腕試し2
バトルフィールドは小型のコロニー丸ごとだ、市街地戦で3人1組集まった状態から開始する、強化外骨格の使用は1人のみで、戦闘ボットの使用は禁止、武器は出力制限を超えない限りは何でもオーケー。
まあ簡単に言うと人体置換技術で強化された人が多い程有利な戦いになるんだよね、私達の中ではニーナ、でもニーナは置換率が数%以下なので基本的に相手の基礎能力値の方が高いと思っていい。
強化外骨格を着たキャプテンと軍属で訓練されたニーナは兎も角、軽いトレーニング程度しか施していない私が接近されたら為す術なくやられてお終いになる、だから私の装備は超長距離狙撃銃でのフォワード陣の援護、その分フォワードは2人になってしまうので基本3人1組まとまって行動する白兵戦においては私たちは不利と言える。
「作戦は、まあテキトーに合わせて行こう、ノワはマーカーを頼りに適当に狙撃、アタシとニーナは適当に連携で」
「適当・・・」
「適当、ですか」
キャプテンの適当加減に言葉も無い、連携の練習も何もやってないから仕方ないんだけどね、もうちょっとね何かないのかな。
「えっと、じゃあ適当に援護射撃と敵のポインター付けるから」
「では、私も適当にキャプテンさんに合わせます」
キャプテンが適当だから私達の行動も適当だ、全部適当、適当適当適当、これが今から実戦さながらのシミュレーションする人達の打ち合わせって信じられないよね。
「そう言えばニーナはどういう風に戦うの?」
「私は単分子ブレードとレーザーガンのガンカタです、距離を見て適当に」
あはは、みんな適当だ、まあ決め打ちも危ないからね、適当って良い言葉だよね。
「あっ、キャプテンそこどいて」
「あん?」
構造物の屋上で軽く打ち合わせしていたけどチラリと人影を捉えた、淵にトライポッドを乗せてすかさず立射した、ズドン、あ、ズドンと言っても狙撃銃は高出力型のレーザー狙撃銃だから反動も何も無い、チュンと空気を焼く音が僅かにして対象を貫いた。
ついでにマーキングをチョイチョイっと、
『う、うわあーっと、乾坤一擲!チーム「傭兵」ノワのスナイプで敵が早速脱落だ!』
『素晴らしい立射ですね、息をするかのような自然体でした、相当の鍛錬を積んでますよコレは』
「射程に入っているのに姿見せちゃダメでしょ、普通に撃つよ」
「お、おう、そうだな、さあイクゾー」
「ノワ、姿が見えたから当たるって話ではないのですけど・・・、あ、ちょっとキャプテンさん!?」
キャプテンは屋上から飛び出して行った、強化外骨格を着込んでいるのでこの程度の高さなら問題ない。
慌ててニーナも追従する、ニーナは生身なので強化線維ワイヤーでグラップリングして降りて行った、カッコイイよねワイヤーアクションとかウォールラン、私は運動音痴だからシミュレーションで何度練習しても壁や地面に叩き付けられてダメだったけど・・・
浮き足立つ敵2人の凡その場所に向けてキャプテンとニーナは急行した、1人やられて足が止まっていたのか程なくマーキング周辺で戦闘が開始された。
『オラオラ、おっと』
『キャプテンさん少し下がって下さいっ、ああ、もお』
キャプテンの行動に苦労するニーナの様子が聞こえてきた、私はポイントを移動してジッと待つ、キャプテン達が接敵している内は私にもリアルタイムで敵のポインターが動いていて場所が把握出来ている、その間は身を隠し、射程に入るまではかくれんぼするだけだ、動きを予想して射程に入りそうな気配があれば、初めてスナイプ体勢に入る。
キャプテンとニーナにも私がどの位置で待機しているかは分かっている筈なので、それを頭に入れた立ち回りをするだろう。
敵も射線を通してしまうと撃たれるのは理解しているので、簡単には射線に入ってこない、でも、
『今の所、チーム『傭兵』が優勢に状況を進めていますね』
『はい、こうなるとチーム『山賊』はスナイプで1人落とされた事が惜しまれます、狙撃を意識して射線を通さないようにしているので、行動がかなり制限されて窮屈ですよ』
『なるほど、しかし3対2でも狙撃手が活かせなければ人数の有利は無いのでは?』
『いいえ、狙撃手のキャプテンノワが完全に身を隠しています、これでは仮にフロントフォワード2人を撃破しても何時撃たれるか分かりません』
『とすると、相手チームは負けてしまうということでしょうか』
『いえ、チーム『傭兵』の立ち回りから何処へ誘っているのか逆に狙撃手の位置を割だそうとしています、分かりませんよ』
『なるほど、劣勢に見える相手チームでも高度な読み合いが繰り広げられているのですね、おっとこれは突然チーム『山賊』のメンバー1人の足が消し飛んだ! その隙を見逃さずキャプテンドレイクとニーナ女史がトドメを刺した、ここで全滅判定、勝者はチーム『傭兵』だ! さて先程のシーンですが何が起こったのでしょうか確認してみましょう』
『射線が通りました、そこをスナイプされましたね』
『射線!? 構造物と構造物の間を動いていたように私には見えたのですが』
『いえ、マップを表示させますと、構造物と構造物の隙間に射線が有りますね』
『こ、これは、しかし50cm程の射線を横切った瞬間ですか・・・』
『通常なら有り得ないスナイプですが、フロントフォワードの2人が常に接敵していたのでキャプテンノワにとっては目の前に獲物が出て来るのを待ち構えていた形ですね、それにしてもこのタイミングでスナイプを成功させるのは恐ろしい程の技術ですが』
『これは純粋な疑問なんですが、軍属でもない15歳の少女が成しうる技術なのでしょうか』
『一般的には有り得ませんね、神業の領域です、帝国軍に入ってくれませんかね? ・・・だめですか、残念です』
久々の携行武器はそこそこ上手くいったね、実弾系だと空気抵抗や風を計算しないといけないけどレーザーだと着弾誤差0、引き金を引いた瞬間に弾着するし楽で良いね。
実弾みたいなダーンと全身に反動が来るのも嫌いじゃないけど、個体差が大きかったり距離によってホップ、重力で落ちたりと精度が格段に下がるから実戦で使用するなら大出力型のレーザー狙撃銃で安定だ。
但し狙撃ポイントから線を引くようにレーザーが通るから、1発撃つと完全に居場所が割れてしまうのが難点だ、実弾系だと意外と狙撃ポイントが割れにくいので一長一短だねえ。
こうして私達は白兵戦の部を順調に勝ち上がっていったけど、準々決勝で帝国軍特殊部隊チームと当たって負けてしまった。
流石にプロのチームには勝てない、ベスト8入賞で賞金300万マニと副賞にはアルコールシャンパン、これも結構貴重なものらしくてキャプテンは嬉しそうに受け取っていた、まあ素人 (?)のチームの割には上々の成績じゃないかな。




