第二百五十五話 言いにくい話 1
7450年12月9日
夜明け前のコートジル城の中庭。
「よし、揃ったな……では行くぞ」
ズールーはまだ若い奴隷達を見回すと率先して駆け出した。
年若い奴隷達は彼の後に続くように並んで走り出す。
贅沢にも全員がゴム製のソールを持つサンダルを履いている。
このコートジル城に起居しているのはアルの奴隷頭であるズールー夫妻の他は全員が将来の戦闘奴隷を志す若者である。
尤も、若者とは言っても、最年長者でも成人程度の年齢なので「子供ばかり」と表現したほうが適切であろう。
ズールーはアルの警護隊長の他、騎士団の訓練従士として正騎士の叙任を受けるべく色々な事柄を学んでいる最中でもあるのだが、その他にこうして戦闘奴隷志望の奴隷達の教育まで任されているのだ。
中々に多忙な生活を送っていると言えるだろう。
事実、彼の平均睡眠時間は一日四時間程しかない。
日の出前、平均して朝四時過ぎに起床し、まだベッドで安らかな寝息を立てている愛妻にキスをするとすぐにこうしてランニングに出掛け、戻ってきたら井戸で汗を流し、全員でエルミーが用意していた朝食を摂る。
そして七時前には愛馬に跨って行政府へと出仕する。
そこで彼のご主人様であるアルから特に何か命じられなければそのまま騎士団の駐屯地へと向かい、訓練従士として午後三時の終業まで訓練や座学に励む。
当然ながら、どこかへ行けだの、どこそこへ行くから付いて来いだの言われる事もままあるので、その間の座学の遅れは何とかして取り戻さねばならないが、彼のご主人様は「その程度、自分でなんとかしろ」とでも思っているのか、殆ど考慮すらしてくれない。
が、ご主人様に恥をかかせる訳には行かないズールーとしては座学の成績を落とすなど以ての外である。
文字通り自分でなんとかせざるを得ないのだ。
騎士団から戻ったら子供達に稽古をつけてやり、暗くなる頃には夕食だ。
食事が終わればまた城の中庭に篝火を焚いて一時間ほど稽古の続きを行い、それからやっと自分の時間が持てる……のだが、就寝する夜半過ぎまでは殆ど座学の予習と復習に充てられ、満足に夫婦の時間を持つこともままならない事が多い。
とは言え、週の最後の日である土曜は騎士団も行政府も当番の者を除き一応は休日とされているので、夫婦の時間など自由になる時間が全く持てないという訳ではないのが救いだ。
しかしながら、その貴重な休日も食品や生活必需品などの買い出しで確実に日中の数時間は潰れるし、忠実な奴隷頭であるズールーには朝のランニングや子供達の稽古を欠かすという思考はない。
この日も行政府に出仕したところでアルに「次の間引き候補地が選定されたが、候補地が二箇所ある。下見に行くから付いて来い」と命じられてしまった。
ズールーは出発予定時刻までまだ少し間があることを確認すると、アルの執務室の警護に立つ従士と二言三言、言葉を交わしてから階下にある行政府の事務所へと降りていった。
空いている机を借りて座学の遅れを取り戻すためだ。
電子パッド程度の大きさをした額縁のような板を取り出したズールーは、そこに腰から下げていた袋に詰めていた目の細かい砂を撒くと板の裏側から軽く叩き、表面を均す。
オースには蝋を使った、いわゆる書字版と言うべきものも存在するのだが、使用している間のみの短時間さえ用が足せるのであれば額縁に砂を引いただけのものの方が圧倒的に手軽で低コストである。
アルやミヅチに聞いた記憶法である、テキストの書き取りを行う。
漫然とテキストを読むのではなく読み上げながら書き写すという行為によって、内容の記憶はもとより、理解についても捗るし、字もだんだんと綺麗に書けるようになってくるという優れた暗記方法である。
事務所の隅でぶつぶつと何事かを呟きながらひたすらテキストを書き写しているズールーの姿は行政府ではありふれた光景になって久しい。
「行くぞ、用意しろ」
アルに声を掛けられたズールーはいそいそと行政府の外に出て慎重に額縁から砂を袋に戻すと、僅かに残った砂をはたき落として額縁を専用のケースにしまい、馬留め杭に繋がれた愛馬へと向かった。
馬に掛けていたサドルバッグからゴムプロテクターを取り出して身につけ始める頃にはアルも行政府の職員を何人か引き連れながらやって来る。
アルが彼らと簡単な打ち合わせをしている間にゴムプロテクターを身に着け終えていないとアルの機嫌は急降下するのだからズールーとしても必死にならざるを得ない。
勿論、行政府内で予めゴムプロテクターを身に着けておけば一々慌てなくても済むのだが、事務所で物騒なプロテクターを身に着け続けているのはいただけない、とインセンガ事務官長に注意をされているだけに、ズールーとしてはいかんともし難かった。
対してアルはと言えば、防具も、一振りの剣すらも身に着けないことも多くなった。
勿論、荷物らしい荷物も持たずに身軽な格好をしている。
思い返してみれば、アルが武装すらしなくなったのはズールーが正式に騎士団に所属した頃からだろうか?
ズールーにしてみれば警護隊長としての己に対する信頼が増したような気分になり嬉しくなる反面、アルの身を守るのは本当に自分一人なのだと気が引き締まる思いもしている。
そして魔法の蹄鉄の力を借りながら超高速で移動すること一時間あまり。
ゾルゲー村の南東に拡がるダート平原に生い茂る森の傍までやってきた。
この辺りは過去の間引きでも一切手が入っていない。
「ズールー。ゾルゲー村方面から敵が来るとする。守るのは森だ。森をべグリッツ程度の街と仮定する。お前ならどこにどのように防御陣地を作って防衛する?」
アルはズールーと二人だけの際にはしばしばこういった事を尋ねることがある。
「双方の兵力は寄せ手が三〇〇〇程度、うち騎兵一〇〇くらい。受け手は五〇〇でうち騎兵は五〇、工作時間は……二日くらいだな。あと、相手の三割に損害を与えるか開戦から二日程度持ちこたえたら防衛成功とする」
寄せ手と受け手の数の差は攻撃する方は相手の六倍程度の数が欲しいという説から来たものでこういったシチュエーションを想定する場合にはよく採用されている兵力比だ。
ズールーは辺りを見回した後、少しだけ考えた。
そして地面に見えた範囲の周囲の簡略図を描く。
「まずこの辺りです。敵からもよく見える程度の防塁を築きます。高さは一mもあれば十分でしょう。適当な歩兵部隊を配置して防御本隊とします。敵の矢を防げれば充分ですから板を並べてもまぁ用が足りると思います」
「……」
ズールーの言葉にアルは沈黙したままだ。
「そしてこちら。この小さな茂みの先にある丘の、尾根の向こうに別働隊を伏せます。人数は『指向性散弾』を五~六基運用出来れば充分でしょうから……」
地面に石を置いたりして説明するズールーに向けてアルは小さく頷いた。
「えー、それから左翼には騎兵を中心に配置しますが、この騎兵は実質的には右翼部隊となります。真の目的は騎兵が動くまでここに小銃射撃陣地があることを悟られないようにするための囮です」
「ふん。『指向性散弾』の散布界に引きずり込めればいいがな。俺が寄せ手の指揮官なら、小銃や『指向性散弾』の存在を知らなくても受け手の右翼側から攻めることはないだろうな」
「何故でしょうか?」
ズールーは不思議そうな顔になった。
「この辺りの茂みが臭いからだ。まずはこの茂みのあたりに大量に矢を曲射で撃ち込むだろう」
「ええ、そう思ってその茂みではなく更に奥の丘の向こうに……」
アルを納得させようとの発言ではなく、素直に自らの考えを述べただけだ。
「……お前の狙い自体は悪くない。だが、矢を撃ち込んでも反応がなければそれはそれで臭い。気味が悪いから見通しの良い寄せ手にとっての右翼側から攻めようとするだろう」
「う……しかし、受け手の左翼側には騎兵が……」
「五〇しかいない。寄せ手にとって厄介なのは騎兵だろうが、受け手側の左翼にまとめて置いているんだろう? 騎兵の数も寄せ手と比べて半数だし、倍いる騎兵を中核にした攻撃部隊を編成してぶつけるな」
「で、でしたらそれこそこちらの思うツボです。突出してきた騎兵や軽装の歩兵部隊を狙って『指向性散弾』を放ちます。同時に受け手の騎兵を右翼へ移動させつつ小銃射撃を行っても効果的でしょう」
それを聞いてアルは小さく肩を竦めた。
「おー、それは大変だ。相手は未知の大量殺戮兵器を使った。ではこれ以上被害が大きくならないうちに撤退しよう。被害は……そうだな。多くても騎兵五〇に歩兵が五〇から一〇〇ってところだろうな。合せても全体の五分の被害で相手の戦術能力の一端が知れたのはでかい。次は用心して来ることにしよう。だが良かったな、ほぼ被害なしで防衛成功だぞ」
「う……」
肩を落としたズールーにアルは言葉を継ぐ。
「そう落ち込むな。何をどう使ったところで三〇〇〇もいる相手を全滅なんか絶対に出来っこないんだから。今のも別に間違っちゃいないんだしな」
「は、はい……」
「でも、どうせ『指向性散弾』を使うならもう少し効果が出るように使ってくれ。あれ作るの、結構大変なんだから」
「はい」
「要するにどうすれば受け手にとって効果的な散布界に出来るだけ沢山の敵を引きずり込めるか、というところがキモだ」
そう言うとアルはしゃがみ込んでズールーの描いていた地形図に変更を加えた。
「まず、この茂みには伏兵を忍ばせる」
「え? でも……」
「ああ、勿論さっき言った通り最初に矢を射掛けられるだろうな」
「し、しかしそれでは……!」
「うん。普通ならこいつらは大半が死ぬか、相当に運が良くて大怪我だろうな」
「……」
アルの言葉にズールーは目を見開いた。
奴隷頭であるズールーとしてはアルがそのような戦術を採用するとは思いたくなかったという理由もある。
「そんな顔すんな。要するに矢を射掛けさせるなりして手応えがある、あったと思わせられればいい。狙いは寄せ手の指揮官に受け手の右翼側にもう伏兵はないとか、伏兵は撃滅したと思わせることが出来ればいいんだ……」
ズールーは無表情に頷くが、その心の内にはどうにもやるせない気持ちで満たされている。
「……だから、この茂みには捕虜とかゴブリンとか、オークとかを縛って転がしておけばいい。死刑予定の罪人でもいいだろう。人数も二〇~三〇も居れば伏兵としては充分だから揃えるのも工作時間が二日もあればそう難しくはないと思う。可能なら開戦直前まで眠らせないでおいて、茂みの中で眠りこけさせておければ最高だな。そうすれば矢が当たったら叫び声くらいは上げてくれるだろう。ついでにどうせ知られるんだから小銃を模した木の棒でも持たせられたら完璧だ」
味方の兵を囮とするよりは大分マシだが、それでも非常に後味が悪くなりそうな戦法ではある。
が、アルが言う通り、欺瞞効果は高いだろう。
「これも嫌ならそこに俺やミヅチを置いておけばいい。俺たちの使う盾の魔術なら二〇人くらいは防護できるし、そうでなくとも盾兵だけを置いておいてもいい。実力のある盾兵なら最初の斉射を受けた時点で悲鳴を上げてさっさと後ろの丘の向こうに後退すれば余程運が悪くない限りはそうそう死者も出ないと思う」
ズールーは「そうならそっちから言って欲しかった」と思ったが、深い同意の頷きをするだけに留めた。
「何にしても伏兵については撃滅したか追い払ったと思わせさえ出来ればいいんだから、どんな手でも良い。そうなると、寄せ手の指揮官としては……」
「受け手の右翼側の当初の計画が破綻したと考えるでしょう。つまり、受け手の右翼側には穴が空いたと考えると思います」
「そうだな。受け手の右翼側には騎兵を配していないんだから、まずはそちらに向かって騎兵を突出させるだろう。同時に受け手の左翼側から騎兵が出てくる事も考慮に入れるはずだ」
「はい」
「そこで受け手の左翼側の騎兵は右翼側に向けて移動する。この時、中央の防壁の裏を迂回させるように移動させた方がいい。なぜだか解るか?」
「……」
ズールーは難しい顔になって考え込んだ。
そんな彼に付き合うかのようにアルも黙る。
「……小銃部隊の射線を塞がないようにするためでしょうか?」
「そうだな。だがそれだけか?」
アルの言葉にズールーは再び地形図を睨みながら考え込む。
「……受け手の後方部隊、予備兵力の動きを阻害していると思わせるためでしょうか?」
「そうだ。騎兵が受け手の右翼部隊に合流することは避けられないだろうが、同時に寄せ手の指揮官は受け手の右翼部隊の陣形再編にはそれなりの時間が掛かるであろう事と、陣の裏、恐らくは予備部隊の前方を横切った形になった事で、そこに予備部隊が参加し難いと思うだろうな」
「だとすると……寄せ手は左翼の騎兵だけなく中央や右翼も前進させようとするでしょう」
「うん、何故そう思う?」
「寄せ手の左翼側に居た伏兵は撃滅したか追い払ったのでそちらは安全が確保されたと考えるでしょうし、右翼側には元々伏兵を忍ばせられるような場所はありませんから……」
「うん」
「受け手の作戦は左翼に騎兵を置き、反対側である寄せ手の左翼の突出を狙った物だと考えると思います。寄せ手の左翼の……騎兵でもなんでも良いですが、左翼が突出したところで伏兵による横撃を掛け、寄せ手側が混乱したところに左翼の騎兵を突入させるか、寄せ手の右翼側へと突入させる作戦だったと考えるでしょう」
アルは石を動かしながら説明するズールーに向けて頷きながら「そうだな」と相槌を打った。
「寄せ手としてはここで数の威力を発揮させようとするのが当然だと思います。受け手の指揮官か、騎兵部隊の指揮官のどちらかが移動の判断を誤ったと考えるのが普通でしょう……うーん、判断を誤ったとまでは言えないですね。中央の後ろを騎兵が迂回するというのは中央部隊、引いてはそこに居るであろう受け手指揮官の視界を塞がないためとも言えますから。ですが、寄せ手の指揮官はこれを好機と捉えて全部隊での圧殺を決断する可能性は高いと思います」
「その通りだ。その場合の双方の部隊の配置はどうなっている?」
アルの言葉にズールーは各部隊を意味する石を動かした。
「……寄せ手の左翼側が突出し、それを追うように中央と右翼側も前進しています。対して、受け手は騎兵が中央後ろを迂回するように左翼から右翼へと移動しているだけですね……ああ、小銃部隊でパラパラと撃って調整してやれば、『指向性散弾』の部隊からは単に左に向かって移動している斜線陣になります」
「うん、そうだな」
「それに、寄せ手側の指揮官を要している筈の中央部隊の陣容も相当に薄くなっている……ここに二発くらい『指向性散弾』を撃ち込んでやれば指揮官を殺せるかもしれません。その後、残りの三~四発を斜線陣の寄せ手に撃ち込めばかなり効果的な打撃を与えられるでしょう……なるほど」
上手く嵌まればたったの五~六発の指向性散弾と数百発の小銃弾だけで三〇〇〇にも及ぶ敵の三分の一程度を始末し、それと同等の負傷者を作り出せるだろう。
「次だ。今度は寄せ手として考えろ」
「はい……『指向性散弾』は全数別々の馬車の荷台に載せます……」
アルはズールーが騎士団に入団して以降、戦術教育をする際には小銃や指向性散弾などを排した、一般的な戦術指導は全く行わなくなっていた。
そちらは騎士団に任せれば良いとでも言うかのように。
このように、下見を兼ねて二箇所の候補地を巡りながらズールーはかなり特殊な教育を受けるのだ。
今日は自宅でもあるコートジル城に帰着したら忘れないうちに木簡や木板に記録を付けることになるだろう。
そして子供達の稽古は時間がズレ、ズールーだけでなく子供達も翌日は睡眠不足に目を擦りながら目覚めることになる。
・・・・・・・・・
王都ロンベルティア。
グリード商会ではバストラルが頭を抱えていた。
つい数週間前に送った手紙にはそれまでに受注した量と年末までに受注するであろう量の今年納入するガラス機器の数を報告していたのだが、昨日、結構大口の注文が飛び込んできたのだ。
勿論、バストラルは「今年の年末の納品は無理で、来年末になってしまうだろう」と伝え、相手も納得はしてくれた。
アルも年末の納品でなければ喜んでくれるだろう。
バストラルを悩ませていたのはこれが理由ではない。
今朝、彼の妻であるキャシーが再び悪阻の症状を呈したのである。
それ自体はバストラルにとって嬉しい出来ごとだ。
しかし、長子であるマイコの首が座るであろう来年の春から夏に予定されていたべグリッツへの移住はどうなるのだ……?
本来なら去年の春には移住していた筈なのだ。
アルも来年の五~六月にはバストラル一家がべグリッツに移住して来ることについて考えに入れているだろう。
今回の作中に出てきた「書字版」ですが、蝋を使ったものは存在しますが結構高価です。
理由は大きく二つあります。
一つは捕鯨が行われていない為に鯨蝋が存在しない(存在したとしても高価でしょうが)ほか、蝋の需要の殆どがミツバチ由来の蜜蝋とウルシ科の植物由来の物(ハゼノキやウルシの実から作られる木蝋)に頼っているためです。
またもう一つは灯りの魔道具があるので夜間照明手段を(蝋燭に限らず)炎だけに頼る必要がないということです。
あとこれはおまけの理由ですが、魔道具の存在により一般よりも多くの需要があったであろう貴族や宗教団体(神社)での使用率が低いこともあるでしょう。
蝋燭は蜜蝋と木蝋の双方から生産されていますが、どちらも結構高価(直径2cm、長さ22cm程度で大凡6時間燃焼し、1本あたりの費用は300~600Z程度。なお、一般的な灯りの魔道具を同程度の時間使用した場合の費用はサイズや光量にもよりますが安い物でも1.2~1.5倍程度で光量が低いものでも蝋燭よりも圧倒的に上)です。
また、蜜蝋や木蝋で書字版を作ろうとすると額に流し込んで表面を均すことすら一苦労です。
融点は60℃~80℃ですが発火点も200℃程度とそう高くないためにあまり高温にはできません。
そのため溶けた状態で流し込んでも表面張力で表面が均されるよりも早く凝固が始まってしまうからです。
融点以上(効率を考慮すれば100℃以上は欲しいところです)の温度が保たれている恒温槽で作業をしない限り、均一な表面を作るためには多目に流して表面を平らに削り取る必要があります。
実際にはピザ窯みたいな窯の中の燃えない程度で100℃以上くらいの場所を選んで額縁を置いて長い柄の柄杓などを使って作業をしていたらしいです。
なので窯を持っていない人が手作業で作ろうとすると流し込んだそばから固まるのでそう簡単には行きません。
(表面がある程度凸凹のままでも使用は可能ですが、均一な表面と比べて非常に書きにくいとのことです)
また、字などを書いた後でそれを均し直して消すことも一苦労(15✕20cm程度にぎっしり字を書いたものを均して消すのは最低でも10分くらいかかります)ですし、削りカスなどで蝋はどんどん減っていきます。
教会などでミツバチの養殖が盛んだったローマとかなら貧乏学者でも買える程度の値段だったらしいですが、維持費はともかく使用における手間は結構なものだったみたいです。




