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■第51話 「卒業――そして始まる二人の“選択”」



 ――卒業は終わりではなく、“選べる自由”が増える瞬間だった。



 春の空は妙に明るい。


 制服の重さが少しだけ軽く感じる日。



「……終わったな」


 神谷伊織かみや いおりが呟く。



「うん」


 白瀬舞衣しらせ まいは小さく頷く。



 校門の前。



 3年間通った道。


 何度も並んで歩いた帰り道。




「ねえ伊織」



 舞衣が立ち止まる。




「これから、どうするの?」




 その問いは、昨日までとは違う重さを持っていた。




「……まだ決めてない」



 伊織は正直に言う。




「大学行くかも」



「就職かもしれないし」



「正直、どっちも現実味ない」




 舞衣は少しだけ笑う。



「らしいね」




 でも、その笑顔は優しい。




「私は」



 舞衣は少し前を向く。




「女優の仕事、もっと本格的に入る」




「今までより忙しくなると思う」




 伊織は頷く。



「知ってる」




 少し沈黙。




 その“距離”は、これから少し変わる。




「なあ舞衣」




「ん?」




「これからさ」




「今みたいに会えるのかな」




 舞衣は少し驚く。




 でもすぐに小さく笑う。




「会えるよ」




「たぶん、今よりちゃんと」




 伊織は少しだけ安心したように息を吐く。




「そっか」




 その時。



 神保亘しんぼ わたるが後ろから声をかける。



「おい、卒業生2人」




「なんかドラマみたいな空気出してんな」




 相葉正佳あいば まさよしが笑う。



「いやマジで主人公感あるだろ」




 二宮真匡にのみや ただしが腕を組む。



「もう別世界行く二人だしな」




 百瀬晴海ももせ はるみ



「でも寂しいね」




 三森祥子みもり しょうこ



「でもちゃんと前向いてる感じする」




 遠藤千夏えんどう ちなつ



「うん、いい卒業」




 その少し後ろ。



 水瀬蒼葵みなせ あおい



「たぶんここからが本番だね」




 西宮七瀬にしのみや ななせも静かに頷く。



「うん」



「今までは“日常”だった」



「これからは“選択”になる」




 ――風が吹く。



 桜が少し揺れる。




 白瀬舞衣と神谷伊織は並んで歩き出す。



 もう“高校生”ではない。



 でも“関係”は変わらない。




「ねえ伊織」




「ん?」




「これからもさ」




 舞衣は少しだけ間を置く。




「一緒にいてくれる?」




 伊織は即答しない。



 少しだけ考えて、




「当たり前だろ」




 舞衣は小さく笑う。




「だよね」




 ――第4章、始動。



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