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第9話 童貞だから魔力持ち?


水は確保したし、ずんずん進んで昼頃にもう一方の尾根に到着した。


岩がちな斜面は、足場に気を使って登れば、ボルダリングよりも楽な感じだ。


垂直な斜面なんて自然状態ではあまり見かけない。


足元の石が体重を掛けても動かないか確認しながら傾斜面を登っていく。


目標にしていた尾根の上に出て双眼鏡で周囲を確認すると、向こうの尾根に的紙が見える。


酒とかスナック菓子の白い段ボール紙をスーパーでもらってきたものだ。


太い油性マジックで三重丸と十字線を描いただけの簡単な図柄だ。


一番大きな円が直径50cm位の大きさに成っている。


的紙5枚が双眼鏡で確認できる、300mの距離だとかなり小さい。


神様謹製あのスナイパーライフルの倍率はどの程度だろうか?


この崖の反対側は広葉樹の雑木林が途中まで続いた後は、整然とした杉の林に成っており、


こんな山奥にも人の手が入っている事が伺えた。


木材の搬出を考えた林道が林の下に通っているかもしれない。


平らな場所にベースとなるテントと寝袋や火おこしのための枝葉を集める作業を開始する。


先にキャンプストーブに火を起こして、ラジオに充電しつつ湯を沸かしてラーメンの準備だ。


ラーメンとカ□リーメイトはかなりの量を持ってきているので、飢えは暫く凌げそうだ。


雑木林は、ブナやナラ系統のドングリを付ける木が大きく茂っており、倒木や蔓などがゴチャゴチャと茂っている。


下草にはシダ類や笹が点々と茂っているが、尾根の上は岩が転がっていて植物は少ない。


杉の林は下草が無く全体に暗い、枝打ちがされていない放置林の様で、倒木や割れた枝が散乱している。


荒れた杉林はスギ花粉が多く飛び散るらしい。


立木の少ない尾根先で変身すると遠くからも目立つので、雑木林の窪地に笹の密集している当たりで変身しよう!


あれならどこからも見えない感じだ。




「ぷるりん、パラリン、ぽよぽよリン、るるりん、ぱららん、ぽよぽよぴー、ミラクルチャットで美少女戦士ファンシーりなになーれ~!」




体が光に包まれて、体の大きさがどんどん縮んでいく!

ピンクのブーツ、スカート、ベストが体に装着され、ライフルが手元に浮かぶ。

それを手に取ると光が消えていく。


「ぷぷるん、早速迷彩服にジャングルハット、 ジャングルブーツにギリースーツに変身!」


一瞬で長さ10cmの緑や茶色の麻ひもに、びっしりと覆われた緑の茂みの様なギリースーツ姿に変身した。


ライフルはその辺の草をパラコードで巻き付けて擬装しよう!


この姿で、地面に倒れこんだら、真横を歩いても発見するのは困難だ。


ギリースーツは体の輪郭を無くすため草木に溶け込む。


短い距離だからこの状態で匍匐前進して、テントの横に移動する。


寝そべって前を見るが肉眼では的を見分けるのも難しい。


腹腰足は地面にべったりと押し付け、足は肩幅よりも気持ち広めに開く、左手は銃の下を通してストックをつかむ、そこに自分の頬を当てる。


台尻に肩をピッタリと当てて、グリップを軽く握る。


ライフルはリュックの上に軽く置いて、伏せ撃ちの体勢でスコープを覗く、スコープを覗いた直後は、肉眼とさほど変わらない風景が見えただけだが、クロスラインを的の位置に合わせると、やがて拡大された像に修正される。


さらに五枚の的紙のうち一番端の的の中心に合わせると、さらに拡大されて行く。


ズームイン、ズームアウトは自分の見たいと思う意志に連動しているようだ。


像の変更に連動してオートフォーカス対応で、ピントも瞬時に修正されてクリア―な像が見て取れる。


しばらく対岸の五枚の的紙を見ながら、ズーム調整を繰返して感覚がつかめてきたところで、クロスラインを的の中心に合わせる。


ズームしていくと呼吸に合わせてラインが微妙に上下しているのが分る。


大きく呼吸すれば大きく動き、呼吸を小さく続けていても、ゆっくりとクロスラインが動く、呼吸を止めると少し動きが止まるが、その後呼吸を再開したときには、しばらく動きが大きくなる。


呼吸と脈拍による体の動きは止められない、こちら側の動きは数ミリの変化でしかないが、300m離れた直線上では数十センチスパンのブレとして、大きく影響しているようだ。


時折左右にクロスラインの像が動く時がある。


それは、まったく予想も付かずに像が動いて行く。


「ぷぷるん、このスコープ時々像が動くんだが、どんな自動修正が掛かっているのか分るか?」


『ズームは貴方の心に連動して画像を調整しているようです。

 ピントはズームーに応じて自動で最も見やすい物に調整されます。

 風による着弾位置の補正も行われています。

 重力による弾道補正も入っているようです。

 また、昼夜間の赤外線画像や、ナイトスコープ切替もあります。

 追っている標的に応じた画像に最適で切り替わり、 着弾予想位置にクロスラインの中心が表示されているようです。』


急な風向きの変化で、着弾位置が変わるために像がぶれる様だ。


遠くなれば成るほど風や重力の影響を受けて、ズーム画像のブレが大きくなる。


このスコープに慣れるまでには時間がかかりそうだ。


ゆっくりと的にクロスラインを合わせて、トリガーに指を当てると、以前のようにカチリと何か小さな感覚が指先に感じられる。


トリガー上の右手の人差し指をゆっくりと、グリップと共に握って行く、ほんの少し力が掛かった所で、長すぎたシャーペンの芯が折れた時の様な、ポキリといった軽い振動と、カキッーツと金属質の音がして、的紙の中心から10cmほど上に直径1cm程の穴が開く、僅かに肩を押された感覚は有ったが、音も振動も極めて静かだ。


射撃の感覚をつかむ為に、何発も射撃を繰り返す。


硬くなってカチコチに身構えてトリガーを絞ると、弾の出る瞬間にズレが起きることがわかった。


射撃の瞬間はリラックスして、ターゲットを狙うと目的の場所に命中させることができる。


始めの的紙は、穴だらけのボロボロに成るまで使い、ようやく射撃の感覚がつかめてきた。


すでに太陽は西の空に傾きかけており、山陰に入った谷は夜間の様な暗さだ、キャンプストーブの火はすでに消えていて、すっかり冷えている。


長いこと集中して射撃をしてきていたが、少しも疲れないし、腹も減らない、のどの渇きを覚える事も無かった。


これが魔法少女の力なのだろうか?単に若いからなのか?


「ぷぷるん、こんなに連射して弾は尽きないのか不安なんだが、自分の命削って弾に換えてるとかないよね?」


『あなた自身の魔力を少し使って、ライフル内に魔石を製造しています。

 魔石は硬く重い鉱物的な結晶で、このライフルの弾丸の形状に形成されます。

 あなたの魔力が枯渇すると、脱力感が有って魔力が使えなくなりますが、

 休息することでゆっくりと回復します。』


「自分の魔力ってどの程度あるの?この弾何発分生成できるのか分るか?」


『一日に千発以上の射撃ができるほどの魔力が、あなたには有ります。』


「世界標準の魔力量が分らないから何とも言えないが、それってすごいの?」


『この世界で魔力保持者は稀です。

 魔力が有っても魔力を使う事がない世代が続いたので、

 この世界では魔力持ちが育たない環境でした。

 他の魔法少女も魔法の武器を魔力によって使いますが、

 あなたはその中でも魔力量ダントツの一位です。』


生まれながらに魔力の才能が有ったことにしよう、

30過ぎてから魔力に目覚めて、それが増えていったとしたら

なんだか情けなく感じてダメになりそうだ。


ぷぷるんは分かっていても答えないでくれ・・・。




暗がりでのナイトスコープは、スターライトスコープの様な僅かな光の増幅では無く、完全な闇でも見通す何らかの力によっている可能性がある。


赤外線画像っぽいやつも熱の検知では無く、生命力とか別の力によって見ているのかもしれない。


魔法とか神とかの世界のことだ、理解するとかは無理そうだから、先ずは上手に使えるように頑張るしかない。



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