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5. 管理者の追憶(1)

僕はかなりの速度で街を駆け抜ける。二人は追って来ていないようだ。

僕は町の外れまで走って来ていた。夜も遅いこともあり、暗い街はずれは静寂に包まれていた。

立ち止まると、あの時の記憶がフラッシュバックする。


「ぐぅ、、、っ!」


僕は頭を押さえてうずくまった。


ーいやぁぁぁぁ!痛い!やめてぇぇぇぇぇぇっ!

あの断末魔が今でも鮮明な声で鼓膜に残っている。


「すまない、、、すまない、、、っ、、!」


そこに軽い声で話しかける声があった。


「そこのお兄ちゃん、そんな街はずれでうずくまっちゃって~酒に酔って徘徊してるのかな?」

「っ、、、誰ですか」


僕は顔を上げる。ライトプレートを装備し、首にスカーフを巻いた女性が天真爛漫な笑顔でこちらを見ている。

武器は、剣を3本持っている。3本持つかってどうやって戦うつもりだろうか。


「あー、アタシ?通りすがりのお姉さんだとでも名乗っておこうかな?それより、体は大丈夫?」

「え、ええ。特に酔っているわけでもないので、何も問題ありません」


そういってその場を立ち去ろうとする。


「ちょっと待ちなよ!そっちは街の外だよ~?今から本当に外に行く気とか言わないよね」

「だったら、どうしますか?止めるんですか?」


僕はイライラしていた。この女は僕の調子を狂わせる。そんな気がしてならないのだ。

既にあまり気分は良くない。この人と話していると悪化しそうだ。


「流石に止めるよねー、君みたいな若い子が一人で出て行って死なれたら後味悪いもん」

「でしたら大丈夫です。僕はこの変では死にませんから」

「まぁそれは君の雰囲気からわかるけどさぁ。君、死んでもいいって思ってるでしょ。そんな覚悟で外に出ると、本当に死ぬよ?」


そこで僕の何かが切れた。


「うるさい!何を偉そうに語ってんだよ!こっちが何を背負って何に苦しめられているかも知らずに!」

「そりゃあ知ってるわけないじゃん。私は通りすがりのお姉さんだよ?」


即答された。そのせいで余計に腹が立ち、口調を強めて言い返す


「だったらお前に僕を止める権利はない!僕は何を言われても行くぞ!」


そう言い切り、踵を返し街の外に向かう。

すると、後ろの女は剣を抜きながら言った。


「だったら、実力で止めるしかないよね。あと、自分の顔でも見て冷静になれ。剣の牢獄(ブレイドプリズン)!」

「っ!」


そう叫んだ瞬間、剣は何十本にも分裂した。

無数の剣が僕に向かって飛んでくる。しかしその剣は僕を刺してくるのではなく、覆うようにして周りを旋回し始めた。

あの剣は|遺跡武器<アーティファクト>か。僕は剣の渦に捕らわれ、その場から動けなくなった。

そして。その剣に反射して映った僕の顔を見た。


「っ!?」


ひどい顔だった。焦りと不安とによって、ひどく悲しそうで、苦しそうで、すべてを憎んでいる。そんな顔をしていた。

僕はこんな顔で、酒場を出てから今まで歩いていたのか。そう思うとだんだんと落ち着きを取り戻してくる。


「どうだい、落ち着いたかい?それと、今日は街から出ないと約束してくれるか?」

「、、、はい」

「うん。いい子だ」


その女性は優しく声をかけてくる。僕は彼女に向き直った。


「止めてくださってありがとうございます。自分を見失っていました。僕には、今も守るべき人がいるのにあんな、軽率なこと、、」

「そんなに仰々しくなんないでよ、やりずらいじゃん」


彼女は気さくに笑って手を振る。そして真剣な目で僕を見つめて言った。


「それで、君はなんであんな顔をしてたんだい?君に、一体何があった」

「、、、かなり長くなりますけど、それでも聞きますか?」

「君がすっきりするなら是非吐き出してくれ。私は頼れる通りすがりのお姉さんだからね!」


胸を張りにまーっと笑顔を向ける。なんだか肩書が増えてる気がするけどスルーしておこう。

なぜか、この人になら辛かった過去も打ち明けられると思えた。


近くのまだ開いているお店に入り、ビールとつまみを頼む。


「さぁ、ゆっくりでもいいから。話したい事を話してごらん?」

「僕は、僕のミスで、、、パーティーメンバーを殺したんです。この街のカインはご存じですよね。あいつも一緒でした」


僕とカインは同じ村で育ち、一緒に冒険者になった幼なじみだ。街に出てきてすぐは二人でダンジョンを探索していた。しかし、二人での攻略は難しいこともあり、どう解決するかを悩み始めていた。


そんなある日のことだった。


「クロム!新しい仲間だ!これで新しい場所にも行けるぞ!」


カインが新しい冒険者を連れてきた。彼曰く、僕たちと同じくらいの経験は詰んでいるらしい。


「ガルムだ。前衛の武闘家。よろしく頼む」

「えっと、ルイスです。回復師やってます!」


みんな年も近く、歴も近かったため、僕らはすぐに打ち解けることができた。


そして数日すると、ダンジョンに潜るようになった。


「行くよみんな!|全能力強化<オールアップ>!」

「ガルム、もう少しヘイトを集めて!カインが切り込み!ルイスは二人を補助!」

「任せろ!スタンオーラっ!今だお前ら!」「ダブル・ブレード!」「リアクトヒールっ!」


それぞれのロールが揃ったことで戦闘能力も大幅に向上し、攻略がとてもやりやすくなった。


周囲のダンジョンを攻略し終えた僕たちは、ついに迷宮の攻略に乗り出すのだった。

皆さん年末年始はどう過ごされましたか?お久しぶりの桜樹です。


年末年始、そして年始め、、結構忙しくて更新が約2週間も空いてしまいました。待っていた方、申し訳ない!

もう一つの理由としては、この後の展開をどうしようとかなり迷っていたというのもあります。

さりげなく過去の話に持っていきたかったので、どう切り込もうかと悩んでいたらこんなに時間が空いていました。

行き当たりばったりで書いている部分が多いので、流石に反省ですね。。。


今回から2.3話ほど、クロム君の過去話にお付き合いください。

通りすがりのお姉さんに助けられたクロム君。その口から語られる過去はどんなものなんでしょうか?

このまま連続投稿いたしますので是非読んでいただきたいです!


この話の続きを忘れずに読みたい方は、ブックマークをしていると便利ですよ!(してほしいなぁ、、)


また、いいねや 評価、コメントはモチベーションにつながりますので、良ければポチッと押していってください!


それではまた次のお話で!

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