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【1】はじまり~トップ俳優の彼と、「再会」?!

初めて投稿します。

みなさんにドキドキ・ときめきを与えられますように。

よろしくお願いします。


華やかなシャンパングラスの触れ合う音。


生演奏のピアノとヴァイオリンの優雅な音楽。  


 都内某所で開催された新進気鋭ブランドのローンチパーティーは、招待客たちの熱気で満ちていた。


 花梨(かりん)はステージの袖で、招待客を見るともなしに眺めながら、シャンパングラスの中身を一口飲んだ。

 中身はアルコールではなくガス入りウォーターだ。



「花梨さん、今日は本当にありがとう。やっぱり現場で貴女がいてくれると、安心だわ」


 隣で輝く美脚を組みながら微笑むのは、花梨のサロンの常連客であり、実力派女優の永山五月(ながやまさつき)

このパーティーで、ついさっきブランドアンバサダーとしてお披露目されたところだ。


「とんでもないです。やっぱりこのドレスにしてよかったですね」


「直前にあなたに脚を磨いてもらってよかった。あなたのエステ、効果もあるし気持ちいいし最高」


「ありがとうございます」


 花梨は頭を下げた。本当にうれしい。

 こういう風に感謝してもらえるのが、仕事の大きなやりがいだと思う。


 武田花梨たけだかりん、29歳。かつては『karin』という名でモデルをしていたが、今は南青山で小さなビューティーサロンを経営している。


 モデルを引退して5年。表舞台への未練はない。

 職人気質だから、お客様を美しく整える今の仕事の方が性に合っている。


「最初はこんなドレス着られるかしらと思ったけど」


「お似合いですよ。最高です」


 ふだんはそれほど派手なイメージではなく、どちらかというと堅実なママ役などをこなす女優だが、やはりスタイルは一般人のそれとは違う。

 せっかくだからスタイルを活かして大胆にいきましょう、と提案したのは花梨だ。

 選んだのは、なめらかな深紅のサテンにとんでもないミニ丈のドレス、華奢なハイール。


 ステージに登場したときのどよめきに、花梨は思わずガッツポーズをしそうになった。

 普段見せない五月のセクシーで華やかな姿に、報道陣も沸いていた。きっとニュースやネットでも話題になるだろう。クライアントも喜ぶはずだ。


 やったわ、という充実感をかみしめていたものの、二人はいつまでも舞台袖に引っ込んではいられない。

 スタッフに促されて、パーティーの本会場に戻った。いくばくか交流や挨拶をしなければならない。


「でも、花梨ちゃん、あなたも素晴らしいわ。さすがの着こなしね」


 関係者へ挨拶を交わす合間に、五月はそう声をかけてきた。


「本当ですか?私はただの裏方ですよ」


「そのドレス、どうしたの?」


「ああ、これは…」


花梨は自分のドレスを見下ろした。シャンパンカラーのサテンドレス。体に沿うラインながら、膝丈で品もある。

ところどころ縦のラインにビーズで刺繍がほどこされ、控えめだが華やかな印象もある。

地味すぎず、かといって派手すぎない。


「昔のものです。叔母からのお下がりで」


「さくらさんから?」

 五月は苦笑いを浮かべながら言った。


「残念ながらそれはお下がりって言わないわね。プレミアム・ヴィンテージよ。さすがさくらさん」


 花梨の叔母・さくらは、有名なファッションスタイリストだ。

 大御所が何人も指名し、業界では名の知れた存在だった。花梨がモデルの道に進んだのも、さくらの紹介がきっかけだ。

 今は彼女も引退しているが。


「本当に綺麗よ。他の招待者も、あなたを見て息をのんでるわ。裏方として連れてきちゃって申し訳ないぐらい」


「いやいや、いいんですよ」


 その時、会場の入り口付近がにわかに騒がしくなった。  


 幾重にも重なるフラッシュの光。

 会場にいた人たちも、一斉に入口のほうを振り返る。


「誰かしら」


 すると――

 人だかりの向こうから、圧倒的な「華」をまとった男が現れた。


 ゆったりとした光沢ある白いシャツ、黒のストレートのスラックス。余裕のある服のシルエットが長身に映える。

 ネックレス、ブレスレット、手に持つ小さなクラッチはすべてシルバーで統一。長めの前髪をセンターに分け、動くたびにやや目にかかる感じがとんでもなく色気を帯びていて―――


 今、日本でその名を知らない者はいないであろう若手トップ俳優、


「西原くんね」



(……ゆうくん)



思いもかけない存在の登場に、心臓が、トク、と不規則な音を立てた。


まさか、()()するとは。


読んでいただきありがとうございます。

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