↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/86

転移魔法に失敗したらレイヴァンと再会しました(2)


 「えっ!?」


 転移先の景色を見て唖然とする。目の前には綺麗な青空。前に一度これと同じ景色を見た気がするのは気のせいだろうか。

………いや、気のせいではない。


 そ、ら………………。  って!!


 あの時と同じ浮遊感が私を襲った。


 「きゃぁぁぁぁっ!」


 落ちてるからっっ!



 ドサッ!


 

 ………………ああ。


 体にきた衝撃に身を縮こませながら、目を閉じて何も見たくない気分だった。この感触も同じ。また誰かの腕のなかだ。

 どうしてこんなにも私は、人の上に落ちるのだろう。小説か。小説のなかだからか。展開が乙女チックすぎる!!!

 ああ、見たくない。恐ろしすぎる。

 それでも恐る恐る自分の体に腕を回すその人を見る。

 この間はクララックさまだったけれど、今回は………………。


 「………………………。」


 「………………………。」



 私を抱き止めていたのは、………仮面の人だった。

 私がその仮面にびっくりしているように、相手もかなり驚いているように目を丸くしている。


 「あ、あの………。」


 あまりに見つめて何も言ってこないから、しびれをきらして口を開く。その時、仮面の奥で、赤っぽい光がきらめいた。

 言葉を失った。確かめるために相手の服を掴んで顔を引き寄せる。

 私は、その色に見覚えがある。記憶が一気によみがえってきた。


 その、その色は………………


 「あの!」


 「なんだあ?その女。」


 突然野太い声が響いた。反射的にビクッとした刹那、体にまわる腕が急に力強くなった。

 え、と思った瞬間体に、落ちてきたときと同じのものすごい浮遊感が襲ってきた。一瞬の事で理解が追い付かない私は、自分を抱き抱えるその人の首に腕をまわして落ちないように抱きついた。

 だんっという音と共にレイヴァンの足が地面につく。普段なら私を抱えて飛んだのかと羞恥するところだが、今はそんな余裕はない。


 「………そのまま離さないで。」


 耳元に声が響く。あのときより少し低くなっていたけど、その声が含む静かさと、ほんのり感じられる優しさに聞き覚えがあった。

そして確信する。


 彼は、レイヴァンなのだと。



 「ずいぶん余裕だなぁ。女を抱えて俺らと戦うのか。」



 目の前に、男がいた。げひた笑いを浮かべる髭のある男。ギラギラと光るその目を見て瞬時に判断する。この男は、危険だと。

レイヴァンを殺す気だ。

 私の目の前にいるということはレイヴァンにとっては背後。私を抱いているレイヴァンは反応が遅れる。

 おそらくレイヴァンは戦闘中。彼ほどの実力者ならこの男ぐらいすぐに倒せるだろうが、今は私という予想外の出来事を抱えている。

 つまり………


 とっさに手に魔力をためる。


 私がやらなくちゃいけない!


 レイヴァンのくびにかけていた腕の片方を男に向かってつきだす。

こういう場面で最も攻撃力があるのは火属性。けどこの距離だとレイヴァンにまで被害が出る可能性がある。なら、


     風!!


 ゴォッという風が吹き荒れる音がひびく。私の手のひらから生み出された風は、男を数メートル吹き飛ばした。




 「ぎゃあぁぁぁっ!!」



 ガシャンッ



 男が奥の建物の壁に背中を打ち付け気を失う。

 それに安堵している暇はなかった。


 「このやろうっ」


 後ろからまた別の男の声がする。

 

 一人じゃないのっ!?


 レイヴァンの首に腕をかけ直して首を後方にひねる。すると今まさに、男が斬りかかってくるところだった。


 「きゃっ………」


 思わず叫び声が出るが、レイヴァンはそれに動揺もせずに軽々とその刃を避ける。私のドレスの裾ギリギリをギラリとひかる刃が横切った。

 レイヴァンがまた距離をとるために飛ぶ。そうしてから彼が対峙する相手を見て目を見開いた。


 4、5、6………何人いるの!?いったい………。


 しかも、ただのごろつきというわけでもなさそうだ。 

 剣をかまえる男たちの後ろにはタバコを指の間にはさみ、悠々と座っている者もいる。ごろつきたちが持つ剣も派手に装飾がされていて男たちの服装とまるで一致していなかった。

 さすがにこの人数相手に私を抱えたままは不利。


 「レ、レイヴァン………おろして、邪魔になっちゃう。」


 彼が私の言葉にぴくっと体をゆらす。それから数歩下がって、相手を睨み付けながら私をゆっくりおろした。

 私の肩を掴んで言う。


 「絶対ここにいて。動かないで。」


 そう言い残して男たちに突っ込んでいく。

 その言いつけ通りじっとしながら、レイヴァンの後ろ姿に見とれた。その身のこなしは確かにあの時受けたレイヴァンの剣さばきで、レイヴァンに会えた驚きと嬉しさと困惑で、私はどうしたらいいか分からなかった。


 



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。