第10話 仕事
サッサッ
ザッザッザッザッ
フキフキ
あずき「よいしょっ……コレをここに置けばいいの?」
慈郎「おうよ!にしても動きがはえぇや」
パルム「こりゃ負けてらんないねぇ」
慈郎とパルムは昨日の傷を負いながらもあずきを連れて仕事に来ていた
そうしないと食べていけないのである
そう、安月給なのだ
手取りは精々15万円前後であろう
それを慈郎とパルムの2人で稼いでおんぼろガレージ付きの家に住んでいるというわけなのだ
パルム「ほな僕はフォークリフト行ってくるわ」
慈郎「ん?あぁ、待ってくれよ
あずきにも見せてやりたいからさ………って、大森さん来た」
慈郎とパルムは細い廊下から来る男の方を見た
身長は180はあるであろう、筋肉質で髪が天然パーマしかし顔つきは随分と人が良さそうである
この人が大森さんである
大森「おはようさん
君が鈴木くんが言うてたあずきさんやね」
そう言われるとあずきは大森さんに向かい頭を下げて挨拶をした
大森「ちょっと、慈郎くんとパルム君」
大森は慈郎とパルムに手招きをして細い廊下の奥にある扉の向こうまで来るように促した
大森「申し訳ないけども…いきなりは困るで…
2人とも良くやってくれてるし、もちろん信用はしてるんやけども…働くとなれば話は違うからさ」
パ・慈「すいゃせぇぇん……」
大森「あの子…中々に力あるしテキパキしてるけども、どこのどなたなんや?慈郎君の親戚かなんかか?」
慈郎「………これ言うていいんですかね」
大森「なんや…やばい感じのやつか」
パルム「まぁ、ヤバいのはヤバいですわな………」
慈郎「実は………」
慈郎とパルムは昨日あった事を赤裸々に大森さんに話した
相手がどんなに反応をするかビビりながらではあったが、なんとか全てを話し終えた
ちなみにパルムは昨日あんだけ食っておいて歯を磨き忘れたからきっと臭かったであろう
慈郎「てなワケなんですよ………………どうです?これ」
大森「…………………………………………………それ、ほんまか」
パルム「若干話盛ったりジョークは挟んでますけども、大体はほんまです」
大森は腕を組みながら顔を俯き、数秒してから口を開いた
表情は言うまでもなく、深刻である
大森「君らの言うことは信用できる…というか、するしかないと言った方が正しい…エライ事になってもうた…いつかは覚悟してたが…」
慈・パ「?」
大森「ちょっと席外すわ
今日はあずきちゃんに仕事教えてあげて
それと、今日はもう半ドンで帰り」
そう言うと大森さんは事務所の方に入っていった
慈郎「…………案外ビックリしてなかったな…」
パルム「嫌な予感しかしねぇや」
2人はあずきが作業をしている場所に戻って行った
これから先起こることに何も知らずに…………
あずき「…大丈夫?なんだったの?」
慈郎「あずきのこと話したんや
ほなら今日は半ドンで帰り〜言うて…事務所に引っ込んだ」
あずき「半ドン?」
パルム「午前で終わり、ってことやで」
あずきは状況がよく分からないまま適当に相槌をし、作業を進めた
━━━━━━━━━━━━━━━
慈郎「11時20分……もう上がろか
仕事のキリもええし」
?「おおおいいいいい、慈いいい郎ううう」
慈郎「お?ピノやんけ
今日は派遣とちゃうんか?」
ピノ「今日おおおおはぁぁぁ半ドンんんんんんんでよおおお」
慈郎と今会話しているのは同僚のピノという宇宙人である
クトゥルフ神話に手出来そうな見た目をしている
ちなみにはくちょう座出身である
ピノ「その子ぉぉおおお可愛いいいいいねぇぇぇ新入りいいいさんんんんかぁぁぁ????」
あずき「はい、あずきと申します
よろしくお願いします」
ピノ「良い子だァァァァァ、よろしくぅぅううう、そうだァァァ大森さんんんんんんがぁぁァよんでたぞぉぉぉぉ」
パルム「え?大森さんが?マジ?サンキュー」
3人はピノに手を振り後にした
そして大森さんがいる事務所に行った
慈郎「作業大体終わりました
僕のこと呼んでたってピノから聞いたんすけど」
大森「おっしゃ、お疲れさん
実はな…会って欲しい人がおってな」
パルム「誰てす?」
大森「名前はラウンジ
オー・ショールド・ラウンジ
地球人や
よくラウンジ博士って呼ばれてるわ」
慈郎「はぁ…僕らが話した件に関係する感じですかね…」
大森「その通りや
あの惑星ジベラフの開発開墾リーダー、及び全責任者や」
パルム「でも聞いた事無いっすよ?」
大森「表には出てないな
これもまた理由があるんやが、話してくれるやろ
電話番号と住所教えるから、そこに行ってくれ」
すると電話番号と地図を慈郎は大森から渡された
慈郎「わかりました、行ってきます」
大森「おう、頼むわ
あとそれと…………君らはこの件に関しては関係ないんや
君らのことを守ってくれると思う」