迷宮異変その2
ネイドは迷宮を走り回っていた。
ネイドだけじゃなく、緋波もシェスカもレヴィも水玉さえ走り回っている。
ネイド達から逃げる小人スケルトンを追いかける、無数にいた小人スケルトンの中から1体の鍵となる魔物を追い求めて破壊する為に。
巨大スケルトンとは違い小人スケルトンはとにかく足が速い。
ネイド達の中で一番速い水玉といい勝負をするぐらい速かったので、ネイドは時間が掛かるが全員での追い込み作戦を提案しようやく半分の小人スケルトンを破壊したが鍵スケルトンはその中にはいなかった。
「はぁー、主様よ面倒くさいぞ。なんとかせい!」
「いやいや、無理だよ」
「こうなったのもウズメのせい」
「何を言うとるか、妾が止める前に攻撃をしたのはお主じゃろ、こうなるとわかっておったのに……」
ガックリと肩を落とす3人の周りを元気に足り回る2人と一匹がいた。
「アハハ、可愛いです。そして楽しいですよ。ネイドお兄ちゃんも早く遊びましょう」
「なんと言うか、小さい物が動くのは体が反応しますね」
レヴィとシェスカは疲れも見せずに走り回り、器用に小人スケルトンを蹴っては水玉にパスをするように渡す。
空中を飛ぶ小人スケルトンは何もできずに水玉に砕かれていった。
その様子を疲れた目で見るネイドはため息を吐いて、立ち上がるとレヴィ達の中に入り小人スケルトンの破壊作業に加わる。
無数にいた小人スケルトンも、ようやく10体程にまで数を減らした。
休憩中に小人スケルトンが無謀にもネイドに攻撃を仕掛けてきたが蚊に刺される程度のダメージもなく、それを確認してネイド達は安心して休憩をとれた。
ネイドは五度目となる休憩中に緋波に確認をする。
「緋波さん、戦闘前にここが迷宮の1階じゃなかったのは何処を見て確信したの?」
「さあ?私にもわかりません。ただ迷宮内の様子を見て違うと感じました」
「主様よ、緋波に理屈を問うっても無駄じゃよ。緋波の感覚は普通の人とは違うでな」
「そうなんですか?緋波お姉ちゃん。時折かんじる魔の波動と関係あります?」
「ほう、レヴィは鋭いのぅ、流石は竜人族じゃな確かに関係はあるのぅ。」
「ウズメ!」
ウズメの洩らした言葉に反応するネイドを緋波が制す。
「いいのですネイド様。ウズメには後で罰を与えますが先にレヴィの疑問に答えましょう」
「そう、なら僕が話そうか。レヴィ、緋波さんは魔人族とのハーフなんだよ」
「魔人族と関係があったですか、ならば緋波お姉さんの強さも納得がいきす。魔人族は血の継承でハーフでも力が損なわれないとか、ただ見た目が人とは違うと聞いてましたが緋波お姉さんは……………人に見えます?」
小首を傾げてレヴィは緋波を見る。
レヴィがこれまで一緒の生活を緋波としていたが緋波の体に魔人族の証のような変化など見られなかった。
「それはネイド様を主としたからだと思います。魔人族は主の望む姿をとりますから、ネイド様が私を人族と同じように接していたので自然とこの姿になってました」
「ほぇ〰、緋波お姉さん格好いいです!」
「?、そうでしょうか?」
レヴィの言葉に照れる様子もなく緋波は普段通りの顔をしてレヴィを見る。
それを聞いていたシェスカも、それで納得したような顔をしていた。
「通りで緋波さんは只者ではないと思いました、あの動きが人族に可能とはおもえませんでしたので納得です。ではネイド様はどの種族の血を引いているのですか?」
「????」
何気なくシェスカはネイドに問いかけたがネイドはシェスカの言っている意味がわからなかった。
「なにを言っているのだ?シェスカよ。主様は人族じゃぞ」
「へ?……………えー!嘘ですよ、だってあんな動きをする人族なんて見たことないですもん。それにあの強さも異常ですよ」
シェスカは驚愕の表情でネイドを見るが、異常者よばわりされたネイドは困り顔でシェスカと見つめあう。
「シェスカお姉ちゃん、ネイドお兄ちゃんは人族ですよ。他の種族の匂いがしません」
「はぁ、皆さんが言うなら本当なんですね。ネイド様、失礼な事を言ってごめんなさい」
ネイドに頭を下げるシェスカ。
「気にしてないよ、シェスカも頭を上げてくれる。それより次に行く為に小人スケルトンを叩こうか」
話しは終わりとばかりにネイドは立ち上がると周りを見て小人スケルトンを探す。
全員がネイドに習い辺りを見回し小人スケルトンを探すと水玉が駆け出して小人スケルトンのいる場所を教えてくれた。
それを見て全員が駆け出すとワラワラと逃げ惑う小人スケルトン、ここまで数が少なくなると鍵である小人スケルトンを発見するのに苦労はなかった。
「おっ、主様よ居たぞ鍵じゃ。あれを倒せば次の階層に行けるぞ」
ウズメの指を差した先に頭上に赤い点がある小人スケルトンがいた。
「いたね、せっかくだから小人スケルトンを全滅させようか?あと数える程度だし」
「真か?主様にしては珍しいのぅ」
「まぁね、いつもの迷宮なら先に進むけど今回はいつもと違うからね、普段と違う事をしようかと」
「ふぬ、それもアリかの。確かにいつもと違うしのぅ」
ウズメにそう答えてネイドは残りの小人スケルトンを追いかける。
鍵である小人スケルトンは水玉に見張ってもらい、それ以外の小人スケルトンを先に倒す。
皆で協力して小人スケルトンを片付けると鍵スケルトンが居た場所に次の階層に行く階段が現れる。
「あっ!階段です」
「これが迷宮の移動手段ですか?不思議なものですね」
「アレ?シェスカは迷宮は初めてなの?今更だけど」
出現した階段に駆け寄るレヴィを見ながらポツリと呟いたシェスカの言葉にネイドは自分の確認不足を自覚した。
「え、ハイそうですけど言わなかったですか?」
「うん、聞いてないよー」
「そうだったんですか、私はてっきり初めてだから1階から行ってくれるだと思ってました」
「イヤイヤ、シェスカの戦闘力は問題ないから連係を確認しようと思って、そうだとするとこのまま進むのは危険かな?」
予想外の事になったとネイドは思ったがウズメはそれを聞いても平然と言いはなった。
「悩むことはないじゃろ主様よ、シェスカは手練れじゃぞ連係なんぞ戦闘をしてれば自然と合わせるじゃろ問題なしじゃよ」
自信たっぷりに宣言するウズメにネイドはシェスカの目を見る。
シェスカは臆することなくネイドを見返すとウズメの指摘が正しいと感じさせた。
ならば話しは終わりとばかりにネイドはシェスカ達を連れて緋波達がいる次の階層に行く階段に向かった。
「ネイド様、これを」
階段に着くと緋波がネイドにカードを渡す。
何のカードが出たのかとネイドは視線を落とすとちょっと驚いた。
「これ、魔法カードだね。しかも星2の」
ネイドが手にした2枚のカードは両方が星2の魔法カードだった。
「ハイ、火と風の魔法カードです」
「星2だとスロット2が必要だけど、誰か持っている人いる?」
ネイドは全員を見回す、緋波はスロット無用主義だしウズメは論外。
残るはネイドにレヴィとシェスカ、ネイド自身は必要ないと思っているので2人の装備品しだいで渡そうと思っていた。
「わたしのレイピアはスロット1です、でもこの革の鎧はスロット2があります。緋波お姉さんがどうせなら良い防具を着けなさいと言ってもらったので」
「あ!私の武器の鉄の爪にスロット2がありました、今まで気にしてなかったので忘れてましたが」
レヴィは防具、シェスカは武器にスロットがあるとわかり、ネイドはしばし考えてシェスカに火の魔法カードをレヴィに風のカードを渡し装着させた。
「レヴィは防御をシェスカは攻撃力をそれで上げて戦闘に望んでくれる?」
カードを受け取りネイドの声を聞いた2人は力強く頷いた。
思わぬ贈り物だったが、これから先を思うと少しでも戦力が上がるのは喜ばしいことだとネイドは思った。
これで、この階層でのやるべき事も終わり、ネイド達は次の階層に行く為に階層を降りて行く。
この階が何階なのかわからない中でネイドは不安を持ちつつも皆と一緒に先に進んだ。




