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理想のペットライフ  作者: ミイナ
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紅い月の内情

ネイドは心地よい眠りから徐々に意識が目覚めていくのを意識した。

自分の体の上を何かが這いまわっている。

時に揺さぶられたり、ピョンピョンと乗っかかれては潰されたりとされていれば嫌でも起きなければならない。


まだ覚醒しない意識の中でネイドは、こんな事をするのはウズメしかいないと思い、ボンヤリとした意識を無理矢理に起こし毛布を乗っかている人物ごとひっくり返してやった。

キャ~!ボフンと可愛い悲鳴とベットの端に飛ばされた音を聞きネイドは違和感を覚えた。


「ウズメ?だよね?」


毛布にくるまる形の物体に問いかけるネイド、視界の隅で悪戯が成功した顔をしているウズメを見つけネイドは恐る恐る毛布をめくると舌を出したレヴィが恥ずかしそうにネイドを見上げていた。

その可愛らしいさに脱力したネイドはウズメに問う。


「どうしたの?コレは」


「いや~毎回毎回、妾が起こしては芸が無いと思うてなレヴィを巻き込んだのじゃ」


得意気に説明をしてきたウズメにイラっとしたが、ネイドは続けて毛布から這い出てネイドのベットの端に座ったレヴィを見た。


「あっ!私はいつもウズメがネイドお兄さん起こしてるのを見て、羨ましいくてつい」


そう言われると叱るより照れてしまうのはしょうがないじゃないか、そう結論をつけてネイドはベットから起き上がった。


「いつもはウズメ無しで起きてるよね?…………。まぁ、いいかおはようウズメにレヴィ」


「おはようございます。緋波お姉さんとシェスカちゃんはもう起きてますよ」


「うむ。主様が起きないのでな、妾達が優しくお越しにきたわけじゃ」


優しくと言うのなら、あんなお越し方はどうかとネイドは思ったのだがレヴィが嬉しそうなので何も言わずに顔を洗いに行った。

すでに昼近くになっていて、一番に起きたのがレヴィで次が緋波、ウズメにシェスカと続く。

深夜の出来事をレヴィは緋波とウズメに聞いたらしくネイドが寝ている間に背中の傷をレヴィが魔法で癒した事を聞きネイドはお礼をレヴィに言った。


「ネイド様、もうすぐ昼食が出来ますので其処でお待ちください」


何処かに行っていた緋波が部屋に戻りテーブルにいるネイドを見つけて告げる。

ネイドは何処に行っていたのかを聞くとシェスカに厨房で昼食の準備を手伝ってもらい、シェスカが料理をみている間に中庭の鍛冶屋の所に長剣2本の修繕を頼んで部屋に一度戻ってきたとのことだった。

この間、頼んだ物は既に部屋の中に運ばれていて、鍛冶屋の仕事の速さを実感した。

それから暫くして緋波が大量の料理を部屋に運んできた。

その殆どがレヴィとシェスカのお腹の中に入る。

それに当てられてかネイドはいつもより食事の量が多く、傷の影響がない事に緋波はホッとした。


楽しい昼食も終わり、ネイド達はお茶を飲みながら深夜の出来事を話し合う。


「まずはシェスカ、アカ達は仲間だったの筈なのに何で戦いを選択したのだろう?」


「………多分、リーダーの命令だと思います。あの人は仲間の裏切りを許さない。そうでないと紅い月は分解するから」


「分解じゃと?瓦解じゃろ、既に帝国の手が組織に伸びておったしの」


「…?ウズメは何を知っているの」


「妾がでわないぞ、アカが知っておったのよ、紅い月の行く末を」


「どういうことだい?ウズメ」


あの時、ネイドはウズメに命じた。

アカの全てを食い尽くせと、その時にアカの記憶や情報をウズメは握ったはず、それをネイドは知りたいと思った。


「ウズメは勿体つける癖がある。ネイド様、知りたければおだてないと話しが進みません」


「何を言うとるか緋波よ、妾は勿体つけてなどおらぬ」


「ウズメは自覚がなかったんですね。それでそのアカさんは何を知っていたのですか?」


緋波とレヴィに攻められてウズメは苦い顔をしたが、ネイドに向き直ると話しを続けた。


「シェスカは知らぬじゃろが、紅い月は内部から崩壊寸前じゃた」


「内部から?ですか」


「うむ。シェスカはリーダーとやらに好かれおったのぅ、だから危険から遠ざけられておったのよ」


「……………」


その言葉に声を出せないシェスカ、話しの続きを待つネイド達。


「シェスカが依頼で派遣されている時に、紅い月ではアカがリーダーより粛正役を任されておった。紅い月はやり過ぎたのよ、要人を狙うには覚悟がいるぞシェスカよ」


「…………うん」


「??どいいう事ですか」


「シェスカは知っていたんだね、狙って相手が悪じゃない事を」


「……はい、ネイド様。リーダーには内緒にしてましたが、自分が命を狙う相手ですから……」


「しかしシェスカよ、アカは知っておったぞ。そなたの事を内密に調査をしておったわ」


それを聞いてシェスカは呆然とした表情を見せ、ウズメは感情を消して淡々と話す。


「これからがちと面倒くさいのじゃが、アカは裏切り者じゃよ。

リーダーとやが信頼して内部調査に任命したのに帝国の手の者の協力者になりおった。そして都合が悪くなると処罰しおる。そんな者を重用したリーダーにも不信感が増大しており、紅い月が内部闘争から瓦解するのは時間の問題じゃた」


「じゃあ、シェスカは帝国から目を付けられている?」


「ふむ、そこは微妙じゃな主様よ。アカもシェスカを気に入ってたようでな帝国には知らされてないようじゃ。だが他から伝わってる可能性はあるのぅ」


「他と言うと内部にまだ、いるという事?」


ネイドはウズメに問うと肯定するようにウズメが頷いた。


「本当なんですね、………私は何も知らなかった。紅い月がそこまで追い詰められていたなんて」


今にも泣きだしそうな表情でシェスカは話しを聞いていた。


「じゃが悪い事ばかりではないぞシェスカよ、少なくともアカは排除できたのは意味のある事じゃ」


「そうなんでしょうか?」


「うむ、リーダーとやらの策じゃろな、あれでもアカは紅い月のNo.3じゃ、それを妾達の交渉に寄越したのだからの」


「じゃあウズメは紅い月はこれで落ち着つくと?」


「その為の策じゃろ、あとはリーダーとやらの腕のみせどころじゃよ」


紅い月の現状がウズメの報告である程度の事がわかったところで一旦休憩となった。


ただ、紅い月がそれだけの組織ではないことはウズメの顔を見ればわかる。

シェスカの前では言えない事があったのならば、後で聞けばいいとネイドは思った。

ひとまず紅い月の話しはここまでとした。


次に考えねばならないのがサイトーのことだった。ネイドは一息ついている間に深夜のサイトーとの会話を思いだしていた。

あの時のサイトーは果たして何の為にネイドの前に姿を現したのかを。

「ネイド様、新しいお茶を入れます」


サイトーの事を考えていたネイドのもとに緋波がやってきてお茶を新しく入れ直した。

他の皆は席を外して各々くつろいでいる中に緋波はいつもと代わりなく自分の仕事をしている。



「緋波さんも休んでいていいのに?」


「このままで十分です。疲れてはいませんので」


いつも通りの緋波にネイドはホッとしてお茶を啜る。

再びテーブルに全員を呼び先ほどの続きをする。


「ウズメの報告で紅の月の状況はわかった。シェスカも戻りたいのならとめないよ」


「…………、大丈夫ですネイド様。彼女もわかってくれるでしょう」


「………、シェスカがそう言うのならコレからも宜しく」



はい!と返事をしてシェスカは緋波達と軽い握手をした。


「シェスカの事はこれでいいとして、残るはサイトーの事なんだけど」


「サイトーじゃと、主様よあれも帝国の犬じゃろ?」


やはりウズメは気づかなかったようだ。あのタイミングで現れたサイトーはあきらかに自分達を狙っていた。

予想外の出来事で仕掛ける事を断念したようだが、あの気の使い方は人間とは違った。偶然だったが緋波さえも欺く技術を持っていることで帝国の関係者とはネイドは思えなかった。


「あれは、人ではないかもしれません」


「緋波さん?」


「すみません、そんなきがしたのです」


その緋波の言葉でネイド達は、それ以上の追求を止めた。

相手が誰であれネイド達の行動方針は変わらない、ならば自分達の前に立ちはだかった時に排除すればいいとネイドは考え直した。



「夕陽が沈む時間になってるけど、これで話し会いは終わりにしよう。シェスカも入れて明日からはまた迷宮に入ろう」


「はっはい!頑張ります」


「そうじゃな、頭ばかり使っては気が滅入るというものじゃ」


「宜しくね、シェスカちゃん」


「では、夕食の準備をしてきます」


明日から迷宮に入ると聞いて気合いの入る一同を見てネイドは固くなっていた顔が笑顔になるのを感じた。


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