第百七十七話 もう聞きたくない
7450年3月19日
午前中のうちにラッド村を出た俺達は、丁度お昼頃にラークス村に到着した。
その後、領主のミュアー士爵の弟が経営する飯屋で休憩を兼ねて昼食を摂り、すぐに出立した。
そして四〇分後にはゾルゲー村に、更にその五〇分後にはミード村を視界に収めた。
現在時刻は一四時前後ということも相まって、まだまだ日は高い。
そよ風の蹄鉄を履かせている割にはてれてれとゆっくりとした歩みだが、乗り物酔いに苦しむカニンガムを載せている以上、これ以上の速度を出すのは憚られたので仕方がない。
因みに、鉄道路線については現在ハロス村とダモン村の中間辺りまで到達している、と昨晩ゼノムから聞いている。
今年の頭の時点……えーっと、一月三日にミード村の耕作地を通り過ぎようとしていたから、二ヶ月半、一二週間強で一六~七㎞も延長出来たという事だ。
要するに一週間で一・三㎞くらいという勘定になる。
あの当時は一日あたり一五〇mくらいの工事速度だったのが、二〇〇m強になっているという事だ。
尤も、先月から工事チームを更に一つ追加出来ているし、作業への慣れもあるだろうから当たり前といえば当たり前なんだけど。
それにしたって捗っていると聞くと嬉しくなるじゃない。
今月末か来月あたりにも工事チームを更に一つ投入する予定だし、この調子だとあと三ヶ月もしたらウィードまで開通するんじゃないの?
取らぬ狸の皮算用をしながら一人ホクホク顔でミード村に入った。
当然、カニンガムも線路には気が付いたようで、何やらズールーに尋ねている声がしている。
ズールーも「これはテツドーロセンというもので、大量の荷物を高速に運べる画期的な馬車なのです」とか自慢げに答えていた。
いや、忠実な奴隷頭よ。
彼女が聞きたいのはそういう事じゃないと思うよ。
自然と口の端が吊り上がるのを意識しながら、少しだけウラヌスの速度を緩めて馬車と並んだ。
「これより立派な奴を幾らでも知ってるだろ?」
俺がそう言った事で、ズールーも彼女が転生者だった事を思い出したようだ。
少し照れたような顔をして黙ってしまう。
はしゃいで自慢げに言ってしまったことを恥ずかしがっている、という所かな?
「閣下。それはそうですが……でもこれも立派な『線路』じゃないですか。しかも全線『踏切』の中みたいに板まで敷かれて……凄いですよ!」
一瞬だけ俺を見たカニンガムはすぐに視線を線路に戻しながら興奮したように言う。
「ん~。当面は『馬車鉄道』だし、馬が曳くからな。こうせざるを得なかっただけだ」
肩を竦めて答えるとカニンガムは再び俺に視線を向けた。
「なるほど……でも、レールはともかく、砂利や大量の板を切り出さないといけませんし……」
お? 目の付け所がいいね。
「丸鋸を作ったからな」
ズールーじゃないけど、俺もちょっとだけ自慢しよう。
「え? 丸鋸ってあの、回転する……?」
むっふっふ~。
鷹揚に頷いてやる。
「じゃ、じゃあ『電気』も!?」
カニンガムは馬車の荷台から身を乗り出すように聞いてきた。
しかし、冷静に考えれば無理もないとはいえ、そっちか。
「いや、流石にそこまでは……」
苦笑いしか浮かばない。
このご時世で電気とかモーターとか作れる訳ねぇだろ! ……まだ。
「では、どうやって?」
電気がないとなりゃ、一つしかないじゃないか。
「人力だよ。据え付け型で人力の丸鋸盤って感じだ。ギヤを組み合わせて回転数を確保している事もあって、回転力はあんまり強くない。例えばオーク材なら材木を切断するような木口切りは相当に力が要るし、逆目(※縦の木目(柾目)で根の方から上に切ること)も女性だとちょっときつい。順目ならまず大丈夫だけどね」
トールが作った丸鋸盤は、簡単に言うと二台のエアロバイクの間に回転する鋸があるような、かなり大型のものだ。
丸鋸の刃こそ俺が作った直径四〇㎝にもなるタングステン製の超硬度鋼だが、それ以外も大型の歯車から小型になるに連れ、歯車の材質の硬度が増すように作られている優れものだ。
滑らかな回転のためのベアリングや少しでもトルクを失わないようにするための遊星歯車、回転数の安定や慣性を利用するための複数のはずみ車、自転車には必須とも言えるフリーホイールなどもふんだんに取り入れられ、この時代においては多少複雑な機構を有している。
また、材の切断面も結構滑らかなのが売りである。
流石に家具などに使用するには鉋掛けは必須だけど。
尤も、課題も多く残されている。
まず、俺自ら言ったように使い手(漕ぎ手、とも言うが)を選ぶ。
使用には、二人一組の漕ぎ手が盤の両脇で自転車漕ぎをする必要がある。
理想は屈強な男性の奴隷かな?
子供とか老人はまず無理なのが痛い。
それでも回転数に関わるギヤ比は最終的に1:25程度なのでペダルを漕ぐ速度を一秒で二回転としても秒間50回転、3,000回転/分(rpm)が限界だ。
切断する木材の抵抗もあるから、これ以上にギヤ比を高めても余程力のある者が漕ぎ手をやらないと刃が材を噛んで回転が止まってしまうので仕方がなかった。
材木の木目に対して横に切る木口切りが難しい理由でもある。
え? 刃を細かい目に変えればいい?
何種類も作るのが面倒くさいし、目が細かくなれば手入れが大変じゃんか。
そんな小さくて薄いヤスリまで作ってらんねぇよ。
今の丸鋸用のヤスリだって、トールでも作れずに結局俺が作る羽目になってるんだからさ。
それに、漕ぎ手が俺ならば一人だって縦だろうが横だろうが、斜めだって自由自在に切れる。
まぁ、俺がわざわざそんな事するなら魔法使えって話だが、いいトレーニングにもなるからね。
俺もミヅチもズールーも、なんとか時間を作って週に一~二回は三〇分ほどエアロバイクで汗を流してるんだ。
騎士団の奴らにもやらせようかと真剣に検討している最中でもある。
なお、人力のためにどうしてもトルクが不足しがちになるので、自転車漕ぎをする奴隷たちにはそれなりの脚力に加え、お互いの息を合わせる必要もある。
また、きちんと板を切るには、ノコ刃の回転数を見極めて切断する材をずらす速度も変えなければならない。
職人側にも多少の慣れを必要とするが、こっちの方はそう難しいものではない。
とは言え、それらの弱点を補って余りある程に有効な物であることは確かだ。
そもそも長い木材から何枚もの板を綺麗に切り出すのは、普通の鋸を使う限りかなりの職人技を要求される。
普通は工務店で何年も修行をしないと身に付かないという。
だが、この丸鋸盤さえあれば据え置き型ででかい分、ゲージを付けられる事とも相まって経験の浅い見習い職人でも容易く直線で切る事を可能にした。
勿論、普通の鋸で切る場合と比較したら比べ物にならないほど速い。
材木を直線で切る場合に限るけどさ。
今、この丸鋸盤は四台がフル稼働して幅二〇~三〇㎝、長さ三~五m、厚さ二~一〇㎝くらいの板を毎日三〇〇~四〇〇枚も作っている。
因みに四台のうち一台は山人族や小人族用にちょっとエアロバイクの造りを小さくしたものだ。
この前グィネが俺のドワーフの戦闘奴隷のルビーと一緒になってヒィヒィ言いながら漕いでたのを見た。
それから、材料の木材についてだが、木材は線路用地を切り開く際にも出るし、べグリッツの傍に唸る程あるから困っていない。
半日潰す覚悟で俺が行けば幾らでも切り倒してやれるし。
既にウィードまでの線路用地の木は幅一〇mの帯状に全滅している。
加えて、べグリッツの耕作地外周の開墾にもなるからそちらでも木を切り倒している。
折角切った木材に傷を付けるのも憚られるので空塊殴打ではなく、真空刃で切り倒さなければいけないのがあれだけど、お蔭で真空刃に関しては瞬間的に体のどこからでも出せるくらいに上達した。
まぁ、今の俺にはあんま使い道のねぇ魔術だけどさ。
木が減ってきたら、ダート平原にまで足を伸ばせばいい。
木なんて掃いて捨てる程生えているし、百年単位で困ることはないだろう。
平地だから保水力がどうのとかあんまり心配していない。
山崩れみたいに災害に繋がることも低いだろうしね。
自然破壊? そんなの先の人が考えればいいので今の俺にはどうでもいい。
「はあ~、人力ですか。大変ですね」
た、大変ですねの一言で済ませやがった、この女。
あの丸鋸盤、二軒の工務店は喉から手が出るほど欲しくてしょうがないと言って憚らないんだぞ。
かく言う俺だって、丸鋸盤には大いに感心したもんだから、その設計と型についてはトールに一〇〇〇万もやってるんだ。
今はプレス機のブラッシュアップと並行して旋盤の試作に取り組んでいるし、それが完成し次第、横フライス盤に取り掛かると言っている。
そうなると、グラインダーも時間の問題で出来るだろう。
それに、クラウンギアが出来れば縦フライス盤だってボール盤だって作れる筈だ。
電動モーターが必要だった丸鋸はともかく、どれも地球じゃ一九世紀以降の発明品で、工業的な革命となった品々なんだぞ。
感心くらいしてくれてもバチは当たらないと思うの。
・・・・・・・・・
べグリッツに到着した。
考えてみれば、俺ってば今年に入ってから領内にいた時間って二週間くらいしかなかったのな。
ちょっと憂鬱な気分で騎士団本部に向かう。
ミヅチは月曜のこの時間は行政府に詰めている筈だからいないのはわかっているけど、ラルファとグィネは入団している筈だからだ。
まずは彼女らにカニンガムを紹介してやらなきゃならんだろ。
カニンガムも楽しみにしているし。
耕作地に入って線路から南に逸れ、べグリッツの東の郊外にある騎士団本部を目指した。
大人がゆるい駆け足をする程度まで速度を落として数分。
練兵場に展開する従士たちや騎士たちが上げる声が聞こえてきた。
「ここがウチの騎士団本部だ」
門の前で槍を掲げて敬礼する若い従士たちにご苦労さん、と声を掛けながら敷地に入った。
「騎士バラディーク夫妻に従士のファイアフリード准爵とアクダムを呼べ」
と命じ、門番の片割れが練兵場に向かって駆け出すのを見送りながら、ウラヌスから飛び降りて残された一人に手綱を預ける。
良くわかっている従士はウラヌスからサドルバッグを外すとズールーに手渡し、水を飲ませに馬を曳いて行った。
ズールーは俺のサドルバッグを馬車の荷台に置くと、こちらも馬車から馬を外し始める。
荷台から降りて俺の側に寄って来たカニンガムに声を掛ける。
「希望するなら最初から騎士団に入団してもいい。君は剣も槍も使えるそうだから、ちょっと頑張ればすぐに正騎士になれるだろう」
そう言うと、カニンガムは少しだけ難しい顔をした。
「えーっと、騎士団は魅力的ですが、やはり当初お話し頂いた通り、最低半年は行政府で学ぶことにします。騎士団への入団はその後でもいいですか?」
彼女の答えを聞いて頷く。
うん、それもいいだろう。
予定ではまずジャバの下で働いてもらう。
報酬は月額五〇万Z。
ジャバや貴族などごく僅かな例外を除けば勤続数十年になるベテラン管理職並みの給料だ。
半年間出納関連の実務を経験し、同時に行政府全般の仕事の流れについても理解してもらう。
その後、満を持して騎士団へ。
そこでの給料は規定通りになってしまうので大分下がる。
騎士団ではマリーの下で経理や補給などの主計業務を担当してもらう他、当然兵士としての訓練もしてもらう。
見事正騎士となった暁には待遇について再度話し合い、然るべき金額を支払うと言ってある。
「中に入ろうか」
カニンガムを伴って本部の建屋へと向かった。
・・・・・・・・・
「従士グリネール・アクダムです。グィネと呼んでください」
グィネが差し出した手を握ってカニンガムも挨拶の言葉を交わした。
「よし、全員挨拶は終わったな。じゃあ、ちょっとこれからのことについて話そうか。座ってくれ」
クロー、マリー、ラルファ、グィネ、カニンガムが腰を下ろしたことを確認し、再び話し始める。
「まずはカニンガムの件だ。これから半年、彼女には行政府で働いてもらう。その後、特に問題が無いようなら騎士団に入団してもらう予定だ」
全員何も言わずに俺に注目している。
「剣と槍はそこそこ使えるが、現在の実力は……君にとっては厳しい言い方になってすまないが、騎士団の平均的な従士並みと言ったところだろうからあまり期待するな。カニンガム。悔しかったら行政府で働く半年間、しっかり稽古しておいてくれ。相手が必要なら、こいつらならいつでも付き合ってくれるはずだ」
ラルファが不満顔をしているのに気がついた。
「ラルファ、何か言いたいことがあるのか?」
大方、行政府で働く間、それなりの給料が払われるであろうことに気がついたのだろう。
金の亡者だけに。
「後で騎士団に入れるくらいなら、何で最初から入団させないのよ? 騎士団なら私達転生者も居るし、エセルだって心強いでしょうに」
あら?
こ、こいつが他人の心配をするなんて……。
あまりにも予想外な言葉に思わずごくりと大きな音を立てて唾を飲み込んでしまう。
「……そう言えば伝えていなかったな。彼女は生前『自衛隊』にいた。俺と違って亡くなった時は現役の『自衛官』で、階級も俺と同じ『3尉』だった」
そこまで言ったところでクローが、「『3尉』って『少尉』かよ!? 知らなかった」と目を見開いて言った。
そう言えばこいつらには俺の自衛隊時代の話は殆どしたことはなかったな。
正直、俺としては何十年も前の話なんか本当にどうでもいいと考えていたからなぁ。
「ん、そうだな。詳しいな、お前」
ちょっとだけ感心して言った。
何しろ、クローは高校生だったというから、自衛隊の階級の事なんか知らないと思っていたんだ。
「詳しい、って常識だろ。なぁ?」
そんな俺を他所にクローは鼻でせせら笑うように言うと周囲に同意を求める。
が、誰も頷かない。
「常識じゃねぇよ。知るか」
「そうだよ。自衛隊とか全然興味なかったし」
「いつも言ってるでしょ? あんたの常識は他人の非常識なんだ、って」
ラルファ、グィネ、マリーからの総ツッコミでクローは少ししゅんと……。
「でもよー、『3尉』かぁ……士官じゃ一番下っ端のぺえぺえじゃねぇか」
してなかった。
言ってることは正しいが、ぺえぺえとか本人を前にして言うかね。
「それはそうと、アルは『陸』って聞いてたけど、エセル、あんたも?」
需品科だって言ってんだから陸に決まってんだろうがよ!
って、言ってなかったわ。
それに、言ってたところでわかるかどうかは別問題だった。
「はい。『東北方面隊第六師団』です」
「いや、そんなこと言われても、『東北』に居たんだなって事以外よくわかんねぇし」
「……」
ほら、そんな事言うから……。
「カニンガムの職種は俺の『普通科』とは違って『需品科』だ。『需品科』ってのは補給部隊みたいなものだ。お前もマリーと一緒に経理や補給についてやって貰っているが、彼女はその方面に掛けては専門家と言ってもいい」
わかったら感心した顔して黙っとけ、小僧。
と、続けようとしたらまた喋りだした。
「俺ぁやっぱ『自衛隊』っつたら『空自』だよ。『戦闘機』とか乗れるし、格好いいじゃん」
ああ、そうね。
確かに戦闘機は格好いいし憧れるよな。
「ああ、はいはい。でもお前の頭じゃ、あん時死ななかったとしても『戦闘機』なんか一生縁がないんだから黙っとけ」
「頭なんか関係ないだろ?」
「大ありだ、阿呆。少なくとも『高校』の『物理』と『数学』、『英語』も『教科書』の内容が完全に頭に入ってなきゃ『航学』受かってもすぐエリミネートでクビになるのがオチだ。聞いた話じゃ、イーグルのマニュアルなんか、こんなでかい『ダンボール』一箱分くらいあって、いくら腕が良かろうがそれを完全に理解してなきゃすぐ『F転』、『戦闘機パイロット』クビだってよ」
「うっそでぇ~、腕さえ良きゃ脳筋ゴリラだって務まるんだろ?」
「そんなの『漫画』か『小説』だけの話だ。『陸』だろうが『空』だろうが『幹部自衛官』は常に試されてばっかりだから、『学校』で学んだ事も忘れるようなボンクラは勤まらないの」
幹部上級課程や指揮幕僚課程なんかでは勿論大部隊の運用や指揮なんかの純粋な軍事学を学ぶが、英語や数学、物理、歴史と言ったお馴染みの学科も当然のような顔をして並んでいる。
それら全てにおいて成績がつけられ、それによって以降の昇進や最終的には定年なんかにも絡むから必死になって勉強しない奴なんか一人もいない。
「とにかくだ。少なくともカニンガムは補給なんかの施策にかけちゃこの中の誰よりも知識が豊富な事は期待できる。補給や軍の運営は行政にも絡むだろうし、行政府の仕事について理解を深めておいて貰う必要があるんだよ」
そう言って、強引に話を終わらせた。
何しろ、フィオとグレースの事も話さなきゃいけないし。
ああ、奴らは結婚してたし、俺の結婚について先に話しとくか。
フィオたちについてはそれに絡めて話せばいいだろう。
「それから、俺の方だ。このリーグル伯爵騎士団は当然だが、駐屯する王国軍についてもリーグル以外のランセル、ドレスラー、エーラースの各伯爵領に駐屯する軍の指揮権も手に入れた」
この件についてはラルファやグィネから聞いて知っていたようでクローもマリーも驚いてはいない。
「で、来年の初頭くらいになる予定だが、俺はその三つの伯爵についても授爵する。直後に侯爵を名乗るつもりだ」
当然だけど、ドレスラー伯爵については知っていたようだが、ダート平原に並ぶ四つの伯爵号全てを握ることについては知らなかったようで非常に驚かれた。
勿論、侯爵を名乗る件についてもだ。
皆は頻りに「おめでとう」と祝辞を言ってくれる。
ラルファやグィネも自分の事のように喜んでくれた。
「あと、来年の今頃に結婚する」
と言ったら水を打ったように静まり返った。
「け、結婚って……もうしてるじゃないですか」
目をまん丸にしたグィネが言った。
「ああ」
表情を消して答える。
「じゃあ、第二夫人……?」
ごくりと喉を鳴らした後でマリーが尋ねてきた。
「そうなるな」
平坦な声で答える。
「あの……相手は……?」
恐る恐る、といった調子でカニンガムに質問された。
「国王陛下の娘だ。ミマイル・フォーケイン准爵で、年は二つ三つ下だな。……ふ。ご想像の通り政略結婚だよ」
肩を竦めながら抑揚を抑えて答えた。
「ミマイル・フォーケイン……聞いたことあるな。普人族だよな? ミヅチさんは……?」
クローは真剣な眼差しを送ってくる。
「ヒュームだ。ミヅチにはまだ言ってな……おい!」
急に立ち上がったラルファが部屋から駆け出していった。
皆が居るところで話した方がいいと思ったんだがな……。




