそれでいい、それでいいんだ。
〜翌朝〜
シャンデルとアリスはナタドールからこれから旅に出ることの任務を伝えられた。
アリスは渋々同意して、シャンデルの了解も得た。
「もうちょっとここに住んでたかった…」
イサムにとってかなり住み心地の良い場所だったので、かなり惜しんでる。
ナタドールはここに残り、城を守るらしい。
だから行くのは俺と、ルシファとシャンデルとアリス…
「危険な旅に4人て…不安でしかないなぁ」
そういうとルシファがイサム背中をバチンと、叩いた
「弱音ばっかりはかないの!何があってもきっと大丈夫だよこの4人なら…」
「ルシファ…」
きっとみんな不安なんだ、それでも明るく振舞ってくれてるんだろうな、
あの強さで、まだ七災の二人にしか出会えてない。
本当に未知な強さだ、それでも、誰もいないなら、こんな俺にもできるなら、俺がそれをやってやる。
「じゃあ行こう!」
ルシファがそう声をかけて、みんながナタドール亭から出発する。
きっとうまくいく…みんながいるから、一人じゃないから!
七災、冥獣、そして、魔王、全員ぶっ倒してクリアしてやるよ!




