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男なら一国一城の主を目指さなきゃね  作者: 三度笠
第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

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第百二十一話 肉の棒1

7445年5月4日


 「サローク」という飯屋でポークジンジャー、スープとパンの食事を摂っていた時だ。入り口に背を向けて座っていた俺の後ろに新しい客の一団が座ると話を始めた。どうやら冒険者らしい。


「リビー、お前、明日迷宮行かねぇか? 俺とマーチ、あと四人は都合が付いている」

「そうだ、リビー、お前も来いよ。お前とあの、なんつったっけ? ああ、ピノだ。彼女も来てくれれば八人だし、二層も目指せるだろ」


 声の感じからして歳は俺とそう変わらない感じがする。まだ若い、冒険者では下層に位置するような連中だろう。スープにパンを浸して口に運びながら聞き耳を立てていると、話は続いた。


「えー? 明日かぁ……。あと四人って誰よ? ゼックスが一緒なら行かないよ。あいつ、嫌らしいし」

「安心しろ、ゼックスは今回一緒じゃねぇ。あいつは最近蒼い稲妻(ブルー・ライトニング)に声掛けられて入ったらしいからな」

「ミッス、そりゃ本当か? 蒼い稲妻(ブルー・ライトニング)っつったら四層にも顔を出しってるって噂の一流パーティーじゃねぇか! ゼックスの奴、上手い事やりやがったな……」

「はん、何言ってるのよ? ゼックスみたいな奴を仲間に入れるなんて蒼い稲妻(ブルー・ライトニング)ってのも大したことないんじゃないの? あんなスケベ野郎よりマーチ、あんたの方が余程頼りになるわ」

「そりゃどうも、リビー。だけど、ゼックスの腕が立つのは本当だ。スケベなのは否定しないが、奴の槍の実力は本物だよ。蒼い稲妻(ブルー・ライトニング)かぁ、羨ましいな」


 蒼い稲妻(ブルー・ライトニング)なんて格好いい名前、ついぞ聞いたことねぇ。まぁ四層に顔を出し始めたパーティーなんか眼中にないからどうでもいいけど、色名+稲妻って強そうな名前だな。


 昔、似たような名前で疾風迅雷ゲイル・サンダークラップスってパーティーがいたが、去年だっけな? 一昨年だっけな? 迷宮で全滅したらしい。筋骨隆々の獅人族ライオスの男がリーダーだったが、ある日迷宮に入ったまま二度と帰ってこなかった。トップチーム一歩手前と言われていた実力派のパーティーだったが、全滅するときはあっけないものだな、と思ったのを覚えている。


 しかし、この店のポークジンジャー、あんまり美味くねぇな。残った豚肉を一気に口に放り込んでくちゃくちゃと噛んで飲み込んだ。


「俺も殺戮者スローターズとか緑色団ベルデグリ・ブラザーフッドとかに入りてぇよ……。声掛かんねーかな……」

「マーチ、そりゃ無理な相談だ。奴らは皆超一流って話だ。殺戮者スローターズなんか七層に行ってるらしいからな……。いくらお前が力自慢でも、七層だぞ、七層。無理に決まってる」

「無理なのは解ってるよ。言ってみただけじゃねぇか……」

「でもさ、緑色団ベルデグリ・ブラザーフッド黒黄玉ブラック・トパーズはともかく、殺戮者スローターズってガキばかりじゃん。何回か見かけたことあるけどリーダーもまだ小僧だったし……私達と何が違うんだろ?」

「ああ、あのリーダーの小僧……グリードな……。一月くらい前に「ムローワ」で飯食ってる時に傍で見たが、くっそ生意気そうな面だった……。他の奴らも似たり寄ったりで生意気そうなガキばかりだよな。やっぱファイアフリードさんが実質的なリーダーなんだろうなぁ」

「そりゃそうでしょ。殺戮者スローターズはリーダーの戦闘奴隷とファイアフリードさんが戦力の中核で無茶苦茶強いって話じゃない。あのライオスのズールーってのとマルソーって犬人族ドッグワーの二人を持ってるからグリードがリーダーなんでしょ」

「まぁ、そうだろうな。グリードなんて貴族は知らんが、余程金持ちだったんだろうな。あんなすげぇ戦奴を二人も買えるんだからよ……うちみたいな田舎の士爵家とは大違いだぜ」


 ま、世間の見方はこんなもんだろうな。俺達の戦力なんかそうそう判りっこないだろうし、今のバルドゥックにいるパーティーではトップから十か二十パーティくらいが俺達の戦闘を見たことがあるくらいだろう。


 と言っても、見られている時には魔法なんか全開で使わないし、泥臭い殴り合いで決着を付けられる相手の時ばかりだったからそれだって本当の意味での殺戮者スローターズの戦闘を見たことのある奴なんかいないけど。


 スープ皿をちぎった黒パンで丁寧に拭い、ポークジンジャーの皿まで拭ってパンを平らげた。スープの方はそこそこいけるのにな。


「ってことは、殺戮者スローターズは実質三人の戦力で七層まで行ってるのかよ……」

「いや、流石にそんなことはねぇだろう。あのリーダーの小僧や他のガキ共だってそれなりにはやるらしい。なんたって七層まで行って帰って来られるんだからな、幾ら何でもお荷物ってこたねぇだろうよ」

「ああ……そりゃあそうよね……。私、あいつらが酒場で喧嘩してるの見たことあるわ。二年前、三年前いや、もっと前かな……。まだカロスタラン准爵とアクダムって女の山人族ドワーフも入る前ね。当然だけど今よりもずっとガキだったけどさ。双子金貨ツイン・オーカーの奴らと喧嘩してた」

「あ、それ俺聞いたことあるわ。双子金貨ツイン・オーカーの双子の虎人族タイガーマンを揃って半殺しにしたってやつだろう?」

「そう、それよ。ラルって女が無茶苦茶だったな……あの女、あんな顔してて似合わない斧使ってんの。一人は鼻を潰されて、もう一人は口に斧の峰を叩きこまれて歯を全部折られてた。あと、コーロイルって兎人族バニーマンの女も笑い声を上げながらそれを眺めてた。ぞっとしたわ」

「いや、リビー、お前だって先週、ミロッグの玉蹴り潰してたろうが……変わんねぇよ……」


 ラルファが無茶苦茶やってたのは確かにその通りだが、ベルがそれ見て声を上げて笑ってたことなんか無いぞ。脚色すんな。それから、ラルファだって喧嘩の時に斧なんか使ったこと無いわ……無かったよな……無かったはずだ、多分。


 冒険者同士の喧嘩なんざ日常茶飯事だから訴え出られることもない。訴えた方が馬鹿にされるし、証人となる目撃者だって、本当は沢山いるけど、訴えられた方の仲間からの報復を恐れてまず出てこない。死人でも出るなら別だが、場合によってはそれだって放置されることすらある。


 豆茶だけは文句なく一級品だ。この店は飯食うには向いてないよな。喫茶店として利用した方がいい。


「そういや殺戮者スローターズのラルって言やぁよ。最近は同じ殺戮者スローターズ闇精人族ダークエルフの女と喧嘩ばかりらしいじゃねぇか」

「ああ、そうらしいな。どっちか抜けるって専らの噂だよな」

「あら、マーチ。じゃあ、あんたチャンスじゃない。空いた席に入れるかもよ?」

「おお、実はそれを狙ってる。どっちか抜けたら入れてくれって言いに行くつもりなんだ」

「でもよ、ラルの方が抜けるとなりゃ、ファイアフリードさんも一緒に抜けるんじゃないか? そうなると殺戮者スローターズは大幅な戦力ダウンだ」

「それなんだよなぁ。そうなったらファイアフリードさんの方へ行くか、戦奴が残ってる殺戮者スローターズへ行くか、迷うよな」

「うーん、総合的に考えればやっぱり人数の多い殺戮者スローターズの方がいいでしょうね」


 あら、空いた席を狙うか。確かにそういう考え方もあるよね。全部断るけどな。いや、バックのついてない余程良い人材なら別だけどさ。店員を呼んで料金420Z也を支払うと店の出口に向かった。


「お、おい!」

「え? あ、す、殺戮者スローターズの……」

「やっぱりこんなとこで一人で食事しているってことは……」

「いや、仮にもリーダーが不仲のメンバー放っといて呑気に一人で飯食ってるなんて訳ねぇだろ。やっぱパーティー抜けるなんて噂じゃねぇか?」

「だけど、所詮は小僧だからね、喧嘩ばっかりのパーティーと一緒にいるのが嫌になったんじゃないの?」

「なるほど、そうかも知れんな」


 こんなカス冒険者の口の端にも乗るようになってるのか。ふむ、やはりわざわざ急いで合流する必要も無いな。とりあえず雑貨屋で解呪のカモフラージュの為、適当に買い物して宿に帰っとこう。




・・・・・・・・・




 買い物を済ませて宿に戻り、暫くゆっくりしていると三々五々、殺戮者スローターズのメンバーが帰ってきた。


「おう、お帰り。飯行ってたのか?」


 最初に戻ってきたトリスとベルに声を掛ける。


「あ、アルさん」

「お昼は食べました?」


「ああ、さっきサロークで食ったよ」


「あそこは煮込みが美味しいですよね」

「ああ、スープもいい出汁が出てるよな。焼き物はあんまりだけど」


 ……さっき知ったよ。


「他の皆は?」


「そろそろ戻ると思いますよ」

「多分ミヅチさんだけ少し遅れますけどね」


 そう言っているうちにゼノムとラルファ、グィネ、バストラルの話し声が聞こえた。

 すぐに階段を登る音になり、俺の部屋に入ってきた。


「アル。こっちは順調だ。王都の方は大丈夫だったか?」


 ゼノムが言った。


「ああ、ゼノム。商会の方はちょっと厳しいかもな。このまま行くと八月の半ばには完全に在庫切れだ。多目に持ってきて貰ってはいたが……ゴム製品の需要も増えているみたいで嬉しい悲鳴だよ」


「商売繁盛、良い事じゃありませんか。他の商品は扱わないんですか?」


 グィネはゴム製品以外にも扱えばいいじゃないかと言うが、難しいだろうな。

 仕入れルートが無いことが一番の問題だけど。


「……他の商品か……。アルさん、私に考えがあるんですが……聞いていただけますか?」


 黙って会話を聞いていたバストラルがおずおずという感じで切り出した。


「サージ、あんたねえ……あれはどうかと思うけどな。ま、アルがいいと言うならいいんじゃない? 言うだけ言ってみたら? 私は本来の方がいいけど」


 ラルファとバストラルの間では何やらある程度の話はされているようだ。

 っつーか、本来ってなんだよ?


「ん? 何か案があれば聞かせてくれよ。良ければやってみたい」


「あの……ちょっと言い難いんですが、アルさんは、その……こ、『コンドーム』をゴムで作ってますよね?」


 別に言い難くはないだろ? 皆知ってるし。


「鞘ですね。人気商品になってるようですし、病気の予防に役立つと思いますよ」


 おそらく殺戮者スローターズで一番、その恩恵に預かっているエルフよりも耳の長い人が言った。

 それを聞いてもほら、平然としてるじゃん。

 ラルファもグィネももうとっくに知っているし、こいつらも元は女子高生とは言え、その人生経験は長いから今更恥ずかしがったりはしていない。


「……はい。価格も手頃で大人気のようですし……まぁそれはいいです。問題はその御蔭で家畜の腸が売れにくい状況にあるだろうと予測出来る事です」


「ん? 『ソーセージ』でも作るか? 別にいいけど、食品だから単価は低いし、防腐剤とか食品添加物は作り難いから大量生産にも向かない。あんまり儲からないと思うぞ?」


 まぁ日本から転生してきた人なら十中八九は考えるんじゃないかな?

 豚や羊の腸は殆どがコンドームの替りに利用されているので、その価格を知って諦めることが多いとは思うけど。


「んー、確かに『ソーセージ』も考えました。挽き肉機(ミンチメーカー)が無いのでそこから作らなきゃなりませんが、最悪奴隷を買ってひたすら包丁で叩かせるのも手ではあります。美味しいですし、食品添加物のことまでは考えませんでしたが、売る前に燻製にしておいて、食べるときには必ず煮るか焼くかすれば食中毒についてはしばらくは大丈夫かなとも思っています」


 そういえば挽き肉料理の代名詞であるハンバーグも元は遊牧民族から伝わったタルタルステーキで、その発祥は十二~十三世紀くらいだと聞いたことがある。

 それがヨーロッパに伝わってハンバーグになったのはもっとずうっと後の事らしい。

 だが、バストラルの言い方だとソーセージ以外にも何かあるみたいではあるな。


「弦です。元々の弦楽器は草の蔓や糸を弦にしましたが、『地球アース』ではその他に家畜の腸を裂いて捩り、乾燥させたものから品質の良い物を選別して弦にしました。オースにもツィターやリュート、ハープ、バイオリンみたいな楽器はありますが、すべて弦はマックという植物の蔓や、ミゼックという植物の蔓を加工して作っています。あの音も悪くはないのですが……」


 そういやぁ、バストラルはギタリストだったんだよな。

 その辺のことは詳しいのか。

 王都には楽器屋もあるんじゃないかな?

 今度探して連れて行ってやろう。


「へー、弦か。羊の腸で作ってたなんて知らなかったな。でも、儲かるのかよ?」


 トリスが言った。

 うん、儲からなきゃ意味が無い。


 文化の向上は良いことだが、いずれ国を作ってから余裕が出来た時にでも、金は払うから芸術家に頑張って貰いたいところだ。

 演奏したきゃそれからにしてくれないかな?

 ああ、演奏したいと言っている訳じゃないか。


「どうですかね……私はオースで楽器を演奏したことはないので判りませんが、植物の蔓よりマシなんじゃないかとは思うのですが……勿論、それだけじゃ大して儲からないでしょう。そのための『ソーセージ』です」


 ソーセージは大量生産に向かないと言ったばっかじゃんかよ。

 ちまちま作っても大して儲からないだろ?


「先程アルさんが大量生産は長期保存出来ないから難しいと言いましたが、案があります」


 へえ? 大量生産自体は挽き肉機(ミンチメーカー)さえどうにかすれば詰める作業は絞り袋で出来るだろうから出来なくはない。

 毎日安定的に二五万Z(金朱一個)くらい、いや、それは狙い過ぎか。

 毎日十万Zくらいの利益を上げられるなら専用の奴隷や設備に投資する価値はあるだろう。


 だが、食品だぞ。

 それもどう考えても高級食品にはならないだろう。

 使うのなんて屑肉や内臓だろうし。


 豚の腸で作るとなると長さにもよるだろうが一本五〇~一〇〇 g、恐らく売値はいいとこ一〇〇Zくらいじゃないかな?

 仕入れもあるから毎日それを一〇〇〇本以上売らなきゃならない。

 おっと、材料の仕入れを忘れてた。


 原価率を考えると一五〇〇とか、場合によっては二〇〇〇本売らなきゃならない。

 王都の人口は約二〇万人。そんなに売れるかね?


「実は先日ミヅチさんからいろいろお話を伺う機会がありまして、これは行ける、と思ったのです。ミヅチさんのお国では多種多様なキノコ類を人工栽培して食用にしているらしいのですが、その中に『地球』には無かった種類のキノコも多くあるそうです」


「まぁ、そりゃそうだろうな。ここ、『地球』じゃねぇし」


「そのなかにソルホッグというキノコがあり、普段は毒物として精製するらしいのですが、毒物精製過程で排出される廃棄物に触れた死肉は長い間色褪せないそうです。防腐剤なんじゃないでしょうか?」


 ……その可能性は否定出来ないが、毒物の精製過程で排出される廃棄物って産業廃棄物だろ?

 心情的にそんなの使うのはどうもな……いや、つまらない感傷だとは思うよ?


 でも、俺が働いていた食品商社では出来るだけ添加物を使わないような食品が主力だったんだ。

 勿論、ゼロなんて無理だ。

 でもゼロに近づける努力は永遠にしなければならないと思っていた。

 ここでいい、これで充分だ、と思った瞬間にそれ以上の努力はしなくなるものだからな。

 常に努力を怠ってはいけないと思っている。


 しかし、防腐剤か。

 亜硫酸ナトリウムが代表的だ。


 イオン交換で作るのが容易いが、イオン交換樹脂や膜なんかあるわけ無いし(電気は魔法で作れる)。


 ……出来なくはないか。


 沸石はあるところにはゴロゴロしてる。

 バークッドのあるジンダル半島には活火山は無いが、高純度の硫黄なんか腐るほどあったし、炭酸水だって湧いてた。


 根性入れて作業すれば土から特定の分子だけ選別することも出来たんだ。

 必要な分子のみを選別し、沸石を漬け込めば、それで出来た新しい沸石を使って効率は低いだろうがイオン交換は可能っちゃ可能だ。

 ソルビン酸カリウムやデヒドロ酢酸ナトリウムだって作れるっちゃ作れるだろう。

 こういった防腐剤や添加物を加えたものを高級品として少し高く売り出すのも有りかも知れない。


 ああ、食品添加物の発がん性物質?


 バケツ一杯食わなきゃ大丈夫だろ。


 すぐに死ぬ訳じゃない。

 そもそもそんなの使う前のソーセージだけ食ってりゃ何の問題も無い。

 それよりオースの料理に沢山含まれている塩分摂り過ぎの方が恐ろしいだろうな。


 でも、イオン交換が出来たとして、防腐剤とかそんな使い方の方が勿体無い気もするけど。


 ニトロ基を作った方がよほど役に立ちそうだ。

 TNT(トリニトロトルエン)がある方がいいしな。


「その、ソルビトールだかなんだか知らんが、毒キノコが手に入るならまずは試して見るのも良いだろう。王都でダークエルフを見掛けたこともあるからミヅチに頼めば多少時間は掛かるだろうが取り寄せくらいは出来るんじゃないか? いけそうなら金は出してやるよ。旨い『ソーセージ』は俺も食いたい。弦の方は……『ソーセージ』が儲かったのなら好きにすればいいさ」


「ところで、その『ソーセージ』ってのは何だ? 食い物らしいが、旨いのか?」


 ゼノムを蚊帳の外にしてトリス、ベル、ラルファ、グィネの転生者も『ソーセージ』と聞いて嬉しそうだ。

 ラルファは俺が案を受け入れることは予想外だったらしく、少し驚いた顔の後、にんまりとして唇を舐めている。

 本当、こいつは食い意地が張ってるんだよな。


「ああ、皆のし、皆さん戻っていたんですね。ダークエルフと聞こえましたが、何か?」


 ミヅチが遅れて戻ってきた。

 かいつまんで説明すると、既にバストラルと話していたためか理解が早かった。


「ソルホッグからソリラーへの精製の過程で白い粉が出ますがそれが本当に防腐剤だとは限りませんよ。でも、試す価値はあるでしょうね。ライル王国(我が故国)では猛毒という認識が強かったので誰もそんなこと考えませんでしたし、私も気にしたことはありませんでした。捨てに行く時に捨てたものをゴブリンが食べて苦しんで死んだとも言われていますし……でも、ソリラーが混ざっていたのであれば死んだのは当たり前ですけど。そこらをうろついている野良犬にでもやって試してみる価値は有るかも知れません」


 俺の方を見て微笑みながら言う。

 【鑑定】しろってことだろうな。


「ん、そうだな。じゃあ手紙なり伝手があるならそれを頼るなり、そのキノコを仕入れるのは任せた。あと、今日の夕方ミッスリーにいる黒黄玉ブラック・トパーズのとこに行くぞ。お前も来い」


 

読者さまよりご忠告頂きましたので一部表現を変えました。

別に大きな変更ではありません。


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