オリビアはクララック様の恋人です(2)
「オリビア、お嬢様に事の経緯を。」
「はい。あのあと………皇太子様に見つかってしまいまして………。」
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「口づけ………?」
「ああ。いるか?」
いえいえ、しなくていいです!そんなことできません!
「いるか、そんなもん。それより、ようやく相手が見つかってよかったな。」
「あっ、ああ………。彼女といると癒されるんだ。」
クララック様が私を見つめてくる。私はその視線から目をそらした。彼の顔は本当によく整っている。お嬢様が言った通りだ。できればあまりみていたくはない。心臓に悪い。
口づけ回避できて本当によかったけれど、ここからどうごまかせばいいのでしょう………。
「お前、何を言っているんだ。」
「「え?」」
「皇室主催のダンスパーティー、パートナーがまだ見つからないと言っていたじゃないか。」
だ、だんす………?
隣でクララック様がわなわなと震える。それを見て瞬時に悟った。
あ、これがお嬢様がよく言う、 やばいやつ ですね………。
「いえ、私は………。クララック様とは身分違いですので。」
咄嗟にそう言ってクララック様を見上げる。そうですよね、合わせてください!と懇願する目をつくると、クララック様は頷いた。
「そうなんだ。彼女を辛い目にも合わせたくないからね。」
「じゃあ誰だ。」
「え。」
「決まってないならランベル家のあのバカ女になるぞ。」
「え!!」
ランベル家………。
クララック様が過剰反応した。冷や汗が出ているところをみると相当嫌らしい。
確かランベル家は子爵の位で、一人娘がおられたはず。
ああ、そういえば、
思い出して思わず少し顔をしかめる。
一人娘様はミア様と仰って、まあ、なんというか、
かなりの自由人でいらっしゃると。まあ、一人娘ともなれば愛されるのは当然でしょうが、自分より年下のミラ伯爵令嬢を、名前がにていると言うだけで叩くのはいけませんよね。
その点うちのお嬢様は、ベドフォード家の初の女の子で皆様に溺愛されているのにも関わらず、聡明で、自分に厳しく、使用人達にもお優しい。最高のお嬢様です!!
それはそうと、ランベル子爵令嬢がクララック様を狙っていると言う噂は本当だったようで。
「あそこ以外でもまだ」
「じゃあキャロル家のニンジンか?」
キャロル家のお嬢様は全部で3名、皆様見事なニンジン色の髪をお持ちでございます。ニンジンが大好物でいらっしゃいます。
「それともエンロット家の尻軽か?」
エンロット家のお嬢様は月に一度恋人がお変わりになられます。
「ああ。アンバー家の変人でもいいか。」
アンバー家の双子様はその………………謎の言葉をお話になられると評判だそうで。何でも2人だけの言葉だそうです。
「モシャロンガだのテピテピだの。理解できるのか。あれが。」
「………………………。」
クララック様は黙ってしまった。女運が悪いらしい。
さすがに可哀想………って!
同情した自分を心のなかで叱責する。もちろん顔面には笑顔を貼り付けた状態で。
クララック様とダンスパーティーだなんて無理です!お嬢様ならまだしも、私なんて、捨て子で、姓もなくて、一応ダンスと所作はお嬢様と一緒に授業を受けたので分かりますが、公爵家の公子様とだなんて、無茶にもほどがあります。
「というわけだ。オリビアと言ったか。クララと一緒に出てやったらどうだ。」
「え………………」
その言葉に疑問を感じて、返答が遅れる。
私はメイドであると分かっているのに、それでも一緒に出ろと、そう仰ったんだ。今。普通の貴族や皇族なら、まず貴族ではない人間には辛くあたるもの。だけど皇太子様はいま………
もしかして、クララック様のために?
「いや、彼女にそんなことをさせるわけには………。」
「彼女だって、お前が別の女と腕を組んで踊るのは嫌だろう。」
「いえ!私はまったく………。」
別のことを考えていたから、素でそう言ってしまった。
皇太子様の眉がひそめられる。
大変………………!
「クララ、お前さっきから、彼女彼女と言っているが、名前で呼ばないのか?」
はっ!
皇太子様が疑い始めたのに気づいて、クララック様があからさまにあわて出す。
「い、いや、そんなことは………」
「クララック様は人前で私たちのことがばれないように、彼女と私のことを呼ぶので、今もそうなってしまったのですよね。」
「あ、ああ。」
どもらないでくださいっ!あやしいですから!!
「クララック様と呼んでいるのか?クララではなく?」
く、くらら?
それがクララック様の愛称だと気づくのが遅かった。きっと私もパニックになっていたんでしょう。
気づいていれば 人前ではクララック様と呼んでいるので と言えたのに。
「ああ。で、出会ったばかりだからね。」
「出会ったばかり?お前さっき数年前からって言わなかったか?」
クララック様ーーーーー!!!!!




