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理想のペットライフ  作者: ミイナ
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深夜の戦闘

小屋の前にはアカの仲間と思われる武装した人が見えている範囲で15人。

姿が見えないがネイド達の背後をつこうとしているのが幾人かいた。


「じゃあ行こうか」


と緋波達に声をかけた時に、緋波の鞄からノックする音が聞こえる。

緋波が目でネイドに問うと開けていいと頷いたので、緋波は鞄を開けた。


「う~~ん!体が凝るの。ネイド様、私も手伝います」


アカの目の前で緋波が鞄を開けると中からシェスカが出てきた、アカ達は驚いた顔をしているがシェスカは何食わぬ顔で身体を伸ばすとアカを気にもしないでネイドに協力を申し出る。


「敵に懐柔されたのシェスカ。お前が仕えるのはリーダーだけだろ」


「アハハ、何を言ってるのアカ。交渉を駄目にしたのはアンタでしょ、それに嘘でも2千万の価値をつけてくれた人の方が私も命を賭けて仕えるよ」


「クッ!所詮は捨て猫か、拾ってやった恩を忘れやがって」


「なにを言っているのよアカ、私は孤児院の為に働いていたのよ。なら気前の良いネイド様の方が私には都合が良いの。それに組織には貸しはあっても借りないわよ!」


アカとシェスカの口撃を黙って見ていたネイド達と敵一同は深夜の小屋の前でいつ動くかを探っていた。

お互いがいつでも戦闘ができる程の緊張感の中で緋波がまずは動く。


「話しが長い。シェスカは後ろの敵を前は私が」


そう言って緋波は大剣をアカに叩き込む。

緋波の大剣をバックステップで軽くかわしてアカが後ろに下がると、回りにいたアカの仲間の2人が前に出て緋波を剣で攻撃してきた。


「ネイド様。前に道を作ります」


そう言うと緋波は前に出てきた2人ごと大剣の横薙ぎで前方に吹き飛ばすと左右に大剣の大振りをしながら前に突っ込んでいった。


「お~!流石は緋波じゃな、大剣の遠心力を巧く使いおるわ」


緋波が軽やかに大剣を8の字に描きながら、敵の集団に飛び込んで行く。

ネイドはチラリと後ろを見るとシェスカが後方の敵と戦いを始めている。

猫族ならではの動きで素早く敵を爪で切り裂く様は中々に綺麗な動きだった。後方はシェスカに任せる事にしてネイドは敵集団の外に目を向ける。

大抵の場合、離れて攻撃をする敵が必ずいるのでネイドは細心の注意をして周りを見ると小屋の屋根に1人、緋波が蹴散らしている集団の外側に3人程、攻撃に加わらずにいる。


「ウズメ、屋根に1人。狙える?」


「ふん!当たり前じゃよ主様よ。それよりも緋波を狙っている奴がいるぞ」


「まだ仲間が邪魔で、緋波さんを狙える程バラけていない。そこにつけこむからウズメは屋根の奴を殺って」


緋波の開けた敵の集団の穴にネイドは突っ込み、緋波が徐々に左側に動いて戦闘をコントロールしていく。

ネイドは緋波とは逆に動き、敵を分散する。

戦いは乱戦になりつつある、アカの姿は敵の影に隠れてわからなくなった。

そんな中でウズメは遠距離攻撃を仕掛ける敵を闇の炎をぶつけて片付けていく。


地面に転がりながら炎を消そうともがくたびに仲間にも飛び火する。

闇の炎を消すことができずに命を落とす者が多数でた。


戦闘が始まり敵の半数を撃破したが、アカの様に強敵と呼べる敵はいなく、全滅まで時間がかからないように思われた。


「ネイド様。後ろの敵は終わりましたけど…………加勢いります?」


残りの敵も少なくなり、シェスカが後方の敵を倒し終わりネイドの元に近づくがシェスカの倒した3倍の人数が地面に横たわるのを見て呆れたような声をだす。

「見物をしててよいぞ、猫娘よ。後はあの若作りの小僧と数人の取り巻きだけじゃし」



「アハハハ、はぁ~分かりました。離れていますね」


意気込ん来たシェスカは肩を落としてネイドから離れていった。



「さて小僧、最後までやるのかぇ。結果は見えとるが」


「お嬢ちゃんに小僧呼ばわりとは情けないですが、こちらも近所にお使いじゃないので引けないんですよ」


アカは仲間の後ろからウズメに答える。

緋波の大剣は敵の着ている防具の上から無理矢理に斬りつけているために、刃がかけたりして切れ味が落ちていた。

それを見て緋波は大剣を捨てると両腰に吊るしてある長剣を抜く。両の手に長剣を持った緋波がネイドの前に立ち敵を牽制する。


双方がにらみ合いから数分、敵が焦れて緋波に襲いかかる。

アカの前にいた3人が前に出て緋波を襲う。

3人同時の剣での攻撃を双剣で受け止める緋波。

その剣を受け止めて緋波が剣を弾き返す、敵である3人は驚愕の表情で互いを見た。

仲間が少女の持つ大剣に軽々と吹き飛び、潰された様は異様な光景で何かしらの魔法を使っていると思っていた。

しかし少女は沈黙と冷淡な瞳を宿しながら次々に仲間を倒した様は魔法を使うだけではない何かを直接その身で受けて3人は恐怖の一端を知った。

少女は純粋に力だけを使っている、あの小さい体で苦もなく自分より大きい人間を圧倒するのは敵にとっては恐怖そのものだった。


「これで終わり?…………情けない」


緋波が小声で呟くと無造作に敵の3人に近付き戦意を無くした敵を片づけた。


緋波の戦闘が終わり、ネイドはアカの前に行く。

殆どの敵を緋波が片づけた為にネイドの見せ場は最後になってしまった。

アカまで緋波が倒すと流石にネイドは恥ずかしく思う、やや早足で緋波の脇を通った。


「後は君だけだけど…………殺る?」


「…………もちろんですよネイドさん、彼女の存在は予想外でしたが私達が勝てないのは解っていましたので、奥の…………手。グッガガ~!」


突如、苦しみ出したアカを眺めネイドはヤレヤレと頭を振る。

アカの身体を黒い霧が包み込み身体を巨大化させる。


少年の様だったアカの体は倍以上に膨れあがり、ネイドを軽く見下ろすぐらいの体格となった。


「主様よ。アレじゃな、一番安易な展開じゃな」


「そうだね、緋波さんにシェスカ!手出しは無用だよ。僕達だけでいい!」


ネイドの声を聞き、緋波はシェスカのいる場所まで下がると心配するシェスカを宥めて戦いを観戦する。


「ギュガッア~!」


「何を言うとるかわからんぞアカ2よ」


「おっと。……ウズメなんだい、アカ2って」


変身したアカがネイドに向けて右腕を力まかせに叩きつける。


「小僧が変身したからアカ2じゃよ」


「あっそ、じゃあアカ2で。ウズメいまのアカ2は防御が固い無理に援護はしないで蚤の探索を宜しくね」


振りおろした腕を戻したアカ2はネイドに向けて左右の腕を上から交互に叩きつける、技でもなんでもない力任せの攻撃をネイドは軽くかわす。

地面にはアカ2の攻撃で出来た拳程の穴が空いている。



深夜に低く響くアカ2の唸り声を聞きながら、ネイドはどう攻めるかを考える。

力は強いが素早さは普通だ、あの森で会った奴とは何かが違う。

まるで驚異を感じさせないアカ2をネイドは攻撃を捌きながら観察をする。

ウズメからの情報はまだこない、ならばとネイドはアカ2の攻撃に合わせて、カウンターの蹴りをアカ2の左足に当てる。

ネイドには確かな手応えが感じられるがアカ2は気にもしない。

やはり防御が固いのかと思いながらもアカ2の左足の同じ場所に何度も攻撃を当てていく。


「グググッウ」


「……えっ!」


アカ2の苦しみの声を聞きネイドは驚く、あきらかに森で戦った奴よりも数段弱い。

これの意味するところは不明だが、通常のネイドの攻撃が効くことが判明したのでネイドは動きの鈍いアカ2に積極的に攻勢に転ずる。


「ウズメ、僕の攻撃が通じるみたいだから、此方から仕掛けるよ」


「…………油断は禁物じゃぞ、主様よ」


背中のいるウズメに頷きネイドは動きの鈍いアカ2の背後に回りに後頭部を蹴りつける。


一度ではたいしたダメージにはならないが、アカ2の攻撃を避けながら根気よくネイドは攻撃を当てていく。

その強靭な体を作ったであろう黒い霧はその役目を果たせずにネイドに削られていく。

目の前のネイドを本能のみで攻撃するアカ2を嘲笑うようにネイドは打撃技のみで攻撃をした。

そこにネイドの油断があった。



常に相手の側面から攻撃をしていたネイドはアカ2の無造作な大振りの一撃を避けた流れでアカ2の正面に立つ。


地面に突き刺さったアカ2の腕を蹴ってネイドはアカ2の顔面に膝を叩きつけるようにぶつける。確かな手応えがあったと同時にネイドの膝が何かに固定されたように動けなくなった。

慌ててネイドは膝の辺りを見るとアカ2の右頬にネイドの左膝が確かに当たっているが、黒い霧が陥没したような形で膝を捕まえていた。

身動きのとれなくなったネイドの背後にアカ2の黒い霧が3本の槍状態に変化をして、ネイドを背後から突き刺さす。


それを見ていたシェスカは悲鳴あげて顔を背けるが、緋波は黙って見つめている。


「グッ!」


背中に焼けるような痛みが走りネイドは奥歯を噛み締めた。


「だから油断はするなと言ったのだぞ主様よ。妾がいなければ死んでいたじゃろな」


ネイドの背後にいたウズメが両手に黒い障壁を出してアカ2の黒い槍を防いだのだが、一本だけウズメの障壁を破りネイドの背中に刺さっていた。


「骨まではいってはいまい、肉だけじゃ主様よ。後で緋波に治療してもらうがよい、それとこの槍は邪魔じゃな」


黒い障壁に刺さっていた黒い槍の部分がウズメによってかき消された。

何か美味しそうな表情をしたウズメがうんうんと頷く。


「主様よ、アカ2には蚤はおらん。黒い霧の情報だと薬を注射したようじゃぞ」


「元にもどるの?」


「ふむ。無理じゃ、体内で混ざって分離はできないらしいのぅ」


「そう…………」


ウズメに食われた影響かネイドの膝が外れて自由になった。

ネイドはアカ2から少しの距離をとって相手を見る。

アカを覆う霧が減少し所々、黒い霧がアカの本体の体を剥き出しにしている。


「主様よ、アカ2の力が落ちているぞ。殺るならいまじゃ」


「あぁ。わかっているよウズメ」


霧に覆われていない部分は左肩に右脇腹、左太ももの三ヶ所。

ネイドは左手に銃を右手に短刀を構えるとアカ2に向かう。

ネイドの接近を知りアカ2は右腕を横薙ぎに払う、ギリギリでネイドは避けてアカ2の左太ももに銃弾を一発撃った。


「ギャ!」


銃弾がアカ2の左太ももを貫通して、叫び声をあげて地面に膝をつくアカ2。

ネイドはさらにアカ2の右側に移動しながら近接する。

それをアカ2は右肘でネイドを狙うように振り抜いた、ネイドはアカ2の右肘を屈んでかわし右脇腹に短刀を突き刺した。


「ギャワワワ!」


アカ2の咆哮が辺りに響く。


「ウズメ!アカの全てを食い尽くせ!」


「承知!」


ネイドはアカ2の右脇腹に短刀を突き刺したままにして、左後ろに移動する。

アカ2の右脇腹の短刀の刀身が黒く輝く、刺された痛みでもがくアカ2をネイドは冷静に見つめていると徐々に黒い霧が薄れてきた。

もはや防御として機能しない黒い霧をネイドは見抜き攻撃に転じる。

あれだけ巨大だった体もネイドより低くなり、組みしやすくなっている。

ネイドはアカ2の左肩に狙いを定め手刀を叩き込こんだ。

背中の傷が痛むがネイドは構わずアカ2の左肩から左手の間接を逆方向に捻るとネイドは右肘をアカ2の左肩に叩き込むと肩が外れる鈍い音とアカ2の苦痛の声、さらに黒い霧が消えて人間の部分が顕になる。


「ガッハ!まさ……か、再び……人の意思を…………」


口から血を吐き、アカが人の言葉で呟く。


「もう……終わりにしよう」


ネイドの声にアカが反応する。


「殺っ……て下さい 。私は…………」


アカは左肩に右脇腹と左太ももと、ネイドの攻撃により立つ事も動くこともできずにいる。

その姿を正面から見据えてネイドは左手の銃をアカの心臓に狙いをつけて撃つ。

深夜に響く銃声はアカの心臓を撃ち抜き、黒い霧がアカの体の内部からあふれ出してこの世から消滅した。



ネイドは地面に落ちた短刀を拾い腰の鞘に戻す。


「終わったのぅ主様よ」


「あぁ。アカから情報は取れたかい?」


「勿論じゃ「ネイド様、傷の手当てを」よ」


ウズメの声に合わせて緋波がネイドに近づき背中の傷の手当てを始める。

チラリとシェスカを見ると呆然とアカのいた場所をみていた。


「ウズメの奪い取った情報は部屋に帰ってから聞くよ、今は…居るんでしょサイトーさん」

ハッと我にかえったシェスカは闇の中の凝視すると大木の後ろからサイトーが現れた。


「いや~、ばれちゃいました。隠業には自信があったんですけとね。アハハハ」


「本当に居たんですね………」


「あれ~、カマをかけられたんですか?わたし。まあ良いです、ネイドさん私とも遊びましょう」


大木の後ろから現れたサイトーは大袈裟に頭と手を振る。

だがその表情は笑ってはいなかった。

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