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理想のペットライフ  作者: ミイナ
22/44

男の背中を追いかけて

一夜明け、ネイドは目を覚ました。

寝袋はミリーに貸した為にたき火の前で座りながら眠りについていた。

同じ姿勢で寝ていた為に身体が痛むが、大きく背筋を伸ばして、眠気を払う。

ふと周りを見ると、緋波が起きて動き回っている。


「おはよう、緋波さん」


「お早う御座います、ネイド様。」


「いつも早いね。

探し物?辺りを探していたみたいだけど」


「はい。起きたらクスの姿が見えなかったので、探していました」


「あやつなら、夜明け前に飛んで行ったぞ」


後ろからウズメの声がして、ネイドが振り返る。


「行ったの?残念」


「なんじゃ、気に入っておったのか?、まぁ会える機会もまたあるじゃろ」

「ウズメもおはよう。クスをみていたの?」


「いいんや。妾が寝ていたら、水玉とクスが何やらしてての起きてしまった。

クスには昨日ご馳走になったからの、挨拶をしようとしたら飛んでいっての」


それを聞いたネイドは特に残念そうでもなく、緋波と朝食の準備を始める。


それから暫くして、皆が起きてきた。

レヴィはクスの事を聞き、寂しいそうだったが食事の時には元気になっていた。


「ネイド様、私と一緒にハートミーツに急ぎましょう」


食事中にミリーがネイドに提案する。


「悪いけど、もう少し時間をかけて行きたい」


「昨日、話しにあった冒険者の男が気になるのですか?」


「えぇ。昨日の男が去った方向へ行ってみようと思います」


その言葉を聞きミリーはため息を吐く。


「わかりました。ハートミーツの領主には私からネイド様の考えを伝えておきます」


「いいのかぇ。ミリーは主様を探しにここまで来たのに?」


「本人に確認が取れれば構いません。

元はといえば、私達の伝達ミスですし。

責任はクリエに回しますので」


人が悪い微笑を作り、ミリーは1の村に向かった。

そこから、迅速に行動するだろうことはミリーの性格から確かな事だ。


「ネイド様、では出発しましょう」


夜営地に使用したテントや食器などを撤収して、昨日の男が居た場所を目指す。


ネイドとウズメが先導して山の中を進む。

昨日は魔物を探しているうちに偶然にウズメが発見したので、2人はうろ覚えで進んで行く。


途中で食用にとレヴィと水玉が色々集めて来たりとか、緋波が虫を見つけてはフラフラと列を外れては連れ戻されるなど、色々あったが無事に目的の場所に着いた。


ネイド達は辺りを探索するが、手掛かりが見つかる訳も無く、仕方なく男が去った方向へと向かった。

意外にも、踏み固められた小道が出来ていて、ネイド達は目印がわりに進む。

地図で確認すると、3の村の方へと続いているみたいだった。


何事もなく山道を進むと全員が休憩できるぐらいのスペースがあったので、昼食を取ることとなった。

「これ、美味しいです。何の肉ですか?」


レヴィが肉団子を笑顔で美味しいそうに食べながら緋波に聞いた。


「昨日、ネイド様が探索に出ている時に見つけたあれ」


と緋波が指をさした先に瓜坊がいる。

体格が成長した豚なみに大きいのに瓜坊と呼ばれるのは、成長したら二倍は大きくなる大猪の子供ゆえ。


だが、肉は大人に育った猪よりも柔らかく臭みも無いためにこの辺りの猟師の獲物になっている。


「へぇ~。じゃあ、あのデッカイのはもっと美味しいですか?」


「いいえ。あれが大人になったら、あじも肉質も二段階は落ちます」


2人の見ている瓜坊の奥に巨大な猪がいる。

そいつは、ネイド達を食い入る用に見つめ、殺気を放つ。


「アリャだめじゃな。緋波よ来るぞ」


ウズメの言葉通りに自分の子供を蹴散らして突っ込んでくる大猪。

レヴィがアワアワと狼狽えるなか、緋波が大剣を抜こうとすると、水玉が大猪の正面に立ち塞がり力比べをするように頭と頭をぶつけ合った。


「水玉ちゃん!」


ピュ~ンと吹っ飛ぶ水玉をレヴィが追いかける、大猪は?でその場に止まる。

そこに緋波が大剣を縦にひと振り、それで大猪が倒れた。

「水玉よ。去らば」


「水玉ちゃんは死んでません。ほら!」近く落ちた水玉を拾ってきたレヴィがウズメに見せる。


「お主、何がしたかたのだ?勇敢と無謀は別じゃぞ」


「……」


「そう。ネイド様の役に立ちたかったのね。

ウズメですら役に立ちゃたから」


「妾は使える者ぞ。

獣ごときの下には立たん」


緋波達の言い争いを尻目にやれやれとネイドは大猪に向かい解体処理にかかる。

肉と毛皮だけを剥ぎ、残りは使い物にならないのでその場に残す。


緋波達も飽きたのかネイドの元に集い休憩にはいった。


ネイドとウズメが地図を確認する。

その間に緋波達は散策がてら、周りを見て回る事にした。

地図を見ると3の村には途中で一泊する必要はあるが、次の日の午前中には3の村に着く。


このまま進んで、何も発見が無ければ3の村に行き、さっさとハートミーツに向かおうかとウズメと相談する。


「お兄さん、こっちに誰かいます」


レヴィがネイドの元に駆けてきた。


「緋波お姉さんが見張ってます」


レヴィの後をついて行くと近く木の影から向こうを見ている緋波がいた。


ネイドが背を低くして緋波に合流する。

緋波の視線の先に冒険者風の男がウロウロと辺りを歩いては立ち止まる。


「昨日、見た男じゃな。何をしておるのかのぅ?」


「見てわかないの。

トイレよ。レヴィはみちゃだめ」


「えっ?…………、はい。緋波お姉さん」


後ろを向いて水玉と遊ぶレヴィ。

ネイドは男を見つめ、意を決して男に話しかけてみる事にした。


「ネイド様?」


「僕だけで行く。緋波さんはフォローをお願い」


「妾も行くぞ!奴の視線には入らないで移動をするので、大丈夫じゃ」


ネイドは木の幹から顔を出して、小道を男に向かって歩く。

男は全く警戒心もなく佇み、ネイドに気づきもしない。

ある程度、男に近づき声をかける。


「あの~、何をしているのですか?」


男はネイドの声に反応して振り向く。

男の目は焦点があってないようにボーとしている。


「うっえ、あぁ~…………俺は何をしているんだ。

そうだ、あんた知っているか。

この近くの町に金鉱が出たらしいぜ、領主は隠しているがな」


「えっ。金んですか?失礼ですが、どこでその話しを?」


「うぇ、う~ん。

何処だったかな?…………」


と、ブツブツと呟きながらネイドに背を向けて歩いていく。


「お兄さん、あの人……変」


「ネイド様、保護しますか?」


「主様よ、あれは軽度の傀儡じゃな」


男が去った方を見つめながらネイドは3人の話しを聞く。

それを聞きネイドは男の後をつけようと提案する。


「後を追うだけですか?ネイド様」


「そう。この後をどう行動するのかを知りたい」


男の後を離れた場所から、追うネイド達。

男は何をするでも無く、ゆっくりと3の村に向かっているようだ。

だいぶ陽も落ちてきて、辺りの木々が赤く染まる。

見ている限り、水も食事もせずに歩いている。

まさか夜通しあの調子で歩き続けるのかとネイド達は思った。



そなると、レヴィを連れて夜道の山の中を歩くのは厳しい。

緋波とレヴィを先行させて、夜営できる場所で待機をさせることも考える。

陽が落ちてからでは遅いので決断をしなければとネイドは思う。


ゆったりと行動していた男が突如、山の奥に走り出す。

何事!ネイド達も慌てて男の後を追うと、ネイドが地図を見ていた時に夜営地の候補にと考えていた場所に近い所まで男は走った。

流石にレヴィは息が荒くなっている。

男は大木に寄りかかり動かなくなった。

それを確認してネイドは緋波に地図を見せて夜営地に適していると思われる場所にレヴィを連れてテントを張るように指示をする。

陽が完全に落ちる前にテントは張れるだろう。

緋波もレヴィの体力が、もたないと察してネイドと別れて指定された場所にレヴィと水玉を連れて向かった。


「今日は徹夜で見張る事になるね」


「妾は良いが主様はきつかろう。

膝枕でもしてやろうかの」


「それも有難いけど、ごはんをどうにかしないとね。この場所だとたき火もできない」


「逆に考えればどうじゃ?見つかっても問題あるまい。近寄ってくればたき火を利用して観察する事も可能じゃ」



確かにウズメの言うと通りだとネイドは思う。

ウズメの提案を了承してたき火の準備を始める。

結果として、男は来なかった。

一晩男を見張り、ネイドは男に仲間や、この山に目的がある様子も見られない事から、3の村の手前で男を保護して調べてもらう事にしようと考えた。

翌朝、男は3の村に向かっている。

昨日より歩くスピードが速い、人の集まる気配でも分かるのか、男の意思が村に帰りたがっているのかもしれない とネイドは思う。


男が移動を始めて直ぐに緋波達もネイドに合流して、男の後を追っている。

ネイドは緋波に3の村の手前で男を保護すると告げ緋波も頷く。


だいだいの一連の騒動の理由がネイドには予想がついた。

あの魔物が冒険者や猟師など、山に入った者に噂を流す様に仕組んだのだろう。

目的が解らないが、あの様子では直ぐに洗脳も解けるに違いない。


後はミリーや領主に報告して、町や村に変化が無いか調べてもらう。

しかし、どれだけの人間に同じ事をしていたのか想像できない。

人の噂話しは、ここまで広がるのかと思うと恐怖すら感じるネイドだった。

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