表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンチ転生論  作者: 金王丸
55/85

死闘


 「……見えたぞ!」


 正面にシガーラの街を捉えた。関所付近に多数の敵、その数は百、いやそれ以上か、とにかくこちらの形勢不利には変わらないようだ。しかし怖じ気付くことはない。むしろ武人としての血がふつふつと沸き立った。加えてその光景はユウトがしっかりと仕事をした証左でもあったため、あの短期間で良くやってくれたと嬉しく思う。


 「よしっ、横に大きく広がれ!」


 そう叫ぶと、一塊になっていた集団をバラバラに展開した。オレたちは追い風を背中に感じながら敵に近づく。すると向こうから射かけてきた。


 「気を付けろ!」


 高く放物線を描いて飛来する矢は雨のように降り注ぐ。しかし手前に落ちるばかりでオレたちにはまるで当たらない。


 「ふっ、下手くそめ!」

 「野郎ども! こっちからもお返しだ!」


 進撃を止めると一斉に弓を引く。すると追い風も手伝ってか、すうっと伸びていき、敵を射止めた。向こうも応戦して放ってくるも、やはり手前に失速する。


 (追い風のせいで照準が定まっていないのか……?)


 だとするとそれを修正させる前に敵陣に切り込みをかけるべきだ。咄嗟にそう判断すると、弓による長距離攻撃を止め、突撃を指示する。


 「進め~!」


 オレたちは一途敵陣に突っ込んだ。気付けば敵兵の顔を認識できる距離まで近づいていた。敵もたまらずに向かって来る。敵味方入り混じった混戦、オレは必死に剣を振るった。敵の先鋒はその軍装からするに新兵ばかりで歯応えがない。バッタバッタとなで斬りにする。皆も同じだ。やがて各々が獅子奮迅の働きを見せた結果、絶対数での不利を跳ね退け、敵を城内へと後退させていた。そしてその勢いのまま、オレは関所を襲うように指示を出す。


 「関所に火をかけろ! そこらの松明を投げ込め!」


 日の出直後ということで辺りにはまだ松明の火が残っていた。関所に火をかけることで遠く離れたシガーラ城内に動揺を与えたかったのだ。すると仲間の一人がその脇にある小屋に火をかけ、たちまちに燃え上がる。その火柱を横目に残存兵を蹴散らす。相変わらず敵兵は残っていたが、敵陣は崩壊しつつあった。


 作戦は大成功……のはずだった。


 「……かかったな!」


 関所の門から湧いて来る槍兵、そしてその背後にいる弓兵、騎兵――待ち構えていたように展開するその光景に目を疑った。ヤツらは敗走したわけではなかった。オレたちをおびき寄せたのだ。


 (……しまった!)


 気付いた頃にはもう遅かった。敵の反攻が始まっていたのだ。槍兵が陣形を組んでこちらへ向かって来る。その背後から弓矢を浴びせられる。加えて騎兵団も控えている――。形勢は一気に傾いた。


 「撤退! 撤退だ!」


 そう大声を上げると、オレたちは敗走を始めた。だが皆一斉に逃げ出したため、敵は勢いに任せて更なる追撃を仕掛けてくる。無慈悲に襲い掛かる弓矢は仲間を次々と仕留めていく。


 (弓兵をどうにかしなければ全滅する……)


 オレは意を決して翻る。


 「親方!」

 「来るな!」


 オレは声の主を大声で制する。そして関所の正面に張り出した槍兵の裏に回り込むと、単騎で弓兵団の横腹を突いた。接近戦に弱い弓兵はその急襲に浮足立つ。しかし一人で相手をするには数が多すぎた。難儀なことだ、そう思った次の瞬間、


 「……ぐうっ」


 突然左腕に激痛が走る。それと同時にバランスを崩し、馬上から転げ落ちた。そして死骸に群がる蟻のように敵兵が集まって来る。


 「こいつは間違いねえ……あのゴスホークだ」


 その言葉を最後にオレは意識を失った――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ