初恋しましたが気づきませんでした!
「さて、何があったのか話していただきますよ。」
部屋に連れていかれ、私が椅子に座りオリビアがその前に仁王立ちという尋問のような事態になっていた。
意味もなく笑顔を浮かべながら横をむく。
いつもの思い詰めた私ではなく、焦っているような私であることにオリビアは気づいているのか、さほど重い空気ではないのが幸いだった。
とても真面目に話せるようなことではない。
「あの、誰にも言わないでほしいんだけど、」
「もちろんです。」
オリビアなら、大丈夫だろうけど………………。
息を吐いてから、恐る恐る切り出した。
「………そんなにたくさん会ったことがない人に、
………会いたくなるときってある………………………?」
「………?」
ここまで気が抜ける話だと思ってはいなかったのか、きょとんとしているオリビアから目をそらす。
なんだろう、すごい、恥ずかしい。
「前話した、レイヴァンっているじゃない」
「ええ………。」
「私凄く気にしてたじゃない。」
「ええ。」
「たった数回しか会ってない人なのに。」
「ええ。」
「………………………何でだと思う?」
「………はい?」
両手を顔面に当てて赤くなっている自分の顔を隠す。
しばらく沈黙が続く。
オリビアが混乱しているのがわかる。
それもそうだろう。お嬢様の様子がおかしいと連れ出してみれば最初に言われたのがこの質問だったら。
「それは………………
憧れではないのですか?」
「あっあこっ!?」
ガタンと音をたてて立ち上がる。
あ、憧れだなんて、わたしが、わたしがレイヴァンを好
「お嬢様おっしゃっていたではありませんか。あんなに強い人は見たことがないと。気づかぬ内に師匠のように感じていたのではなかったのですか?私てっきりそういうものだと。聞くところによればレイヴァンは………お嬢様?」
あ、憧れってそういう………?
力が抜けてまた座り込む。
確かに私、レイヴァンの強さにまず驚いたのが最初だったかもしれない。剣術大会の時、レイヴァンのことが気になり出したのって、
負けたあとだった………………!!
その後の路地裏のだって、レイヴァンの強さが変わっていないことに驚いて、嬉しくなったような………。
「オリビア!そうだ!!そうなんだよ!」
拳をつくって力をこめていきなり叫んだ私を、オリビアは困惑したように見ていたけど、そんなことは気にせずに今日レイヴァンと会ったことを話した。
「それでね、私、レイヴァンと会えなくなることが嫌だとか、もっと会いたいだとか、いっつもレイヴァンを探してしまうとことか、何でなんだろうっておもってたんだけど、きっと私、レイヴァンの剣術が好きだったんだ!!」
「え、はい?会いたいのですか?探してしまうのですか?それは憧れでは」
「オリビアありがとう!すっきりしたわ!」
なんだ、こんな簡単なことだったんだ、と、腕をあげて伸びをする。
オリビアが私に何か言いたそうに見つめていたけど、私はそれに気づかなかった。
結論から言うとこうだ。
リリアンはこちらの世界に来てからというもの、皇太子との婚約を回避したり、魔術や剣術を習ったりで忙しかったのに加え、自らの美貌がゆえに気持ちを向けられる側であり続けた結果、恋という感情に非常に鈍感になっていた。
そもそも前世でもまともに恋愛をしたことはなかったのだが。
「レイヴァンがもし貴族だったとしたら、あの剣術を見られる機会が少なくなってしまうからいやだったんだわ。」
だがそれを指摘する勇気はオリビアにはなかった。




