腕試し3
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航宙戦の部は白兵戦の部が3日掛けて終わってから開催される、指定の宙域が完全封鎖されて航宙艦はシミュレーションモード、シールドと武装の出力を抑えた状態で宙域監視をする帝国航宙艦のダメージ計算によって判定されるシステムだ。
さて、そもそも武装大会に参加する事になったのはキャプテンが上位入賞で貰える副賞に長年探し求めてきたお酒を見つけた事が発端となっている。
そしてキャプテンは勝率を上げる為に、シェフィ(球)は私の為に、私達アーク一同も大会に参加する事となった訳なんだけど。
何故そんなことを言うのか、って、こういう事が起きる可能性も有ると加味しなかったキャプテンの落ち度というか、悪運と言うべきか、フラグはキャプテンが欲をかいて申し込みした時点で立っていたのだ。
艦名ブラックダイヤ キャプテン・ドレイク
vs
艦名アーク キャプテン・ノワ
こんな事が起きるくらいにはビンビンにフラグがね・・・
「で、どうするのキャプテン」
「何が」
「私とキャプテン、対戦カード組まれたんだけど」
「だなぁ」
「キャプテン勝たなくて良いの?」
「は?」
「私は別に勝たなくても良いんだけど、白兵戦でそこそこインタビュー受けられたから皇族問題も片付いたし、お酒要らないし」
「なに言ってんだノワ、あんたアタシに勝てる気なのかい?」
「え、何言ってるのキャプテン」
仮にやり合ったとして私は負ける気なんてないけど、その言い方だとキャプテンが勝つことが前提みたいな言い方だよね?
「なに・・・」
「なにさ・・・」
シェフィとニーナは特に何も言わずに私達のやり取りを見ている。
「そう言えばどっちが強いか決めるのも悪くないかもねキャプテン」
「あ? 生意気言ってんじゃねえぞ、ク・ソ・ガ・キ」
「あはは、あんまり強い言葉使わない方良いんじゃない、負けた時恥ずかしいよ、キャプテン・ドレイク?」
カーンッ、ファイッ!!!
言っておくけど私はまだ本気を出していない、これまでの実力が全力だと思われたのでは困るから、ちょーっとばかり本気を出してキャプテンを解らせようかなぁ。
『武装大会航宙戦の部、第一回戦は好カードの対戦です、白兵戦の部でも活躍を見せたチーム『傭兵』の2人キャプテン・ドレイクとキャプテン・ノワの対戦となります!』
『御二人とも功一等銀皇大勲章を授与したばかりのホットな航宙艦乗りです、楽しみですね』
『この功一等銀皇大勲章とはどういった勲章なんですか?』
『はい、功一等と言うのは文字通り該当する戦場で最も功績を上げたという意味、銀皇とは名誉の度合いを現す物差しとなります、帝国内でも上から2番目の名誉な勲章、これ以上の勲章を拝受するには例えば殿を務めて敵軍に大損害を与えた上で亡くなった二階級特進の英雄に与えられるような勲章となります、つまり生きて貰える勲章の中では最も名誉な物が功一等銀皇大勲章ですね』
『なるほど! となると、そんな勲章を得た御二人の対戦は相当期待できるものになるのでしょう』
『はい、御二人はコンビで御活躍しているチームなので普段の手の内は互いに理解しています、駆け引きに注目ですね』
キャプテンの戦い方はオーソドックスだ、レーザー砲四門とミサイルポッド二門による火力制圧、機動も素早く、攻撃と回避それぞれへの移行が恐ろしく滑らかで隙のないスタイルだ。
レーザー砲四門の斉射も油断ならないが、最も警戒すべきなのはミサイルポッド二門の方だ、火力が高く連射も利き、追従性能も高性能なチェイサーミサイルを連続で受けてしまえばあっという間にシールドは飽和してロストするだろう。
ミサイルで削り、回避の難しいレーザー砲でトドメを撃つ、今時の航宙戦闘のスタンダードスタイルと言えるソレは、技量が上がれば上がる程に必殺の戦術と言える。
ミサイルに対してどれだけ対処しきれるか、またシールドを削られる前に勝負を掛けられるかが私の勝機の有無に直結する。
対してアーク、私はレーザー砲二門と電磁加速砲二門、超重力砲に対艦ブレード、これらをどう生かして戦いに臨むかだが、一対一における超重力砲の使用はあまり適さない、超広範囲超高火力なので当たれば大きいものの傭兵界隈ではある意味技量を無視する禁じ手の様な扱いなのだ、なのでお互いの艦に積んでいる爆縮弾も使わない。
キャプテンのブラックダイヤはミサイル搭載艦なので中・遠距離戦闘をしたい、私のアークは当たれば必殺に近い電磁加速砲を当てたいので近・中距離戦闘をしたいとなる、キャプテンに距離を取られるとミサイルの圧倒的火力で完封されるだろう、こちらもレーザー砲でそれなりに削れるだろうけど相手はレーザー砲四門+ミサイルポッドなので対抗は難しい、キャプテンのような金獅子級傭兵相手では流石の私でも電磁加速砲を遠距離で当てるのは難しい。
距離を潰せば私が勝つ、距離を保てばキャプテンが勝つ、シンプルな勝負になると思われる。
「シェフィさん、止めなくて良いんですか?」
「ニーナ様こそ、良いのですか?」
「私は純粋に御二方の技量に興味が有るので」
「ふふ、奇遇ですね私もです」
「シェフィさんならどちらが勝つか演算出来るのでは?」
「そうですね、艦の性能ですと加速や機動性はアーク、火力ならばブラックダイヤ、細やかな操艦はノワ様が上でしょうか、しかしキャプテンの経験や技術が明確に劣っている訳でもありません」
「つまりやってみないと分からない?」
「はい、いいえ、こういうのは実際に腕比べするからこそ価値があるかと」
「シェフィさんって人の細やかな感情の機微も分かるんですね」
「喧嘩も必要な喧嘩と、そうでない喧嘩が存在すると理解しています」
「・・・2人とも、そう冷静に分析されると恥ずかしくなってくるからヤメテ!」
「ふふ、ムキになるノワも可愛いですよ」
「はい、キャプテンは大人気ないですね」
「ドレイク、本当に昔から変わらないわね」
「仲良くて良いんじゃないかしら」
シェフィとニーナに加えて、今度はママとおばあ様も加わった。
「う、うるせぇっ! 勝負事に老いも若きも関係ないんだよ、って老いてねえわ!」
うう、大人はシェフィとニーナだったね、私は15だもんセーフ(?)、キャプテンは2X歳だからアウト、もう少し大人になりなよねママと同じ年齢・・・、あっ、なんでもない、なんでもないですごめんなさいママ。




